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お知らせ

事実は真実の敵なり/コーポレート・レピュテーション その11

グーグルが自社サービスを使いこなせていないというニュースが話題になっています。

今回ネット上で丸見えになっていたグーグルグループは、グーグル日本法人の社員が開設し、社内で情報共有するために運用していたとか。

しかし、本来、非公開にすべきものだったものが公開になっており、空港や駅、商業施設の図面がネット上で公開状態に、保安上の重要施設も丸見えになっていたようです。

昨年2013年7月には、環境省の国際条約の交渉内容やがん患者の診療記録などが中央省庁や医療機関などのグーグルグループで公開状態になっていたという話もありました。

日本人は情報についての価値判断や秘密保持について、諸外国よりもルーズであるというのはよく言われることです。

そうした日本人の情報に対する価値判断や秘密保持をすべく、政府によって設置されたものの1つが日本版NSCと言われる「国家安全保障会議」ですね。

昨年2013年11月に国家安全保障会議の創設関連法が成立、国家安全保障局は今年1月に発足しました。

NSCは、外交・安全保障政策の迅速な意思決定と情報の一元化を図るため、首相と官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を常設、2週間に1回程度開催し、緊急事態に対応するため、首相が指定した閣僚で構成する「緊急事態大臣会合」も新設されました。

これによって日本人の情報に対する認識が変わればいいですね。

ただグーグルが自身のサービスを使いこなせていないように国家安全保障局も恰好だけの設置にならないか、今後国民も注視していく必要があるのではないでしょうか。

コーポレート・レピュテーション その11

このコーナーではこれまでディアマイアー著『評判はマネジメントせよ』やオルソップ著『レピュテーションマネジメント』を読んできました。

現在は3冊目となる
『コーポレート・レピュテーション』
tinyurl.com/kg2ttgs
テリー・ハニングトン著 監訳:櫻井通晴・伊藤和憲・大柳康司
を紹介しています。

今回は第5章「経営幹部のコミットメントの獲得とコミュニケーションの重要な役割」となります。

が、内容的に特筆すべきものがない。

経営幹部にコーポレート・レピュテーションに関する問題とその潜在的な影響を知ってもらい、資金を投入す意義を説き、コーポレート・レピュテーションに力を傾注させよ。

なぜなら、

経営幹部は自分のポジションがどこに位置しているのかを自ら決定することはできない。

企業の運命を決定づけているのは、ステークホルダーたちである。

経営幹部は自らの企業が素晴らしいと評価されるように目指すことはできるが、素晴らしいかどうかを実際に判断するのはステークホルダーなのである。

しかし、なかなか「目に見えぬ」評判に貴重な資金と時間と人材を投入し、情報を収集し、インタビューし、調査してステークホルダーに自分たちがどう映っているかを知ってもらう、つまり評判について考えてもらうには骨が折れます。

そこに見るべき事実があり、私たちには見えているのに、組織の人には見えていない。

この章を読んで私は1つの言葉を思い出しました。

「事実は真実の敵なり」

武田邦彦「自分の目で見たことでも事実ではない」
takedanet.com/2007/04/post_2e53.html

・・よく若い学生が「先生!私はこの目で見たのだから確かですっ!」と意気込んで実験の結果を説明します。

でも私は科学者として若い頃から多くの実験をしてきたので、目の前で観測し、ノートに書き留め、何回も同じことをして「これは間違いない」と思ったことでも、何かのきっかけで簡単に覆されることを経験しています。

だから「自分の目で見たものでも事実でないものがある。自分が考え違いをしていると事実は違って見える。」と言うことを知っています。・・私たちを取り巻いている世界は私たちが目で見たものと同じではありません。私たちはある先入観で世界を見ているので、先入観で歪んでいます。

私たちが見ているものはありのままの世界ではなく、目から入った光線が一度、頭で屈折して今まで自分の頭に入っていることと調和させたり、自分の都合にあわせて、光学的な像を作ります。

だから「目で見たもの」は「世界そのもの」ではありません。それは自分流に解釈したものなのです。

人が憎らしくなると憎らしく見える。惚れて通えばあばたもえくぼ・・・という諺もあります。

目で見たことは事実ではないことは昔から判っていたのです。私たちが目に見える世界は「現在の知識や、現在の自分の感情、そして今までの経験を通じて見ている世界」であり、決して事実そのものではありません。

コーポレート・レピュテーションの意義を説き、貴社に評判について考えてもらうべき時に一番最初に越えなければならない課題がまさに

「自分が考え違いをしていると事実は違って見える」

の壁です。

あなたに見えているものは、あなたが考え違いをしているからじゃないのか?

こんなことを言われて気分がいい人はいません。しかし、言わなけれならない。

なぜなら、あなたが見ているものは「事実」じゃないから。

「事実は真実の敵なり」というのは、「ラ・マンチャの男」ドン・キホーテが発する言葉です。

ginnews.whoselab.com/10-10/tea.html

松本幸四郎主演、ミュージカル「ラ・マンチャの男」は舞台で「事実は真実の敵なり」といい、

「一番憎むべき狂暴は、あるがままの人生に折り合いをつけて、あるべき姿のために戦わないことだ」と訴えた。

今のあなたのあるがままの組織に折り合いをつけて、あなた方の組織のあるべき姿のために戦わないのは憎むべき狂暴だというわけです。

憎むべき狂暴を放置しているのは組織の中の誰なのか?

一度考えて見ることをお勧めします。いつでもご相談に乗りますよ。

★ 今週のテーマ 「事実は真実の敵なり」

先に触れた「事実は真実の敵なり」については検索していただくとたくさんの方がブログなどで取り上げているのががわかります。

STAP細胞問題で顔に泥を塗られたノーベル化学賞受賞者で理化学研究所の理事長である野依良治氏が日本経済新聞の「私の履歴書」で書いた内容をまとめた本の題名も

「事実は真実の敵なり―私の履歴書」
tinyurl.com/ma7b3wd

でした。

この言葉の解説をもう1つ紹介しましょう。

白光 ノート 14-10 『事実は真実の敵なり』
fujiyama122.blog.fc2.com/blog-entry-210.html

表題はミュージカル「ラ・マンチャの男」のドンキホーテのセリフである。

言い換えると、

「現象(過去)は真理を覆い隠す」ということだ。

ノーベル賞を受賞した野依良治教授も科学認識についてこう語る、

「事実は限定的であり、事実によってその裏に潜む偉大な真実を見逃してしまう」と。

野依教授の言う科学認識は自己認識にも通じる。

また、ある現象を事実として受け容れてしまうと、真理が見えなくなってしまう。真理より事実を優先的に認めてしまうことになる。

科学の世界でも、

「多くの人間は、ある現象に対していちど特定の仮定をもってしまうと、その仮定に当てはまらない事象を見ても無意識的に排除するようになる。自らの仮定に反する事例を目の前に出されても、それは実験に別の要素が入り込んだか手順を間違えたに違いないなどとみなすようになり、自らの仮定が間違っているかもしれないとは考えようとしなくなる」

と言われている。

いかがでしょうか。

組織に当てはめて考えてみても、十分あり得る事象ですよね。

第三者からすれば「ちゃんと精査すればわかるだろう」ということも

いちど特定の仮定をもってしまうと、その仮定に当てはまらない事象を見ても無意識的に排除するようになる。

そして、自らの仮定が間違っているかもしれないとは考えようとしなくなる・・・・

もしこうした現象が御社の末端の人ではなく、経営幹部で起こったとしたら、空恐ろしいことです。

いや、大組織になれば、それだけチェックする人も多くなるし、情報が通るフィルターも多くなるのでそうなる可能性は高くない。

そう言い切れるか。

先の大戦においては、大本営発表が延々と報じられ、参謀本部の連中も明らかに

いちど特定の仮定をもってしまうと、その仮定に当てはまらない事象を見ても無意識的に排除するようになる。

現象が出ていたことを知っているでしょう。

堀栄三著『大本営参謀の情報戦記』の最終章にこんな記述があります。

・・米軍は昭和21年4月、『日本陸海軍の情報部について』という調査書を米政府に提出している。

その結言のなかの一節をまず紹介しておかねばならない。

「結局、日本の陸海軍情報は不十分であったことが露呈したが、その理由の主なものは、

1、軍部の指導者は、ドイツが勝つと断定し、連合国の生産力、士気、弱点に関する見積りを不当に過小評価してし まった。(国力判断の誤り)

2、不運な戦況、特に航空偵察の失敗は、最も確度の高い大量の情報を逃がす結果となった。(制空権の喪失)

3、陸海軍間の円滑な連絡が欠けて、せっかく情報を入手しても、それを役立てることが出来なかった。(組織の不統一)

4、情報関係のポストに人材を得なかった。このことは、情報に含まれている重大な背後事情を見抜く力の不足とな って現われ、情報任務が日本軍では第二次的任務に過ぎない結果となって現われた。(作戦第一、情報軽視)

5、日本軍の精神主義が情報活動を阻害する作用をした。軍の立案者たちは、いずれも神がかり的な日本不滅論を繰 り返し声明し、戦争を効果的に行うために最も必要な諸準備を蔑ろにして、ただ攻撃あるのみを過大に強調した。その結果彼らは敵に関する情報に盲目になってしまった。(精神主義の誇張)

と結んで、これが米軍の日本軍の情報活動に対する総評点であった。

あまりにも的を射た指摘に、ただ脱帽あるのみである。

以上の五項目は、戦後四十年経った現在でも、まだ大きな教訓的示唆を与えている。

堀栄三著『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』
tinyurl.com/rxnp3a

この記述の「日本の陸海軍情報は不十分であった」というところを「自社の評判に関する情報は不十分であった」とすれば、すべて私たち組織にかかわるものへの戒めへと変わります。

1、国力判断の誤り → 自社の評判を過大に評価

2、制空権の喪失 → ネットにおける「制空権」の喪失

3、組織の不統一 → 組織内部のいける連携不足

4、作戦第一、情報軽視 → ※CROの不在

5、精神主義の誇張 → 経営数値至上主義

※補足

レピュテーションを構築するには、・・・CIO(情報担当重役)だけでなく、CEOやマーケティング担当重役などいろいろな部署が関わってくる。

多様な仕事を統合するためには、CRO(レピュテーション担当重役)という組織を設定する必要がある。

ディアマイアー著『コーポレート・レピュテーション』第3章

中小企業にこそ広報担当が必要/コーポレート・レピュテーション その9

評判を測定するものは組織の外部に設けてもいい。しかし、組織内の多様な仕事を統合する役割は組織内に必要です。

あとはその必要性を誰が感じとるか。そして、集めた評判に関する情報をきちんと活用できるか。

貴社はいかがでしょうか?

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