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お知らせ

感情に訴える/レピュテーション・マネジメント その10

朝晩はグッと冷え込むのに、日中はわりと温かい。身体がなかなかついてこない今日この頃です。

台風26号による土石流災害が起きた伊豆大島はあれから早1ヶ月。衝撃の台風30号がフィリピンを直撃してから10日あまり。

11月16日の午後8時44分頃には関東地方で震度4の地震を観測。

なんだか気候も世の中も薄寒い日が続きますね。

「おもしろきこともなき世をおもしろく」は高杉晋作の句でしたか、そんな「おもしろきこともなき世」も、

野村望東尼の後の句

「すみなすものは心なりけり」

で乗り切りましょう。

コーポレート・マネージメント その10

2005年に発売されたロナルド・オルソップ著
レピュテーション マネジメント
tinyurl.com/mlaf8ln

この本7番めに出てくる「法則7 感情に訴える」についてここでは取り上げたいと思います。

ただこの「法則7 感情に訴える」が書いてある12ページほどは、個人的な感想をいえば、内容がほとんどないんです。

皆さんにぜひ知っていただきたいポイントは、

企業にたいして抱く感情は、完全に合理的なものではないことを覚えておいたほうがいい。

これはほとんどの方がピンとくるのではないでしょうか?

本書にあるコンビニエンスストアの上級副社長のコメントは冴えています。

「顧客は、自分たちには言いたいことを自由に言う権利があると思っている。

何か気に入らないことがあれば、ライバル店に行くのではなく、われわれを怒鳴りつけるんだよ」

いかがでしょうか。私なんかこのコメントには拍手喝采だったのですが、みなさんはいかがでしょうか?

これすなわち、顧客が「企業にたいして抱く感情は合理的なものではない」ということですよね。

本書にはこんな事例が紹介されています。

ある航空会社では、

座席の素材と客室乗務員の制服のデザインを変更しただけで会社の好感度がアップした・・・

「料理の味までよくなったような印象を与えていた。実際には座席の布地がかわっただけなんだがね」。

最近、食品の偽装表示、いや誤表示だ!なんて問題が世間を賑わせていますが、それらの企業はこの航空会社とは真逆の形でサービスを提供しようとして墓穴を掘ったといえないでしょうか。

安いブラックタイガーを使っているのに伊勢海老と表示するのと「座席の素材と制服の変更」だけで「料理の味までよくなったような印象を与える」のはその精神は正反対。

自分たちが提供しているサービスの、どこに顧客が反応しているのかを考えていないと、こうしたボタンの掛け違いが起こってしまうのではないでしょうかね。

「法則7 感情に訴える」ためには「己を知る」必要があります。

良質は空間や上質なサービス、その雰囲気に対して高価な対価を支払う用意がある顧客にわざわざ嘘をついて伊勢海老と言う必要はない。

ブラックタイガーがオマールエビに思えてくる「もの」や「サービス」や「雰囲気」を考えるべきだし、それが顧客の「感情に訴える」のではないでしょうか。

例えば、箱根駅伝で活躍した大学や甲子園に出場した高校の受験者数が増えたり、受験生の志望動機が実は「制服がかわいい」とか「校舎がきれい」だったりしますよね。

まさに、「顧客が企業にたいして抱く感情は合理的なものではない」という一つの例です。

顧客の心理になって考えることが大事だ、ということですよね。顧客を知り己を知れば百戦殆からず、です!

★ 今週のテーマ 「感情に訴える」

先に紹介したオルソップ著「レピュテーション マネジメント」の「法則7 感情に訴える」には小項目がいくつかあります。

それらを挙げると、

◆心を刺激する
◆心の琴線に触れる広告
◆喜びを与える
◆顧客との距離

多くの方が、これらを見て、大方の内容について察しがつくのではないかと思います。

「心を刺激する」「心の琴線に触れる」いえば、すでに決定した東京でのオリンピックでのプレゼンテーションが話題になりました。

オリンピック 東京プレゼン全文
www.huffingtonpost.jp/2013/09/07/olympic_candidate_tokyo_presentation_n_3886260.html

「感情に訴える」ためには感情一辺倒ではなく、

「感情-論理-感情」に訴えるストーリー

が必要だと述べている方もいらっしゃいました。

野村尚義さん「オリンピックのプレゼンはストーリー」

オリンピック招致のプレゼンテーションは「感情-論理-感情」に訴えるストーリーだった

様々なスピーカーが順にステージに立つさまは、まるでリレーのバトンタッチのようでした。

そして、リレーが全体で1つのレースであるように、今回のプレゼンも全体でひとつの完成したストーリーなのです。

こういう観点でオリンピックのプレゼン全文を見なおしてみると勉強になるというかたもいることでしょう。

オリンピックに関係ないけれど、「知性よりも感情に訴えかけろ」と言っている方もいらっしゃいます。

達人に学ぶ「伝わる技術」 第4回 上野陽子さん
要点を絞り込み「知性」よりも「感情」に訴えかけよ
president.jp/articles/-/9310

こうした「見せる」テクニックについては皆様方のほうが詳しいと思いますので、これくらいにしますが「感情に訴える」際にこうしたテクニック以外にもう1つ大事なことがあると私は考えています。

これも先ほどニュースになったのですが、32年間続いた『笑っていいとも!』が来年3月で終了するとか。

今回のテーマ「感情に訴える」にもつながると考えますので女性セブン2013年11月21日号の記事を紹介します。

『いいとも!』の魅力 枠の中で盛り上がる究極のマンネリズム
www.news-postseven.com/archives/20131111_225838.html

映画化もされた芥川賞作家・吉田修一さんの小説『パレード』(幻冬舎文庫)には、こんな一文がある。

「笑っていいとも!」ってやっぱりすごいと私は思う。一時間も見ていたのに、テレビを消した途端、誰が何を喋り、何をやっていたのか、まったく思い出せなくなってしまう。

関東学院大学文学部教授(メディア論)の新井克弥さんは、これこそが『いいとも!』最大の魅力だと話す。

「タモリは大まかな進行は制作側に任せて、そのシナリオのうえで自由に立ち回る。決まりきった枠という制約のなかで、ゲストや他のレギュラー出演者たちと盛り上がる。

いうなれば究極のマンネリズム。ひとつのパターンの上で、無限のものを繰り出しているんです」

実際、タモリ自身もマンネリを大切にしながらも、その中に刺激を入れる工夫を常に凝らしていた。

26年間レギュラーを務める笑福亭鶴瓶(61才)は、番組中にボケをタモリに潰されることがたびたびあった。それがどうしても嫌だった鶴瓶はある時、直訴したという。

すると、タモリは飄々としてこう答えた。

「邪魔することによって、いつものセオリーじゃない笑いが生まれるんだよ。つまりはマンネリがなくなるんだよ」

そのときの感想を鶴瓶は、あるインタビューでこう語っている。

<いつも見てた同じようなコーナーに付加価値を生むためにも、マンネリを防ぐためのプロの言葉やって思った>

その32年間の”マンネリ”も今終わりを迎えようとしている。

なにゆえ「感情を訴える」のテーマでこの記事を紹介したのか?

オリンピック招致のプレゼンなんかはまさにそうですが、一発勝負ですよね。1点集中です。

ゆえにそこには感情の爆発が必要になる。ためて、ためてドカーンというか、閃光を放つような破裂が求められる。

ただ、その一瞬の煌きはそこで終りを迎えます。

しかし、企業は、組織は永続的な活動が求められる。永遠はないにしても、息の長い活動、継続があってこその価値でもありますよね?

そういう意味で、私たちが「感情に訴える」という点において参考にすべきなのは、オリンピック招致の爆発的なプレゼンではなくて、『笑っていいとも!』のタモリの立ち位置ではないかと思っているんです。

組織や企業は「究極のマンネリズム」。その中で、

ひとつのパターンの上で無限のものを繰り出している

“タモリ語録”で有名なのは

やる気のある者は去れ

でしょうが、この態度は「感情に訴える」または「訴えよう」というものの対極の態度ではないでしょうか。

しかし、それはなにもしないってことでない。

マンネリを大切にしながらも、その中に刺激を入れる工夫を常に凝らしていた。

もう1つ、”タモリ”語録を紹介すると、

異常なことを、なるべく普通のテンションでやるのがいいんだ

タモリさん発言集340選
ww6.enjoy.ne.jp/~are/tamori.html

多くの企業がマンネリを恐れ、マンネリを打破するような施策を日夜考えて、新機軸を打ち出そうとしているように感じます。

たまにはその新機軸も当たることがあるでしょう。しかし、その確率は案外低い。

それよりは日々のありきたりなマンネリの中でなにを見るか、どんな工夫ができるか。そっちに力を傾注したほうが楽でいいんじゃないかとも思えます。

樋口毅宏著『タモリ論』にはこんなふうに書かれています。

・・学生の頃は夏休みになると、(笑っていいとも!を)そこそこ見ていましたが、途中で消してしまうことも少なくなく、それ以前にお昼に起きていなかったりと、それこそまったく見ていない時期がありました。

しかしあるとき何の気なしに昼間にテレビをつけるとタモリが、たとえ数年ぶりだとしても、まるっきり変わらず、いつもの軽ーい感じで「いいとも!」に出ています。

これこそ「笑っていいとも!」の真骨頂であり、タモリの醍醐味ではないでしょうか。

テレビに限らずラジオもそうですが、帯の生放送の番組でもっとも重要なのは「習慣」と「継続」であり、そこに「普遍性」が加わったらもう無敵です。

長い間不在にしていたのに、久し振りに帰ると、若干リニューアルしたところがあるものの、基本的に大きく変わったところがない。

まるで故郷の商店街のよう。それが「いいとも!」なのです。

きょうは別に見なくてもいいや、というときは、チャンネルを変えてもいいし、外へ出かけてもいい。

いつもやっている、いつでも戻ってこられるという安心感。「いいとも!」は日本に生まれ育った人にとって、郷土(ホームタウン)のようなものです。

同じような番組に、日曜日の「笑点」と「サザエさん」が挙げられます・・・・

いつもいつも見ているわけじゃないのに、たまに見ると変わっていなくて、でも実は少し変わっていて、見ると安心できる感じ。

これって私たちでいうと、自社のホームページに当たるのではないでしょうか。

「感情に訴える」という言葉を聞くと、素晴らしいプレゼンテーションは思い浮かばず、タモリが思い浮かぶ。

これはもしかしたら私だけなのかもしれませんが、対極に思えるものに答えがあるというのは言いすぎでしょうか?

最後にとても好きな動画を紹介します。

何人かの知人に見てもらったのですが、「おもしろい」「わかる」という人は少数、「よくわからない」という人が多数の動画です。

ここらあたりの感性の違いが人生の分岐点となったり、組織の方向性の違いになっていくのではないかとひそかに思っています。

お時間があればぜひ!

TED Talks ドナルド・ノーマン
「感情に訴えるデザインの3つの要素」
www.ted.com/talks/lang/ja/don_norman_on_design_and_emotion.html※クリックすると音が出ます。

皆さんの率直な意見をお聞かせください。

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