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お知らせ

1000億円の売上がオジャン/レピュテーション・マネジメント その5

気象庁によると、新潟県糸魚川市では先週10月9日の午後2時前に最高気温が35.1度に達し、10月としては全国で初めて猛暑日となったとか。

この猛暑日は「フェーン現象」が起きたためということで一時的なものなのだと思いますが、それにしても10月に猛暑日。

長野県あたりに避暑に行きたいなぁと思っていたら、この連休に一気に気温が下がり、突然紅葉狩りモードに。

実は、私は長野に行ったら、ある有名なソフトクリームを食べるのです。

長野県の諏訪湖で遊覧船運行などを行っている諏訪湖観光汽船の売店では、

イナゴの佃煮をトッピングしたソフトクリーム「バッタソフト」
news.mynavi.jp/articles/2013/10/11/suwako/
(※衝撃映像あり。心臓に不安のある方はご遠慮下さい。)

が販売されています。

平均して1日に10食程度が売れているそうで、多い日には20食売れることもあるという珍しいソフトクリーム。

これを食べたら冷や汗が出て、涼しい気分を味わえるのでは?

「バッタソフト」その名前を聞くだけで体感温度が1度、そして「バッタソフト」の写真を見ると、さらに体感温度が2度下がります。

体感温度を下げたい人はこちら 「バッタソフト」
news.mynavi.jp/articles/2013/10/11/suwako/
(※衝撃映像あり。心臓に不安のある方はご遠慮下さい。)

コーポレート・マネージメント その5

2005年に発売されたロナルド・オルソップ著
レピュテーション マネジメント
tinyurl.com/mlaf8ln

この本の3番めに出てくる法則は

「法則3 多くの観衆にアピールする」

オルソップ氏は

ステークホルダーの優先順位は常に変化する。そのときどきでもっとも重要なステークホルダーを把握しておくのは非常に大切なことだ。

昨今は変化のペースが速いので、現時点での最重要ステークホルダーが誰であるか、頻繁に見直す必要がある。

と指摘しています。

たとえば株価が右肩上がりに上がり続けている時代では、

株主とアナリストが優先され、他の重要なステークホルダーは軽視

される。

たしかに投資家は企業にとって大事なステークホルダーの1つ。

ほかにも退職した元社員、販売代理店、環境保護団体、地域住民、規制機関、小売業者などなどステークホルダーは書き出してみると想像以上に多いでしょう。

それらを踏まえたうえで、オルソップ氏は本質的なことを指摘しています。

すなわち、

顧客や社員といったビジネスの牽引役の方を最優先しなければならない

と。

また、実際のところ、会社の評判を築くうえで、もっとも重要な鍵を握るのは

社員である!

と。

評判管理にはいろいろな手法もあり、今後ますますその手法や管理の手段は多様化するでしょう。

しかし、最も重要な鍵を握っているのは、今働いている社員。

評判は社内から築かれていくものだからだ。

評判がいいと社員は誇りを持ち、評判を維持しようとする。

そしてその評判は、社員の新規採用をする場合にも大きなセールスポイントになる。

会社の理念、そしてその理念をどう体現し、社員に働いてもらうか。

「評判管理」というと大げさですが、社内で湧き上がっている自社の評判こそ耳を傾ける価値があるもの。

あとはそれに耳を傾けるつもりがあるかどうか。

私たちはそのお手伝いも行っています。

★ 今週のテーマ 「1000億円の売上がオジャン」

上記で「一番重要なステークホルダーは社員である」と紹介しました。

それがうまくいっていない業界として、オルソップ著「レピュテーション マネジメント」では製薬会社を挙げています。

多くの製薬会社は、ステークホルダーの重要度の変化にうまく対応できていない。

皮肉なことに、こうした変化をもたらしたのは製薬会社自身でもある。

かつては、思者の処方箋の選択にもっとも直接的な影響力を持っていた医師と薬剤師が製薬会社にとって重要なステークホルダーだったが、消費者に向けた処方薬の広告が急増したあたりから、患者の重要度のほうが高くなってきた。

ところが、広報活動を通して個々のブランドを企業ブランドと関連づけるレピュテーション・マネジメントを怠ってきたため、多くの消費者は大半の製薬会社を、生命に関わる薬に不当な値段をつける強欲な悪党、と十把一絡げにしているのだ。

いくら製薬会社が消費者を重要なステークホルダーと見るようになっても、消費者のほうはいっこうに製薬会社に好感を持ってくれない。

製薬会社はこのジレンマに当分悩まされることになるだろう。

しばらく前には、製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)を使った臨床研究に同社の社員が身分を明示せずに加わり、臨床試験で論文不正を行っていたという問題が話題になりました。

日本の医薬研究史上、類を見ない不祥事といわれる事件です。

累計1兆円を超す売り上げを誇るヒット商品、ここでは降圧剤ですが、その薬がよって立つ科学的な根拠が崩れ去り、消滅したのです。

降圧剤とは読んで字のごとく、血圧を下げる薬で、体にどう作用して血圧を下げるかによって複数の種類があるそうです。

問題のバルサルタンを含む降圧剤は2012年度の薬価ベースで6300億円といわれる市場規模。

降圧剤の治療では一度使い始めた薬をずっと使い続ける傾向があるそうで、降圧剤を扱う多くの製薬各社がしのぎを削ってきたようです。

そこに登場してきたのが今回問題になったバルサルタン。

発売は2000年、5年後の2005年に年間売り上げ1000億円を突破し、ピーク時の2009年には1400億円、昨年2012年でも、日本国内売り上げは1083億円。

累計売上は1兆2000億円・・・

ノバルティスファーマ株式会社のこの事件前の採用情報にはこうあります。

2011年度売上高は3156億円。

とくに牽引したのは、高血圧症治療薬「ディオバン」。

現在120ヵ国以上で使用され、世界市場で同系統の高血圧症治療薬の中でトップシェア製品となっています。

日本においては、売上1000億円を超えている数少ない医療用医薬品の一つであり、2011年度は1201億円を売り上げました。

全体の売上の30%にあたることからも、今回問題になった降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)が看板商品であったことは一目瞭然です。

こうなるために、ノバルティスファーマ社は、降圧剤ディオバンは、血圧を下げるだけでなく、脳卒中や狭心症の予防に大きな効果があることが証明されることを期待し、大学側に臨床試験を提案していったわけですね。

その結果、臨床試験を実施したのは5大学。

このうち京都府立医大には、ノバルティスファーマ社から奨学寄付金が1億円余り、東京慈恵会医大には8400万円などが提供されました。

資金が流れ、販売元の社員が臨床試験のデータ解析を行って、すごい効果が出た!と論文を発表し、売れに売れた。

実に単純な構図で、ただ不正を行ったとされる本人は否定、東京慈恵会医大の調査委員会は「元社員のデータ操作が強く疑われる」、京都府立医大は「意図的な操作かどうかも含め誰が操作したのかを特定することはできなかった」と茶番なコメントをすでに発表しています。

一方、降圧剤の販売元であるノバルティスファーマ社は、

「調査したが、元社員によるデータ操作や上司が操作を指示したことを示す事実は認められない」

と不正への関与を否定、社員が単独でやったといわんばかりのコメントを出しています。

もし、それが本当だとすると、社員個人が上司に許可なく、誰に相談もなく、数千万円単位でホイホイ動かせる仕組みになっていることになりますが、そんなことはないでしょう。

まあ、ことの成り行きはさておき、こうした事件の結果を受けて、当事者の京都府立医大病院はノバルティスファーマ社との医薬品の取引を原則停止すると発表しました。

「大学ぐるみで同社と癒着をしているのではないかとの疑いを払拭するため」

多くの患者はすでに思っていると思うけれど・・・

降圧剤ディオバンを採用していなかった病院でも、ノバルティスファーマ社との医薬品の取引を停止、または制限するところも当然ながら出てきています。

高血圧治療薬ディオバンの臨床研究不正問題に対する当院の見解
jouhoku-hosp.com/info1308/

すでに触れた

評判は社内から築かれていくもの評判がいいと社員は誇りを持ち、評判を維持しようとするその評判は、社員の新規採用をする場合にもセールスポイント

は、こうして医薬品に対する信頼性とともに崩れ去ることになります。

ゼロにはならないのでしょうが、数百億円規模の売上を吹き飛ばしたわけです。

製薬会社はこのジレンマに当分悩まされることになるだろう

とオルソップ氏が述べた理由はこうした製薬業界の内幕をある程度知っていたから指摘したのでしょう。

全米セールスNo.1に輝いた”バイアグラ”セールスマンの「涙と笑いの奮闘記」という本があります。

「涙と笑いの奮闘記」ジェイミー・レイディ著
tinyurl.com/mg4dhvh

なかなかおもしろい本なので、ぜひ読んでほしいのですが・・・特に営業関連の方にはオススメします。

本書は、世界的な医薬系大企業ファイザー株式会社に医薬情報担当者、いわゆるMR(医薬品メーカーの営業部員)として入社した著者が全米ナンバーワンの売り上げを残して退職するまでの5年間の内幕暴露本。

その中にこういう記述があります。

101ページ

すでに説明したように、医薬品のセールスマンは薬についての研修で、自分が扱う薬が一番だと学ぶ。

会社は何千ドルも費やして従業員に自社の製品は三番目だなんてことを教えたりしないのだ。

僕が六週間の研修と洗脳で、ジスロマックがこの世で一番すぐれた抗生物質だと盲目的な信念を持ったのも不思議ではない。

121ページ

最大の出費は、昼食をおごることだった。

ファイザーのセールスマンになったときには、ボクは自分のことを、多くの生命を救うために重要な情報を医者と看護師に与えて、病気と戦う人物だと考えた。

しかし、三ヶ月後には、自分が事実上の仕出し屋になっていて、僕の提供した情報でもっとも歓迎されたのは、オリーヴ・ガーデンの黒と白のチーズケーキがテイクアウトできることだとは、よもや思わなかった。

自社の社員が担っている仕事を見直すのはときに酷なこともありますが、評判の鍵が社員とすれば、そこに踏み込んでいかざるをえない。

上記のようなコメントをたった5年在籍した社員にそこら中に撒き散らされたら、その損害は信じられないほど大きいですからね。

そして、こうした商慣行は、製薬会社だけの問題ではなく、医者や看護師、または病院などサービスの受け手側の問題も当然ながら内包していますので、「我が社」だけではどうにもならないのも事実です。

昔よりは少しずつ良くなっているのは間違いありません。

その良くなるスピードは業界次第の部分もありますが、まずは評判を意識して、社員を鍵とする考え方にあるのではないでしょうか。

ちなみに、「涙と笑いの奮闘記」は映画化もされているようです。

ニューズウィーク日本語版
「映画になったバイアグラ営業マンの告白」
www.newsweekjapan.jp/stories/movie/2010/11/post-1832.php

皆さんの率直な意見をお聞かせください。



     

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