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お知らせ

企業理念の多くが大袈裟で信頼できない/コーポレート・レピュテーション その13

GW明けの今週、ネットでは、「悲報」として、GW明けより次の7月21日の「海の日」まで祝日はなし!と盛り上がっているようです。

6月も祝日の制定を!という声がこれから大きくなっていくのかもしれませんね。

先週は、埼玉県、千葉県、茨城県に竜巻注意情報が出されました。

暖かくなるにつれて、積乱雲が発達して、強い雨が降ったり、雷が鳴ったりする季節です。

祝日はありませんが、頑張っていきましょう!

コーポレート・レピュテーション その13

このコーナーではこれまでディアマイアー著『評判はマネジメントせよ』やオルソップ著『レピュテーションマネジメント』を読んできました。

現在は3冊目となる
『コーポレート・レピュテーション』
tinyurl.com/kg2ttgs
テリー・ハニングトン著 監訳:櫻井通晴・伊藤和憲・大柳康司
を紹介しています。

今回は第7章「調査結果」です。第6章の「コーポレート・レピュテーションの調査」を経ての「調査結果」についての記述です。

第7章の冒頭、著者はこんなふうに述べています。

調査の結果がある。良かれ悪しかれ、現実がわかる。

この新しい知見をうまく利用するにはどうすべきか。

何がわかったかによって、なすべき行動が決まる。

すべてのグループからのフィードバックが肯定的で、うまくいったという評価であれば、何もする必要はない。

しかし、これが事実であるというのはどうか。

われわれは完全な人間や組織ではないことを知っている。

完全な製品・サービスを提供する完全な企業であっても、誤解されることはありうる。

取り組むべき領域を発見する時はなおさらである。

ステークホルダーが満足していない領域があれば、プロセスと行動の変革が促されなければならない。

そのためには、必要な変革に全員を「巻き込む」ことが必要である。

と。

その上で、

自社の重要かつ評価の高い属性についてのスタッフの見解が、顧客のそれとは異なることがしばしば見受けられる。

多くの調査で、広くグローバルな製品・サービスや技術の高いスキルといった属性に対して、スタッフの評価が高いことがわかってきた。

それはなぜか。

これがエゴを含んだ評価であると理解するのに特別な能力は必要ない。

「わが社は、最も革新的な技術によって、さまざまな製品・サービスを提供するグローバル企業である」というのは、企業のエゴ、あるいはスタッフのエゴを反映している。

対照的に、顧客は、ある企業がニッチの製品・サービスで高い競争力を持っていると考える時に、一つの国でその企業を選択する。

実際に、最先端の技術があるわけではないが、顧客が企業を選択する理由の一つということである。

顧客はスタッフの質が高いことを好むが、コーポレート・メッセージの多くが大袈裟で、信頼できないことを知っている。

唯一のサプライヤーにはなれないが、できることをすればよい。

問題は、顧客(あるいは潜在顧客) との乖離が生じていることである。

企業が自社の理念を繰り返すたびに、顧客を本当に理解していないことがわかってしまう。

個々のスタッフは誤ったコーポレート・メッセージを発するかもしれない。

しかし、このことが、スタッフのなかにも顧客とのコミュニケーションの方法を知っている者はいるが、経営者は市場と顧客を本当には理解していないことをステークホルダーにわからせることになる。

これでは、半分成功ではあっても、長期の密接な信頼関係にとって、正しい一歩にはならない。

たいていこのようなミスマッチは、野心的なミッション・ステートメントをスタッフがそのまま賛成してしまうことによる失敗である。

顧客(あるいは潜在顧客) が最も高く評価する行動は何かというメッセージと説明を見直すことが、最も有用な出発点になる。

いかがでしょうか。

企業が自社の理念を繰り返すたびに、顧客を本当に理解していないこと

がわかってしまう。

このようなミスマッチは、

野心的なミッション・ステートメントをスタッフがそのまま賛成してしまうことによる失敗である。

組織や企業の理念についてはこれまでのメルマガで数多く触れてきましたのでここでは触れませんが、私たちは

唯一のサプライヤーにはなれないが、できることをすればよい

のであって、コーポレート・メッセージの多くが大袈裟で、信頼できないことを顧客が知っている、という前提に立ち、顧客が好むスタッフの質を高めることに専念すればよいともいえるでしょう。

顧客に対し、素直なメッセージを伝えること、それも重要な要素の一つだということですね。

★ 今週のテーマ 「企業理念の多くが大袈裟で信頼できない」

昨今、「ブラック企業」などというありがたくない名称の代名詞的に使われているのがユニクロとワタミグループでしょうか。

ユニクロとワタミグループにとっては迷惑な話ですが、週刊誌等の報道にネットでの書き込み等も加わって、「当然ブラック企業だろ?」とみなされていることは残念なことです。

わからないですからね、実際にそこで働いていないと。

ものすごい生きがいを感じて働いている方もいるようですし。

もちろん事件があったり、問題が発生したりすることでそれらが取り上げられたりするわけですが、本当の「ブラック企業」であれば、時間とともに淘汰されていくでしょう。

ブラック批判に対しては、すでに創業者よりそれぞれ

甘やかして、世界で勝てるのか
ファーストリテイリング・柳井正会長
business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246495/?rt=nocnt

「ブラック企業」と呼ばれることについて 
渡邉美樹
blogos.com/article/63429/

「我々の離職率は高くない」
ワタミ・桑原豊社長
business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246500/?P=1

反論が出ていますのでそちらを参照ください。

今回はワタミグループを、「ブラック企業だ」ということではなく、テーマとしては、すでに引用紹介したテリー・ハニングトン著『コーポレート・レピュテーション』の第7章にある

顧客はスタッフの質が高いことを好むが、コーポレート・メッセージの多くが大袈裟で、信頼できないことを知っている。

唯一のサプライヤーにはなれないが、できることをすればよい。

問題は、顧客(あるいは潜在顧客) との乖離が生じていることである。

企業が自社の理念を繰り返すたびに、顧客を本当に理解していないことがわかってしまう。

ここを考える題材としてワタミグループを取り上げます。

ワタミの会社案内では、こんなふうな記述があります。
www.watami.co.jp/corp/annai.html

持続可能な経営へ挑戦し続けます。

ワタミグループは、「人間は本来持っている誠実さ、思いやり、感謝する心、そのような美しい資質を高めるために生まれてきた。

企業活動においても人間性を向上できる環境をつくっていきたい」と考え、創業当時より、人としての人間性、企業としての企業性を重視し、あらゆるステークホルダーの皆様の満足を追求してきました。

「地球上で一番たくさんの”ありがとう”を集めるグループになろう」というグループスローガンに代表されるワタミの理念に基づき、経済的・社会的・環境的ニーズの充足に挑戦し、既存の慣習に捉われることのない革新された社会づくりに挑戦・邁進しています。

ワタミグループの特徴「理念経営」

(1) 理念に基づき存在対効果を最大に

(2) 理念へのこだわりから生まれたビジネスモデル

(3) ワタミ最大の財産は思いを共有した「人」

壮大な企業理念ですよね。

もう1つ、紹介すると、

ワタミ 経営理念体系によれば、
www.watami.co.jp/corp/rinen.html

外食

一人でも多くのお客様にあらゆる出会いとふれあいの場と安らぎの空間を提供すること

おいしいものがあって、良いサービスがあって、良い雰囲気がある場所に、好きな人と一緒にいる…。

こんな場面を提供したいと考え、「安全・安心・手づくり」の商品開発、サービスレベルの向上、快適な空間づくりにこだわっています。

外食産業は人を幸せにする産業だと考え、「お店はお客様だけのものである」を店舗基本理念として、今後も笑顔の溢れる場面を一つでも多く提供していきます。

こうした企業理念を謳う中で1つの事件が起きたわけですね。

毎日新聞  2014年3月27日 ワタミ過労自殺訴訟 

大手居酒屋チェーン「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が入社2カ月後に過労自殺した問題で、遺族が経営会社や親会社の「ワタミ」、当時ワタミ社長だった渡辺美樹参院議員などを相手取り、約1億5300万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が東京地裁であった。

訴状などによると、美菜さんは入社3カ月後の2008年6月12日、神奈川県横須賀市のマンションから墜落して死亡した。

当時、同市の「和民・京急久里浜駅前店」で働いており、残業は月約141時間と国の定めた「過労死ライン」(月80時間)を超えていた。

残されたノートには「どうか助けてください」などと記されていたという。

渡辺氏が出廷して意見陳述し「道義的責任を重く受け止める」と謝罪したが、法的責任については「司法の判断を仰ぐ」と述べた。

渡辺氏は「ワタミ株式会社と共に心より謝罪申し上げます」などと述べ、遺族に向かって深々と頭を下げた。

そのうえで、再発防止や業務見直しに取り組んでいるなどと陳述した。【東海林智】

産経新聞の報道には具体的な記述があるのでもう少し紹介します。

2013年7月26日 産経新聞
入社2カ月で過労自殺した「ワタミ」の26歳女性社員
sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130726/waf13072607070002-n1.htm

「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」

居酒屋チェーン大手「ワタミフードサービス」の新入社員で、平成20年6月に過労自殺した森美菜=当時(26)=がのこした手帳の文面だ。

日付は5月15日。美菜は入社後1カ月半でこれを書き、1カ月もたたずに亡くなった。

調理研修がほとんど行われないまま神奈川県横須賀市の店舗に配属され、刺し身などを作る最もハードな「刺場」を任された。

開店前の午後3時までに出勤し、平日は午前3時、週末は午前5時の閉店後も働いた。

しかも与えられた社宅が店から遠く、始発電車まで待機を余儀なくされた。

ボランティア研修や早朝研修が組み込まれ、休日に心身を休める暇もなかった。

調理マニュアルに加えて経営理念集も暗記せねばならず、リポートの提出まで課せられていたという。

手帳に「SOS」を記すころまでの残業は月140時間。そして手を差し伸べる「誰か」は、会社の中にいなかった。・・・美菜の上司に当たる店長は、年下の女性社員だった。社内制度で決められた「カウンセリング」を週1回行い、休日に体力の回復や気分転換ができないと美菜から打ち明けられていたが、労働基準監督署の聴取には「どうして自殺したのか分からない」と答えた。

美菜のパソコンには死の直前、会社に提出したリポートが保存されている。

「120%の力で、どんなにひどい状況でも無理やりにでも乗り越えろと?」

「日々の業務が終わると、皆へとへとである。それとも、へとへとになっているのは、私だけか?」。

疑念を直接、ぶつけていた。・・

壮大な企業理念と実際に現場で起こった事件のこの埋めがたい溝というか、乖離ですよね。

これで3回目となりますがもう1回読んでほしい。

ハニングトン著『コーポレート・レピュテーション』の第7章

顧客はスタッフの質が高いことを好むが、コーポレート・メッセージの多くが大袈裟で、信頼できないことを知っている。

唯一のサプライヤーにはなれないが、できることをすればよい。

問題は、顧客(あるいは潜在顧客) との乖離が生じていることである。

企業が自社の理念を繰り返すたびに、顧客を本当に理解していないことがわかってしまう。

もちろん企業理念が万人もいる末端の社員まで伝わっているかと言えば、ワタミに限らず疑問でしょう。

それについては、渡邉氏も述べています。

「ブラック企業」と呼ばれることについて 渡邉美樹
blogos.com/article/63429/

・・以上の数値をみればわかるとおり、一部の情報だけをもって、一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではありません。

只一方で、パートさんやアルバイトさんを含めると、3万人を超える方がワタミグループで働いています。

私の目の届かない所で理念と反した事実が起きてしまうことも稀にあります。

しかしながら、私が事実を知った瞬間からは、早急かつ厳格に対応をして参りました。理念研修を定期的に行い、現場の声が私に直接あがってくる仕組みもあります。

もちろん、不満や不安を持つ従業員もいることでしょう。

でも、皆様の勤務されている会社にも、大なり小なり、そうした不満や不安を持つ従業員の方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そして、そうした不満や不安を乗り越えた先に、大きな成長を手にすることができ、夢に近づくことができることもあるはずです。・・

仮にあなたも私も数万人の社員を抱える経営者になれば、同じような弁を述べるのではないでしょうか。

しかし、そこには企業理念と実際の現場に埋めがたい溝は認められる。

ワタミは理念研修でもよく知られた企業ですからなおさら

企業が自社の理念を繰り返すたびに、顧客を本当に理解していないことがわかってしまう。

が明らかになってしまったということでしょうか。

すでにワタミではこうした現状を踏まえ、裁判とは別に外部の有識者委員会を設置し、指摘事項も公開しています。

「外部有識者による業務改革検討委員会」の調査報告書を踏まえた当社の対応について
www.watami.co.jp/pdf/140327whd001.pdf

1、主な指摘事項

・所定労働時間を超える長時間労働が存在している

・労働時間を正しく記録していなかったことがある、そのように指示されたことがある

・所定の休憩時間が取得できない

・有給休暇を希望どおり取得できない

2、指摘事項を踏まえた提言

・現場での人員不足の解消・予算設定上の制約による人件費使用の制限解消

人員不足に対する短期的な一つの解決策として、すでに

全体の店舗数の約1割相当にあたる 60店舗を 2014年度中に閉鎖、撤退することにいたしました。

店舗数の削減により、約770名の従業員(100名の正社員、1人1日8時間換算で670名のアルバイト)を近隣の他店舗に振り分けることで、残存店舗の人員不足を補っていくことが可能となります。

この再配置により、1店舗あたりの平均社員人数は現状の1.66人から1.83人(目標 2 名)となる見込みであり、引き続き改善に努めてまいります。

また、来店の少ない時間帯の営業時間を短縮することによる総労働時間の削減にも努め、従業員の労働環境の改善を図ってまいります。

今期は既に 103 店舗の営業時間の見直しを実施しており、来期についても一店舗ごとに最適な営業時間となるよう引き続き精査してまいります。

を行い、これ以外に「会議・ミーティング・研修時間の効率化」「メンタルヘルスサポート」「コンプライアンス経営の強化」などを挙げています。

それでも新入社員が計画の半分になるなど採用難が出ているようです。

ワタミ「エリア限定社員」本格導入へ 
2014年5月9日 Sankei Biz

居酒屋チェーン大手のワタミは8日、転勤を伴わない「エリア限定社員」を6月から本格導入し、アルバイトからの登用や中途採用で100人を確保する計画を発表した。

景気回復を背景に外食業界などの一部では採用難が深刻化しており、同社も今春の新入社員数が120人と、計画の半分にとどまっていた。

2014年3月期連結決算は前年は35億円の黒字から上場以来はじめての純損益49億円で赤字に。

社員の採用難、アルバイトの時給上昇、それでも埋まらない求人、人手不足、店舗閉鎖、この負の連鎖がどこで止まるか。

ハニングトン氏が第7章の冒頭で述べている言葉が浮かびます。

調査の結果がある。良かれ悪しかれ、現実がわかる。

この新しい知見をうまく利用するにはどうすべきか。

何がわかったかによって、なすべき行動が決まる。

すべてのグループからのフィードバックが肯定的で、うまくいったという評価であれば、何もする必要はない。

しかし、これが事実であるというのはどうか。

われわれは完全な人間や組織ではないことを知っている。

完全な製品・サービスを提供する完全な企業であっても、誤解されることはありうる。

取り組むべき領域を発見する時はなおさらである。

ステークホルダーが満足していない領域があれば、プロセスと行動の変革が促されなければならない。

そのためには、必要な変革に全員を「巻き込む」ことが必要である。

経営幹部だけでなく、社員全員を巻き込んだ変革ができるかどうか。

数年のうちにその結果はでるのではないでしょうかね。

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