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お知らせ

主力商品がキラワレもの/レピュテーション・マネジメント その4

気温がグッと下がりましたねえ。夏のような陽気かと思いきや油断していたら、秋本番を思わせる気候。

秋はやっぱり私たちを試しているんじゃないでしょうか。

あなたの身体、対応できますかって?

年齢を経ると、若い頃のようなハツラツとした対応はできないけれど、そのぶん経験や知恵は増えているはず。

だから世の中は年配の人だって体力に勝る若者にも対抗できる、勝負できる。

真っ裸な自分が年数を経て、少しずつ鎧や武器を装着していく感じ・・・・そんなふうに思います。

そう考えると、この時期に風邪をひくのは、致し方のない激務やのっぴきならない仕事の疲れなどを除いて、この時期に風邪をひくのは、今の生活スタイルや考え方を考え直せという警告なのではないでしょうかね。

これからの5年のために・・・

コーポレート・マネージメント その4

2005年に発売されたロナルド・オルソップ著
レピュテーション マネジメント
tinyurl.com/mlaf8ln

この著書のポイントを私なりにまとめてお届けします。

この本の2番めに出てくる法則は「法則2 己を知る レピュテーション・リサーチ」

オルソップ氏は

ますます数を増やしている顧客の満足度ランキングには注意をする必要があるだろう

と指摘しています。

メディアや出版社などが行う

美人コンテストもどきのこうしたランキングは、消費者が自動車や携帯電話、パソコンを購入する際には参考にされるかもしれないが、それが製品やサービスの質といったことのみに着目しているのであって、企業の総合的な評判のバロメーターとしてはほとんど役に立たない。

とても重要な指摘だと感じます。

私たちはともすると、自分たちが提供する製品やサービスの評判「のみ」に注意を払いがちです。

そして、それはある意味では組織の評判に直結するものですが、「そこだけ」にしか目を向けないでいると、痛い目にあうということではないでしょうか。

なぜなら、それは非常に限定された範囲での評判にしかすぎないから。

「法則2 己を知る」を知るために一部の限定されたものだけをもって「己」と知覚した時、危機の芽は蒔かれたことになります。

ゆえにオルソップ氏は「公表されているランキングは自慢の種になるが、企業ブランドの管理には実際のところ役に立たない」という大手企業の幹部のコメントを引き、

定期的に独自の調査を行わなければならない


独自調査なら自社の評判にもっとも影響する要素に焦点をあてることができるし、ライバル会社についての情報を集めることができる

と言います。

その上で、

調査データを顧客層ごとに分けることも必要

とし、社員・世論・消費者・投資家・株主・地域社会の活動家など多くのステークホルダーへの独自調査を推奨しています。

それらの調査結果、つまり会社の評判は組織のトップや経営幹部の業績と報酬に連動させている。

そうすることで

部署や市場の年間計画の一部に自社の評判が組み込まれ、それが自分たちの報酬に反映するとなれば、幹部たちは会社の評判にもっと注意を払うようになるだろう

評判の管理は組織の仕組みそのものに組み込まれなければ、動き出しません。

仮に組み込まなくても、明日は生きられるし、1年後も大丈夫かもしれません。

しかし、5年後は・・・

その組織があるかどうか、あっても健全な組織として収益を上げ続けていける存在であるかどうか。

評判は決して「すべて」ではありませんが、組織のあらゆる決断の中にはなくてはならないものになりました。

気づくか、気づかないか。組み込むか、組み込まないか。

それも組織のトップや経営幹部の感性にかかっています。

★ 今週のテーマ 「主力商品がキラワレもの」

ここでは前回「死の商人から科学の奇跡(ミラクル・オブ・サイエンス)へ」と題してデュポン社を取りあげました。

今、世の中でももっとも生きにくくなっている組織の1つが暴力団でしょう。

巷間いわれる暴力団の罰は市民の1.5倍から2倍。

市民なら執行猶予がつく刑が、暴力団なら実刑に。市民なら懲役5年の刑が、暴力団なら7年から10年に。

現在の暴力団は、とにかく悪いことをして捕まったときの代償が大きく、しばらく前のように刑期を終えて出所したあかつきには出世が待ち構えていて大幹部になれる世界ではなくなってきています。

ゴルフに行ったり、賃貸を借りると、暴力団の身分を隠して行ったと逮捕され、貯金通帳は作れず、温泉には入られず、飲み屋には「お断り」のステッカーと、とにかく生きづらく、暴力団に属していることそのものが罰のようになっているわけですね。

私も皆さんも暴力団ではないのであまり関係ないことなのですが、ここまで書いたような状況を仮に「非常に厳しい市場環境にある」と考えると、暴力団がどう生き残りを図ろうとし、組織を進化させ、若い人たちの教育や人材育成をどのような形で行っていこうとするのかは関係ないどころか、大いに興味深いところです。

暴力団の話はさておき、私が現在の暴力団と似たような環境で生き残りをかけて戦っていると考えているのが日本たばこ産業株式会社(JT)です。

日本たばこ産業株式会社(JT)
www.jti.co.jp/

JTはさまざまな多角化に乗り出していますが、2012年度の売上の2兆1000億円のうち、約80%がたばこ事業の売上です。

しかし、その収益の中核を担うタバコはテレビで喫煙風景が映し出されることはなくなりました。これは日本だけでなく先進国では当たり前になりました。

先日公開された宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」ではこの喫煙場面が大いに議論になり、大きな批判を浴びたくらいでした。

唯一、テレビ番組で、番組の中で堂々とタバコを吸っているのは深夜に出ている志村けんくらいのもでしょう。

子供たちは学校教育でタバコの害や副流煙の危険について必ず学び、お父さんに「副流煙は吸っている人の20倍身体に悪いらしいよ」なんて指摘されます。

タバコのパッケージには「肺がんの危険があります」とか手にとるのも怖い文言を目立つ場所に入れなくてはありません。

JTのタバコの主力中の主力「マイルドセブン」は「なにがマイルドか?」などの批判を浴び、名称変更を迫られました。

1箱(20本入)410円のタバコの場合264.4円分が税金、実に価格の65%が税金で、タバコの値段は政府の都合で上げられ放題です。

会社は全面禁煙、公共施設も全面禁煙で、タバコを吸わない人には手当を出する会社や新卒の喫煙者は雇用しない会社もこの頃は出てきました。

JTのサイトを見ると、10月3日のプレスリリースでは

ご好評の無煙たばこゼロスタイルから、選んで楽しめる4つの味・香り

とあります。

煙が出なかったらタバコじゃないんじゃないの?と素朴なギモンも湧いてきます。

JTの気の毒な社会状況の列挙はこのくらいにしておきましょうか・・・

喫煙者の方の肩身が狭くなっていることについてはご同情申し上げるしかないのですが、売上の8割を占める主力商品がこれだけの仕打ちを受けている組織JTを私は暴力団の置かれた状況とほぼ同一視してみています。

非常に酷な環境に置かれているわけですね。評判を考えても、商品自体が社会の評判が悪くなっているのですから、お手上げとなってもおかしくありません。

ただ、そうした非常に酷で厳しい環境に置かれたJTですが、その組織・企業のイメージは置かれた時代と社会状況に比べて、悪くはないのではないでしょうか。

これは私の個人的な感想なので、皆さんがどのように感じていらっしゃるかわかりませんが。

長々と書いてきましたが、先に書いたオルソップ氏の指摘、

美人コンテストもどきのこうしたランキングは、消費者が自動車や携帯電話、パソコンを購入する際には参考にされるかもしれないが、それが製品やサービスの質といったことのみに着目しているのであって、企業の総合的な評判のバロメーターとしてはほとんど役に立たない。

まさにJTは、最悪のイメージの製品を抱えながら、それが「企業の総合的な評判のバロメーター」となっていない事例といえないでしょうか。

私の周りの社会人になった子息がいらっしゃる知人に

「もしいま勤めている会社からJTに移籍できるならどうか」

と尋ねたところ、誰もがよく知る大企業に子息が勤めている方を除き、かなりの確率で「移籍できるならOK」と答えられました。

これもわずかなごく身近な方への個人的な質問ですから、統計的に有意な数はいえないんですけれど・・・

いずれにしてもJTの企業イメージというのは、タバコの評判ほど悪くないとすれば、それはどこからくるのか、なぜそうなっているのかを考えてみる価値はあるのではないでしょうか。

2013年3月、日本政府は、震災の復興財源に充てるため、延期していた日本たばこ産業(JT)の4回目の売り出しを実施しました。

この売却によって政府のJT持ち株比率は50%から33%となり、1985年の民営化以降、会長、社長の両方から旧大蔵省(財務省)出身者がいなくなった。

たばこメーカーの中では現在世界第3位のJTがタバコ大手のアメリカのフィリップ・モリス・インターナショナルやイギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコと同じ条件で競争できる完全民営化の悲願まではまであと少し。

完全民営化となれば、財務上の足かせがなくなり、多角化への成長に向けたM&Aなどの資金を調達しやすくなる一方で、リスクも高まります。

そのリスクに「評判」も含まれる。

今後のJTの動き、評判の観点からも見逃せません。今回のお話が評判を考える一助になれば幸いです。

追伸.ここまで書いてきたようにJTは主力商品に社会からの大きな圧力がかかっているため、タバコや喫煙風景を全面に押し出したCMが事実上放映できません。

そうした大きな制約を課せられた中でJTが放映しているCMは、かえってJTの評判に寄与しているのではないかと私は考えています。

ぜひそんな観点からJTのCM、眺めてみてください。
www.jti.co.jp/knowledge/tvcm/index.html

売りたいものを全面に出さないほうが、言われて出すほうが、商品は売れるし、かつスマートで上品なクロージングになり、のちのクレームも少なくなるというのは私の持論ですが、JTのCMはその持論についてより思いを強くしてくれています。

また、JTが力を入れている多角化の1つに飲料事業があります。飲料事業は2012年度売上の約9%。

缶コーヒー「Roots ルーツ」がよく知られていますが、この「Roots ルーツ」のCMにも、よく評判を意識した意図が感じられるのは私だけでしょうか。

缶コーヒー「Rootsルーツ」CM
www.jt-roots.com/advertising/#

すでによく目にしているとは思いますが、ぜひ評判の観点からご覧いただければと思います。

皆さんの率直な意見をお聞かせください。



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