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お知らせ

免罪符としての企業内ガイドライン/コーポレート・レピュテーション その26

このメルマガの読者の中には、出張の多い方もいらっしゃると思いますが、先日こんなニュースがありました。

キャリーバッグに、ご注意 エスカレーターで落下急増
mainichi.jp/graph/2014/08/02/20140802dde001040049000c/002.html

旅や買い物の「お供」として定着したキャリーバッグ。

便利な半面、駅や雑踏などでは障害物になり、けが人も増加している。・・「ドドドドーン」。衝撃音に振り向くと、改札口とホームを結ぶ下りエスカレーター(全長約14メートル)周辺が騒然としている。

客のキャリーバッグがエスカレーターを滑り落ちたのだ。

近畿圏の空の玄関口に直結した南海電鉄の関西空港駅。

記者が居合わせたのは偶然だが、幼児やお年寄りをバッグが直撃していたらと思うとゾッとした。・・同駅内のエスカレーターでのキャリーバッグ落下事故は2011年までは年間70件前後で推移していたが、12年94件、13年も92件と急増。

幸い重傷を負うような事故はない。12年といえば格安航空会社(LCC)の「ピーチ・アビエーション」が関空から国内やアジア各地への便を開設した年だ。

近距離のうえ、機体が小ぶりのことが多く、持ち込み荷物の寸法・重量制限も厳しいLCCの場合、比較的小型で持ち手を引っ張るいわゆるキャリーバッグを使う客が目立つ。

実際、ネット通販大手の楽天市場では3から7日間の旅行に向く容積65リットル以下のサイズや、旅客機内に持ち込める小型タイプが売り上げの上位を占める。

事故は冒頭のエスカレーターで多発している。

コンパクトさゆえに気が緩み、会話や携帯電話に熱中しているうちに……というケースもあるようだ。

こんなニュースを紹介するのは、あなたがエスカレーターでキャリーバッグを落としてしまう可能性よりも、落とされたバックがあなたを直撃することが心配だから。

まさかと思うでしょうが、注意力散漫な人は結構いますから、どうぞ楽しい旅先であなたにこんな事故に遭わないでほしいと願うばかりです。

コーポレート・レピュテーション その26

現在は畑中鐵丸法律事務所著『企業のネットトラブル対策バイブル』を取り上げています。今回が9回目。

※『企業のネットトラブル対策バイブル』は書名が長いのでここからは『ネットトラブル対策』とさせていただきます。

前回より『ネットトラブル対策』第3章「予防対策における課題」を紹介しています。

本書『ネットトラブル対策』第3章には「従業員のパソコン管理」「従業員のソーシャルメディア利用に関するガイドライン」などの項で締められています。

従業員のパソコン管理の可否

情報管理の観点から従業員のパソコン使用状況を調査したり、電子メールの閲覧を行ったりすることが可能かどうか問題となります。

確かに、従業員によるパソコン使用状況の調査については、「パソコンは会社の資産であって私物じゃないから、会社が会社の資産の運用状況を調べるのは当然」という論理も成り立ち得ます。

しかしながら、調査の可否については、過去、裁判でも争われており、「会社による利用状況のモニタリングが無条件、無限定に可能」というわけではない、というのが一般的見解です。

例えば、・・・東京地方裁判所平成13年12月3月判決は・・

裁判例上、

従業員のパソコン使用状況を調査することがプライバシー権侵害となり得ることのルールが採用されています。・・もっとも、前記裁判例では・・・限定がなされております。・・上記裁判例を前提とすれば、従業員から、あらかじめ

「必要かつ相当範囲において会社が、私のパソコン使用状況を調査することに同意します」旨の文書を徴収しておけば、後々、従業員からプライバシー権侵害云々の主張をされることを、ある程度、防止することもできます。

個人情報の漏えいで問題となったベネッセにおいても、経営上極めて重要な名簿リストの管理はかなり厳重に行っていたと思われます。

逮捕された男は、名簿データを貸与されていたパソコンから自分のスマートフォンにコピーし持ち出していたと言われています。

しかし、なにゆえそれができたのか?

テクニカルな様々な可能性についてはこちらを読んでいただくとして、

日経コンピュータ 
IT部門は設定の再点検をベネッセ事件容疑者はなぜスマホでデータを持ち出せたか
itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/ncd/14/457163/072900032/

情報漏えいの可能性はゼロにすることはできず、パソコンの操作ログを保存しておくことで個人は特定できるでしょう。

現状では、やったらすぐバレるということを様々な対策の最終ラインに持っていっておくことが一番の対策になるのではないでしょうか。

メールのモニタリングについても、あらかじめ予告し、それに承諾してもらうという行為自体が対策の最終ラインになりえます。

それでもやっぱり「やってしまう人」は出る。

出る可能性はゼロにはなりません。

ベネッセでいえば、今回の事件で業績に大きな影響を与えるでしょうし、期限切れ食肉使用問題があった日本マクドナルドホールディングスが発表した7月の既存店売上高は、

前年同月比17・4%減

という数字を見ても、消費者は敏感に反応する。

ただ評判の挽回は可能であるということなのです。

起こった事象や事件に正面から立ち向かい、それに対する対処を行い、そうした事件を今後に行かせる施策を発表し実行すれば、必ず評判は回復できる。

そうした努力で回復した評判はこれまで獲得してきた評判以上の評判になることもわかっている。

期限切れ食肉使用問題があった日本マクドナルドホールディングスは、先日、今般の問題を受けて以下のような施策を発表しました。

<マクドナルド>全商品、加工国を公表
毎日新聞 7月29日(火)

日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)は29日、期限切れ鶏肉を使用していた中国の食品加工会社「上海福喜食品」から商品を輸入していた問題を受けた安全管理体制の強化策を発表した。

ほぼ全ての商品別に、原材料の最終加工国と原産国・地域を公開することなどを盛り込んだ。

記者会見したカサノバ社長は

「何よりも大切なお客様にご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げる」

と謝罪する一方、

「報道されている行為は絶対に許すことができない」

と述べ、上海福喜の対応を非難した。

この問題で日本マクドナルドは、不正が発覚した翌日の21日から、上海福喜から仕入れた鶏肉を使った「チキンマックナゲット」の販売を中止。25日からは中国製の鶏肉を使った8種類の商品すべての販売を中止している。

日本マクドナルドはこれまで牛肉や鶏肉など主要な原材料についてのみ原産国・地域を公開してきた。

だが、利用客からの不安の声を受け、29日から同社のホームページで商品別の原材料の最終加工国と原産国・地域の掲載に踏み切った。商品情報の透明度を高めるのが狙いだ。

さらに、アップルパイなどの調達先である中国の会社と、鶏肉商品の調達先であるタイの2社について、自社の品質管理担当者による臨時監査を来週にも実施する。

この3社については、今後、自社の担当者らが毎月現地を訪問して、基準通りに商品が製造されているかを確認する。

国内に商品が到着した際の検査も強化する。中国製商品と鶏肉商品について、到着のたびに検査機関に持ち込んで黄色ブドウ球菌などの衛生検査を行う。

既に仕入れ在庫となっている商品についても検査を実施している。これまでも鶏肉商品については3カ月に1度、国内検査をしていたが、頻度を高めることで安全性を確保する。

日本マクドナルドは同日、2014年12月期の連結業績予想を「未定」に変更した。

従来予想は、売上高2500億円だった。期限切れ鶏肉問題の業績への影響について「現時点で見通せないため」(今村朗財務本部執行役員)としている。【神崎修一】

加えてマクドナルドは鶏肉商品8種類をタイ製に切り替え、中国製は店舗から回収して廃棄、現時点で中国製の鶏肉商品の取り扱いを再開する予定はないと発表しています。

消費者の感じているものを組織が考えて敏感に反応したら、こういう施策を取らざるを得ないでしょう。

コストも増加するだろうし、手間もかかるでしょう。

しかし、起こった問題に対して消費者の目線で対応すれば、こうなる。

マクドナルド『最終加工国』および『主要原料原産国』一覧
www.mcdonalds.co.jp/pdf/140729_list.pdf

マクドナルドの業績はいったんは影響を受けるでしょうが、時間が経過すれば「期限切れ食肉使用問題」については終息する、と思います。

さて、実際はどうなるでしょうか?

皆さんの率直なご意見をお聞かせください。

★ 今週のテーマ 「免罪符としての企業内ガイドライン」

今週は本書『ネットトラブル対策』第3章「従業員のパソコン管理の可否」についてすでに取り上げました。

同じ項で「従業員のソーシャルメディア利用に関するガイドライン」についても触れられていますので、今週のテーマとして取り上げてみたいと思います。

『ネットトラブル対策』従業員のソーシャルメディア等利用に関する企業内ガイドラインの策定

・・・従業員のソーシャルメディア利用に起因する「派生型ネットトラブル」が増加しています。

これを予防するためには、もちろん、前述の徹底した従業員教育を行うことも肝心ですが、従業員のソーシャルメディア等の利用方法に一定の制限を設けることを検討する必要があります。

もっとも、勤務時間中ならまだしも、勤務時間外の私的なパソコン、スマートフォンによるソーシャルメディア等の利用自体を制限することは就業規則をもってしても不可能ですし、強行すれば、それこそ労働問題の火種となりかねません。

これに対し、「ソーシャルメディア等を利用して顧客の誹謗中傷を行ってはならない」・・・「ソーシャルメディア等を利用して企業秘密を開示してはならない」等の【べからず集】を作成し、これを規則化することも考えられます。

しかしながら、これらは「ソーシャルメディア等の利用」に限らずとも、既に就業規則や誓約書等で厳しく規制されていることから、わざわざ新たに作成する必要性を欠きます。

それに、このような方法では、前述の例のように、

「ああ、そういえばそんな規則もあったね」

で終わってしまい、実効性ある行動規範にならないおそれがあります。

そこで、「ガイドライン(ポリシー)」という方法をとること慫慂します。

そもそも、「ガイドライン(ポリシー)」とは、組織・団体における個人または全体の行動に関する「守るのが好ましいとされる規範(ルール・マナー)」や「目指すべき目標」などを明文化したものを指します。

本書『ネットトラブル対策』が事例として挙げているのが

シックス・アパート ソーシャルメディア利用ガイドライン
www.sixapart.jp/social/guideline_for_employee.html

シックス・アパート株式会社について
www.sixapart.jp/about/

これら「ガイドライン(ポリシー)」はここでは散々取り上げてきた社訓や企業理念に属するものですよね。

そして、社訓や企業理念を体現するためには企業風土の醸成がなによりも影響することをここでは指摘してきました。

本書『ネットトラブル対策』が指摘しているように、どんなに数多くの【べからず集】を作ったとしても、

「ああ、そういえばそんな規則もあったね」

と組織内で受け取られれば、作った先から忘れられ、見もしない規則やガイドラインをたくさん作っているよなどと社員から揶揄される状な事態になることは皆さんご承知のとおりです。

社訓も企業理念もガイドラインも企業に根づいたものでなければ意味がない。

すでに取り上げたマクドナルドの今回の施策の発表では消費者が懸念していることについて組織としての取り組みを発表しました。

特に「鶏肉については中国製からタイ製に切り替える」との発表は市場に大きなインパクトを与えたのではないでしょうか。

通常なら、検査体制をより厳しくするとか社員を現地の工場にに派遣するとかでお茶を濁す場合がほとんどだと思われますが、実際にこれを実行するとなれば、マクドナルドの未来は明るいのではないでしょうか。

マクドナルドの未来がすべて明るいという意味ではなく、食品加工という視点からの未来という意味ですが。

中国に対する日本人の食に関する認識は以前あった毒入り餃子などからずっと懸念があり、今回の鶏肉問題ではある意味でとどめを刺したというか、日本人の中国に対する食のイメージを決定づけるものになったと思います。

そこからいくら厳重な検査をしているからと輸入しても、消費者はついてこないという認識を経営層がもち、かつそれを実行に移したわけですから、大いに評価していいでしょう。

従業員のソーシャルメディア等利用に関する企業内ガイドラインの策定の話に戻します。

畑中鐵丸法律事務所著『ネットトラブル対策』では、従業員のソーシャルメディア等利用に関する企業内「ガイドライン(ポリシー)」の策定を推奨しているわけですが、その理由の1つとして以下のものを挙げています。

通常、企業の就業規則や誓約書等は企業外に開示されることはありません。

これに対し、「ソーシャルメディア等の利用に関するガイドライン(ポリシー)」を、企業のウェブサイトに掲載したり、電子メールの署名欄の一部に記載したりすることで、企業「内」向けには、常に従業員の注意を喚起することができますし、企業「外」向けには、「従業員のソーシャルメディア等の利用に対する企業の姿勢・意見」を広くアピールすることができるわけです。

このように、企業の外にむかってアピールすることで、万が一、従業員のソーシャルメディア利用がきっかけで「派生型ネットトラブル」が発生してしまった場合でも、企業が注意義務を十分に尽くしていたことの証明にもなりますし、いわば、一種の「免罪符」として活躍するわけです(企業とすれば、「弊社はガイドラインを定めるなどして従業員によるソーシャルメディア等の利用方法について厳しく管理してきた次第ですが、今般の件は、大変、遺憾であると考えぎるを得ません」旨のプレスリリースで足りるわけです)。

さすが法律事務所が著者のことだけはあるという記述ですね。

しかし、こうした考え、つまり何かあったときの免罪符として企業内「ガイドライン(ポリシー)」の策定を作成するから

「ああ、そういえばそんな規則もあったね」

となりうるのではないでしょうか。

法律事務所ですから実務的と言え、いわば本音を語っている部分であると思いますが、評判とはこういう小手先のことでは獲得できないと私自身は強く思っています。

マクドナルドがこうした小手先の施策をするとすれば、

「検査にも行き、品質管理にも十分こだわってきた次第ですが、今般の件は、大変、遺憾であると考えぎるを得ません」旨のプレスリリースおよび記者会見となります。

しかし、そうしたことで今回の問題で傷ついた評判が回復するでしょうか?

私の考えでは「ノー」です。

検査とか品質管理を頑張っていた、ルールを定めていたというのは今の時代ではもう「免罪符」にはなりません。

なぜなら消費者が「免罪符だろ?」と思っているから。

ゆえに起こった事象や事件についての組織の施策が問われている。

そこが傷ついた評判の回復や落ち込んだ業績の回復のテコになる。

そう私は考えるのですが、皆さんのお考えはいかがでしょうか?

率直なご意見をお聞かせください。

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