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お知らせ

問題は明らかだったが対策はしなかった/コーポレート・レピュテーション その25

知人が8月の頭から毎年恒例の沖縄旅行に出かけているんです、台風が来て天候が荒れていると。

台風情報
typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/typhoon/

何年か前には台風の影響で飛行機が飛ばなくて沖縄から2日もられなくなって、仕事の段取りに往生していたこともある。

そうしたことがあっても、毎年夏には家族で沖縄に行っています。

知人曰く「それさえも魅力的である」とのこと。

こういう場所を持っている人は羨ましいですね。

家族にとっても、特に子どもたちにとっては忘れがたい家族と思い出となるのでしょう。

なんでも10年続けるとその人にとって大きな財産になりうる。

あなたが10年以上続けていることってありますか?

コーポレート・レピュテーション その25

現在は畑中鐵丸法律事務所著『企業のネットトラブル対策バイブル』を取り上げています。今回が8回目。

※『企業のネットトラブル対策バイブル』は書名が長いのでここからは『ネットトラブル対策』とさせていただきます。

今回より『ネットトラブル対策』第3章「予防対策における課題」を紹介します。

本書『ネットトラブル対策』第3章「予防対策における課題」において一番最初に記載があるのは「日常業務としての認知・発見作業」について。

企業内に企業の細部・末端・最新の情報まで全てを俯瞰的に見渡すことができる位置からインターネット上の「企業に関係する情報」を探索し、認知・発見できる立場の専門の部署・部員を設置することの重要性は第2章で述べたとおりです。

このような部署・部員において、常に「ネット攻撃」を認知・発見する作業を継続し、「ネット攻撃」を「火種」の段階で把握することができれば、素早く後述の有事対応を開始することができますし、適切なプレスリリースも可能にとなります。

として、2010年のUCC上島珈琲のキャンペーン告知に利用したTwitterの宣伝手法を巡る事例を挙げ、高い評価を与えています。

このキャンペーンはUCC上島珈琲が広告代理店から受けたTwitter告知企画の提案をほぼそのまま実行に移したもので、

「コーヒーがくれた素敵な話」

を投稿して最優秀賞に選ばれると最高200万円がもらえるというもの。

UCC上島珈琲では、投稿を呼びかける目的で複数のアカウントから「コーヒー」などのキーワードが入ったツイートをしている人に、UCC上島珈琲の宣伝メッセージを自動で送信、大量投稿。

フォローしていないアカウントから一方的に自動的に宣伝メッセージが届いたため「UCCがスパム的なリプライを送っている」とすぐに大きな批判を浴びることになりました。

大量投稿から2時間ほどで自動投稿プログラムは停止され、登校が始まった時間から約5時間後にはお詫びのプレスリリースを発表。

その対応の早さには驚きの声もあがりました。

加えて、UCC上島珈琲では、自ら行ったTwitterキャンペーンが批判を浴び、2時間で終了に追い込まれた経緯を題材に識者を集めてTwitterマーケティングについて考えるセミナーを開催。

見事な”鎮火”はなぜ可能だったのかUCCの事例から考えるTwitterマーケティング
www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/22/news011.html

ここまでやると、自社のためにもなり、外部に対しても自分たちの過ちを認めつつ、今後にもつながる活動になりますよね。

実にお見事な手法で皆さんにも参考になるのではないでしょうか。

本書『ネットトラブル対策』では続けて「ネットトラブルに関する従業員の教育」について

・・・いくら守秘を誓約する文書に署名させても、いくら通リ一遍の教育を行ったところで、具体的な場面を想定していない教育は絵に描いた餅並みに意味がありません。

なぜ、自動車教習所では、免許取得時や更新時に、凄惨な交通事故の写真や映像を受講者に見せたり、死傷事故を起こした者に対する刑事裁判の模様や交通刑務所での厳しい生活状況を教示したりするのか。

これは、受講生にあえて「リアル」な場面を児せることで、彼らの視覚や脳を刺激し、もって、意識的にも無意識的にも交通ルールを遵守するよう教育するためなのです。

ネットトラブルに関する従業員教育も同じことです。

自社の従業員に過去の様々なネットトラブルの「リアル」な場面を見せ、当該ネットトラブルの端縮となった従業員の行動と、自身の行動とを重ね合わせる作業をさせることで、意識的にも無意識的にも企業内規則やルールの遵守を体得させることが重要なのです。

と述べています。

こうした記述を文字通り行ったのが先に挙げたUCC上島珈琲で、批判を浴びて強制終了とならざる得なかった自らのキャンペーンを題材に識者を集めてセミナーを実施した意義は良い意味での「転んでもただでは起きない」事例と言えるでしょう。

どんなに予防しようが防止しようがどこかで必ず問題は起こります。

100%絶対にミスが起こらない組織を目指すことは悪いことではない。

しかし、いかなる予防にも対策にも絶対はなく、なにがしかの問題が起こるという前提で考えておくべきでしょう。

そして、問題が起きたときの早期発見とその後の対処で犯したミスは挽回できる。

事件や問題が起こったときにどうするかを考えられる組織が本当の強い組織と言えるのではないでしょうか。

★ 今週のテーマ 「問題は明らかだったが対策はしなかった」

事件や問題を100%防止することは難しいとすでに書きました。

予防を幾重にも厳重にはするが、問題は事件や問題が起こった後の処理の仕方で挽回も可能であるとも書きました。

ここでは以前、カネボウの化粧品における美白化粧品での「白斑」問題を取り上げました。

カネボウの問題発生からの対応は真摯なものでしたし、「白斑」問題を解決したあとでの挽回も可能なのではないかと考えていることを書きました。

2014年5月現在、カネボウによれば被害者は約19,000人。

白斑治療「先が見えない」 カネボウ回収から1年
www.asahi.com/articles/ASG745TX3G74UTFL00P.html

同社に「完治かほぼ回復」と申告した人を除く約1万1800人に今も症状が残る。

同社は「回復した」約4千人と和解。

「症状が比較的重い」と判断した約4千人には精神的慰謝料などの一部として一時金を払うことを決めた。

8月までに被害者の意向を確認するという。また、「後遺症慰謝料相当」として補償金を払うことも検討中だ。

大きな被害を生んだことは事実だし、大変な事態ではありますが、それでも真摯な対応によって挽回が可能であると問題発生時には考えていましたが、問題発生から1年、

発症の仕組みや治療法は依然分からず

の状態が続くに至って、もはや真摯な対応のみでは挽回が難しい状況になっています。

2013/10/8 日本経済新聞
花王、カネボウを事実上吸収 研究・生産部門統合
www.nikkei.com/article/DGXNASDC0800G_Y3A001C1EA1000/

花王は8日、子会社のカネボウ化粧品と研究・生産部門を統合すると発表した。

カネボウの美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」被害が出た問題を受け、経営に深く踏み込む必要があると判断した。

販売部門も一体化し、カネボウはブランドの戦略立案などを担うマーケティング会社になる。

本格参入から半世紀以上続く化粧品の名門「カネボウ」は事実上、花王に吸収される。

これによって「カネボウ」は「白斑」問題の処理のみを行う会社になったということでしょう。

この挽回不能な事態に陥った主な原因は

発症の仕組みや治療法は依然分からず

ではないでしょうか。

仕組みや治療方法がわからない状態では被害者はもちろん販売会社としても今後やっていくのは難しい。

そういう意味では

発症の仕組みや治療法は依然分からず

の状態では、いかなる真摯な対応をしようとも地に落ちた評判を挽回は不可能であると言わざるをえません。

起こった事象に対して「解明できない」問題を抱えた組織は再浮上ができないということです。

逆の言い方をすれば、起こった事象が「解明できる」問題であれば、組織は再浮上ができ、評判の回復も可能であると言えましょう。

それでは今問題になっている「すき家」について考えてみましょう。

牛丼チェーン「すき家」の労働環境を調査してきた第三者委員会の調査報告書が先日発表されました。

「すき家」 第三者委員会調査報告書
www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

すき家が吉野家、松屋とともに牛丼「御三家」と言われているのはご存じの通りです。

すき家は1982年11月に横浜市で1号店をオープン、2007年7月に880店舗目を沖縄県に出店することにより全47都道府県への出店を達成。

この10年ほどは全国に店を急拡大、翌2008年9月には国内牛丼チェーンの店舗数でトップに踊り出て、その後も着実に出店し、2014年3月末日現在の国内店舗数は1984店となっています。

すき家を運営するゼンショーホールディングスは、2010年度の連結決算で日本マクドナルドホールディングスを抜き、売上高3700億円余りを達成し、外食産業のトップに立っています。

その急成長ぶりは目をみはるばかりで10年間で20倍以上。

一方で近年は「すき家」を狙った強盗事件が全国で後を絶たず、警察庁などによると、平成23年に全国で起きた牛丼店強盗事件(未遂を含む)の87%を「すき家」が占め、すき家への強盗事件は2011年は未遂を含め78件。

警察庁の指導を受けた会社側は深夜未明の1人勤務態勢に問題があるとし、2012年3月末までに全店舗で複数勤務とする方針を示し、強盗件数は2012年は32件、2013年は34件と減少したものの、牛丼店への強盗事件の多くを「すき家」が占める状態に変わりはありません。

防犯上の問題について、第三者委員会調査報告書では、

「すき家」 第三者委員会調査報告書
www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

すき家においては、深夜の時間帯のワンオペ時に、強盗事件(未遂含む)が相当数発生していた。

これに対し、株式会社ゼンショーは、2011年10月13日付で、

「防犯対策の強化の一環として、深夜の時間帯の一人勤務体制を順次解消することを決定いたしました」

と公表している。

しかしながら、未だに深夜の時間帯の深夜の1人勤務体制「ワンオペ」は解消されていない。

そのため、アンケート(アルバイト)においては、例えば、

「強盗が多発したときにワンオペ状態を改善すると言っていたのに、ワイヤレス非常ボタンを導入しただけで、ワンオペ改善なされなかったことに失望しました」

「強盗が入って警察から言われて、やっと2オペにしたと思っても、あっという間にワンオペに戻していたり、信じられないとおもった」

など、深夜の時間帯のワンオペ解消が実現されていないことに失望する意見も見られた。

また、「ワンオペを防犯の為にも無くしてほしい。切実に。女性は1人だと仕事しづらいので女性の可能性を狭くしてると思う」との意見もあった。

そのほか、アンケート(アルバイト)及びクルー相談窓口に寄せられた声の中には、ワンオペ時に酔客に絡まれることへの不安の声も見られた。

とあります。

こうした状態を見ると、強盗の被害額よりも、ワンオペをやめて人を増やすことでかかる経費の方が大きいと経営層が考えているという噂も俄然現実味を浴びてきます。

すき家の特徴は、豊富なメニューで、普通の牛丼だけでなく、わさび山かけ牛丼、キムチ牛丼、ねぎ玉牛丼などがあり、カレー、これにみそ汁、おしんこ、山かけ、鮭などのサイドメニューが加わりますから、従業員の負担は想像を絶するものがあります。

第三者委員会調査報告書でも触れられていますが、ゼンショーグループの企業理念・使命は、

「我々の理念」として、

「世界から飢餓と貧困を撲滅する。そして、万人が真に平等で、持続可能な調和的発展を続けることのできる社会を実現する」

ことが掲げられ、

「我々の使命」として、

「世界中の人々に安全でおいしい食を手頃な価格で提供する。そのために、消費者の立場に立ち、安全性と品質にすべての責任を負い、食に関わる全プロセスを自ら企画・設計し、全地球規模の卓越したMMDシステム(マス・マーチャンダイジング・システム)をつくり運営する」

ことが掲げられている。

「持続可能な調和的発展を続ける」システムでないことは、2014年5月14日現在、全国約2000店舗のうち、人手不足で閉店しているのは28店、リニューアルを目的とした閉店なども合わせると184店が閉店中で約18%となっていることからも明らかです。

「すき家」 第三者委員会調査報告書
www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

「慢性的な人手不足(MGR、クルー)の状態なのに、新店をオープンしないで欲しい」

「まったく回っていない現場があり、過労死してもおかしくないようなこの労務環境が現実にあるなかで、世界から飢餓と貧困を撲滅するため、日本一を走り続けるため、世界一を目指すためと、新入社員の数もろくに確保できていない状況で店舗を拡大していくのはもはや大義ではなく驕りであると思う」

「意欲も低下、慢性的人員不足でおかしくなりそうです・・・会社を守っているので私たちのことも守ってください」

「正直言わせていただくと、労働環境かなり悪すぎです。社員全員が平等に週休2日確保及び1回転[注:店舗において24時間連続で勤務すること]以上ないような労働環境にしてほしいと強く思います」

労働環境の悪化、士気の低下、サービスの低下、閉店と坂を転げ落ちるような事態が続くのは当然と言えましょう。

こうした起こる原因として、「すき家」第三者委員会調査報告書では
www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

第4 原因論

すき家の大量店舗閉鎖を招いた直接的な原因は、第3の「2.2014 年 3 月の多数の店舗の一時休業・時間帯休業に至る経緯」に記載したとおりであるが、そこであげられている事象は、それまでの過重労働の蓄積による矛盾を一気に噴出させるトリガーとなったに過ぎない。

過重労働の実態は、第3の「3.現場の労働実態」で明らかにしてきたとおりであるが、こうした過重労働を含む劣悪かつ慢性的な労働環境の常態化をもたらした根本的な原因としては、

1.客観的な人手不足という状況が著しい過重労働を生じさせており、法令違反状況にまで至っていたにもかかわらず、経営幹部がその状況を危機として捉えていなかったという経営幹部の危機意識の欠如

2.現場の過重労働(法令違反)を是正する仕組みの不全という企業組織上の問題

3.すき家経営幹部に共通する意識・行動パターン

という3つをあげることができる。

として、3つの項目について詳細に論じています。

少し抜粋して紹介すると、

1.人手不足状況による過重労働の発生と「負のスパイラル」

すき家は、明らかな人手不足の状況であったにもかかわらず新規出店を続けてきた。

すき家の店舗数は、2011年4月で1572店舗だったものが、2012年4月で1799店舗、2013年4月で1941店舗、2014年4月で1986店舗となっており、この間、400店舗を超える新規出店が行われている。・・・2.危機意識をもつ経営幹部の不在

すき家の運営は、法令違反であることはもとより、社員の生命、身体、精神に危険を及ぼす重大な状況に陥っていた。

また、これを放置することは企業のレピュテーションを毀損し、企業価値に重大なダメージを与えうる事態でもあった。

したがって、すき家の経営幹部には、事態の重大性を認識した抜本的対策をとることが求められていた。

しかし、当委員会のヒアリングの結果、2014年2月から3月に起きた大量店舗閉鎖の直前になるまで、過重労働問題が企業経営に重大な影響を及ぼすリスクになることを正しく認識していた経営幹部はいなかったことが明らかになった。

経営幹部は、いくつかの地域での「人手不足による現場の対応不能状態」についての認識は有しており、当然、それに対する危機意識はもっていた。

しかし、それは「24時間、365日、2,000店舗のオペレーションができなくなることに対する危機意識」に止まり、その背後にある過重労働問題(現場社員の生命・身体・精神に危害を及ぼし、私生活を崩壊させていること)に対する危機意識ではなく、これがすき家のブランドイメージを毀損し、企業の持続的成長を阻害する重大リスクになることに思いを及ぼす者はいなかった。・・

3つめの「経営幹部の思考・行動パターンの問題」については、

◆コンプライアンス意識の欠如
◆顧客満足のみにとらわれた思考・行動パターン
◆自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン
◆自社と社会の変化に対応する「全社的リスクマネジメント」の欠如
◆数値に基づく収益追求と精神論に基づく労働力投入

など、驚くべきその実態が赤裸々に語られています。

ここではもう引用しませんので、興味のある方は第三者委員会調査報告書をご覧ください。

「すき家」第三者委員会調査報告書
www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

さて、最初の問いである

問題は事件や問題が起こった後の処理の仕方で挽回も可能である

「すき家」、株式会社ゼンショーの評判は挽回可能でしょうか?

発症の仕組みや治療法は依然分からず

の状態が続くに至っては、もはや真摯な対応のみでは挽回が難しいわけですが、株式会社ゼンショーの問題は第三者委員会調査報告書によって、

発症の仕組みや治療法

は明らかになっています。

ならば挽回は可能か?

皆さんのお考えはいかがでしょうか?

率直なご意見をお聞かせください。

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