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お知らせ

燃えさかるプラットフォーム/コーポレート・レピュテーション その15

GW明けから次の祭日、7月21日の「海の日」まで祝日はないという話はすでにここで書きましたが、このほどあらたに「山の日」が国民の祝日に制定されたとか。

国民の祝日に関する法律の第1条には

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

とあります。

「山の日」は8月11日で、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」となっています。

ただ実際の施行は再来年の2016年からで国民の祝日は15日から16日となります。

ちなみに7月の第3月曜日の祝日「海の日」は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」です。

祝日はいくら増やしてくれてもいいのですが、その国民の祝日の大きな意義である「・・・の恩恵に感謝する」は制定前から忘れられているような気もします。

1ヶ月に1回くらい「・・・の恩恵に感謝する」日があってもいいですよね。

あなたにとっての祝日、すなわち「・・・の恩恵に感謝する」日はいつでしょうか?

コーポレート・レピュテーション その15

このコーナーではこれまでディアマイアー著『評判はマネジメントせよ』やオルソップ著『レピュテーションマネジメント』を読んできました。

現在は3冊目となる
『コーポレート・レピュテーション』
tinyurl.com/kg2ttgs
テリー・ハニングトン著 監訳:櫻井通晴・伊藤和憲・大柳康司
を紹介しています。

今回は前回に引き続き第8章の「レピュテーション・マネジメントの計画と実施」についての記述です。

「コーポレート・レピュテーションの調査」を経ていかに「調査結果」を受け止め実行に移せるかが大きな課題になります。

「調査結果」に対する計画が立案され、経営層や管理者層のコミットメントが明確になったあとの「現実的な期待を抱かせることの重要性」について著者は言います。

計画が策定されその承認が得られたならば、どのようにしてその計画を発表し実行に移していくのであろうか。

それは、ある程度は、組織の性質と成熟度に依存する。

達成できないような高い期待を抱かせることは、それに関連するステークホルダーのレピュテーションを下げるいちばん手っ取り早い方法である。

変革を動機づけるための最善の方法は、変わることの範を示すことである。

経営者は、調査結果の内容を理解し受け入れたことを公にする必要がある。そのような例示が成功の鍵である。

より少ないことを約束し、実際にはより多くのことを提供するほうが、その逆よりはよい。

人間の心理は、過剰に約束したけれども期待どおりのものを提供せず失望を与えた者には罰を与える。

他方で、有言実行で、期待以上のものを提供する者は、好印象を持たれるのが普通である。

成熟した人間と組織はこのことを理解している。脆弱で不安定な企業はそうではないことが多い。

人あたりがよく、無理とわかっているほどたくさんのことを約束する愛嬌のあるいたずらっ子タイプは、面白みはあるけれども、長い目で見るとほとんど立身出世しない。

尊敬に値する企業は、その本質を見抜いていて、そのようなことに頼ることはしない。

ブランディングに対するスーパーマン・スーツによるひとっ飛びアプローチのように、口に出すだけで物事が実現すると期待しているような企業もある。

そのような企業は、3行の新しいミッション・ステートメントを書くことで、企業の現実とその企業に対する外部からの認識が一夜にして変わるものと期待している。

これはほとんど正しくない (その例外はおそらく、個人的動機づけに関する書籍の数ページだけであろう) 。

それらの企業は、外部からの認識ないしレピュテーションと当該企業の現実の姿との間の関連性を理解していないことが多い。

現実の姿が認識とレピュテーションを後押しする。

現実の姿を実際に変更しなければ、外部からの認識については、わずかにうわべを変えることしかできない。

この引用した部分は「レピュテーション・マネジメント」の本質的な話ではないでしょうかね。

スーパーマン・スーツによるひとっ飛びアプローチなどは意味がなく、

人間の心理は、過剰に約束したけれども期待どおりのものを提供せず失望を与えた者には罰を与える。

他方で、有言実行で、期待以上のものを提供する者は、好印象を持たれるのが普通である。

結果として、

現実の姿が認識とレピュテーションを後押しする。

現実の姿を実際に変更しなければ、外部からの認識については、わずかにうわべを変えることしかできない。

評判を意識したうわべだけのミッション・ステートメントや小手先の約束はいずれ見破られる。

「約束したものを提供する」こと、それがすべてというわけです。

そして、

成熟した人間と組織はこのことを理解している

と。

組織の歴史も売上高も関係ない。「このことを理解しているかどうか」がすべてなのです。

あなた自身は、そして属する組織は「このこと」を理解していますか?

ぜひ一度問うてみてください。

★ 今週のテーマ 「燃えさかるプラットフォーム」

すでに紹介した第8章「レピュテーション・マネジメントの計画と実施」の章で著者のハニングトン氏は「燃えさかるプラットフォーム」という言葉を使っています。

ハニングトン氏によれば、

燃えさかるプラットネーム(burning platform)という言葉は海上の石油掘削用のプラットフォーム上で焼け死ぬよりはと、冷たい北海へ飛び込んだ労働者の逸話から生まれたもので、変革のインセンティブをつくり出すためには緊迫した状況が必要であることを意味している。

換言すれば、そのような緊迫した状況下に置かれなければ、人々はなかなか変革を受け入れようとはしないということを表している。

と注釈をつけています。

そして、その燃えさかるプラットフォーム (緊迫する状況)をつくり出すためにどれほどの時間と労力を費やす必要があるかは、

その企業においてどの程度の変革を行う必要があるかによって決まる。

組織変革の研究者は、「燃えさかるプラットフォーム」のたとえを用いて、新しい組織モデル、態度ないし行動様式への移行を動機づける作用について説明している。

その際しばしば引用されるのは、「ゆでガエル」の話である。それによると、水を張った鍋にカエルを入れて、水が沸騰するまで温度を徐々に上げていくと、カエルは飛び出さないという。

カエルは徐々に上がっていく温度を感じることができないそうである (それが真実か否かは私には確かめることはできないが・・・) 。

話としてはよく理解できるが、いざ組織で実践するとなると・・・と「燃えさかるプラットフォーム (緊迫する状況)」の話を読んだ方も多いことでしょう。

ハニングトン氏は「変革のインセンティブをつくり出すためには緊迫した状況が必要」としていますが、これはそもそもの組織の在り方が問われているということでしょう。

「経営とは社会変革」を唱えたP・ドラッガーを書中の師としたリクルートの創業者の江副浩正氏は著書で「人材輩出企業」といわれるリクルートの組織の仕組みを以下のように述べています。

『リクルートのDNA―起業家精神とは何か』江副浩正著

P・ドラッガーは、組織を効率的に機能させるにはどうすればいいかについて、多くの提言をしている。

その柱はPC(プロフィットセンター)制と称するマネジメントのシステムだ。

このPC制を導入したことで、上からの命令なく社員一人ひとりが自発的に仕事する風土が生まれ、経営者が育ちリクルートは高収益企業になっていった。

私は、会社の中に小さな会社(PC)をたくさんつくり、そこに大幅な権限を委譲すると同時に高い成果を求め、赤字PCはリストラしていった。

PC長は、自分の裁量でPCの運営をする。PC長はPCの社長、PCのメンバーはPCの取締役。ほとんどのPC長は、三十歳未満。平均して十人程度の社員を率いるが、メンバーがいないPC長もいる。

PC長は他のPC長と協調的競争をしつつ独自の経営を行う。拡大も廃棄も、PC長の力量にかかっている。

高い業績を上げれば、若くても大きなPCのPC長に昇進できる。

そして、PC長として高い成績を上げれば、事業部長となる。さらにそこで高い業績を上げれば事業部門の部長になる。

これがリクルートで経営者を育てる仕組みになった。会社の中の会社で高業績を上げた人が、リクルートの組織の階段を昇っていく。

だから、気の合う人の集まりはできるが派閥はできない。

組織は、ピラミッド型ではなく「グリッド(格子)型」。・・・私はリクルートのPC制を「社員皆経営者主義」と呼んだ。

私の退任時、PCは五百ほど、グループの会社も加えると六百を超えていた。

そのような形の「社員皆経営者主義」で社内に経営者が育ち、リクルート自身も高い業績を上げるようになっていった。

江副氏の著者からもう少し紹介します。

リクルートの社員数を聞かれ、私が答えると、「そうか。大きくなったな。たいしたもんだ」と言われることがよくあり、そのたびに私には抵抗感があった。

優れた会社か否かの尺度は生産性の高さである。つまり、一人あたりにしていくらの収益をあげているのかが、企業経営ににとって最も重要である。

四半期毎に事業部門の幹部が集まった席で目標設定会議を行っていたが、私は常に過去の延長線上では達成できそうにない高い目標を要望した。

そのたびに、集まった事業部門のPC長には「そんなの難しいですよ」「そんな数字無理ですよ」などと言われていたが、私は「できるよなやり方を考えて達成してほしい」と言っていた。・・・一般の会社では社員は一人一役である。少数精鋭主義のリクルートは一人で数役を受け持つ。

四半期ごとに発令される人事では、兼務は五つ、六つはざらで、事業部門や東京と大阪など地域をまたぐ兼務もしばしばだった。

一人がいくつもの役割を担当することで、視野が広がり、仕事の優先順位も覚えるようになり、経営者が育つという考え方をとっていた。

たったこれだけの短い文章の中にもたくさんヒントがありますよね。

リクルートの組織は、その仕組みにすでに「燃えさかるプラットフォーム (緊迫する状況)」があるということでしょう。

この著書にある江副氏が作った「経営理念のモットー」は

3行の新しいミッション・ステートメントを書くことで、企業の現実とその企業に対する外部からの認識が一夜にして変わるものと期待している

ようなものはなく、すべて組織の仕組みの中に組み込まれている感じです。

大幅な権限移譲を行い、会社の中に会社を作り、

起業はボトムアップで、撤退はトップダウン

で行ったリクルートが文字通り「人材輩出企業」になり、高収益の会社になった理由はこのたった200ページ足らずの本に余すところなく綴られています。

「燃えさかるプラットフォーム (緊迫する状況)」は緊急時に発せられるものではなく、日常の業務の中に仕組みとして取り入れられていなければならないということですね。

でないと、「茹でカエル」になってしまいますもの。

インテル(lntel) のアンディ・グローブの言葉、

「企業には2種類がある。 生者と死者である」

は厳しいけれど現実です。

皆さんの率直なご意見をお聞かせください。

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