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お知らせ

評判とは一言でいえば誠実な経営/コーポレート・レピュテーション その37

2015年秋以降、山手線の車内から中吊り広告が消滅になるのだとか。

新しく導入される新型車両には、窓上に13~20面の液晶画面が配置され、中吊り広告にとって代わるのだそうです。

2015年秋に山手線の中吊り広告消滅 電車広告の未来図を予測
www.news-postseven.com/archives/20141102_284665.html

・・・2000年代に入って雑誌広告が減少し、さらにスマホの普及により乗客側の風景は一変。

品田さんは「車内でスマホや携帯を見ている人は肌感覚で6~7割」とし、雑誌の中吊りが衰退した時点で乗客の行動が変わったことは大きな契機だったと語る。


デジタル化によって制作コストや時間を低減できるほか、スペースが決まっている中吊り広告と違い、1か所に多くのクライアントを入れられ媒体料金も安くなる。

さらに、より細かなターゲットに向けて路線ごと、または時間帯や天気によって変えられるなどのメリットもあるという。

「車内の風景は一変しますし、可能性が大きく広がるのは間違いありません。電車の中にも”ネット革命”が起きている。作り手側から見ると、いろんな可能性があり面白い広告が作れる。もっと言うと、スマホと連動して車内で商品を購入できるようになるなど、物の売り方も変わるのではと盛り上がっています」

街の本屋さんはなくなったけれど、本自体がなくなったわけでないように、アマゾンが本屋さんの代わりになった。

中吊り広告はなくなるけれども、広告自体がなくなるわけではなく、デジタルの中吊り広告に代わるものが出てきた。

紙の本が減り、電子書籍が増える。紙を扱う企業や本棚を扱う家具屋さんは需要が落ちるのかもしれない。

なにかが廃れて代わりに何かが生まれる。

でも、人が必要とするものは昔から変わらない。提供されるプラットフォームが変わるだけ。そういうことでしょうか。

そこに目が向けられる人にとっては大きなビジネスが見えるのでしょう。
新しいものを創造するというより既存のものをどう提供するのかなのかもしれませんね。

コーポレート・レピュテーション その37

櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』を紹介しています。

今回は第4章「レピュテーショント・マネジメントによる企業価値の増大」から。

第3章では「コーポレート・レピュテーションはコーポレート・イメージとは違う」という櫻井氏の主張がありました。

今回取り扱う第4章では「レピュテーションとイメージ、企業ブランドとの関係」が出てきます。

著者の櫻井氏は言います。

コーポレート・レピュテーションは、事象(event)の発生とか現実の世界の出来事とは区別される、認識とか知覚の問題である。

認識(perception)と実態(real world)とを区別すると、レピュテーション、イメージ・ブランド、CI(corporate identity・コーポレー ト・アイデンティティ)はいずれも認識に関係する。

イメージ、企業ブランドとレピュテーションとの間には深い関係がある。

図表4-1は、認知、イメージ、レピュテーションとブランドの関係である。

図4-1

認知 ⇒ イメージ ⇒ レピュテーション ⇒ 企業ブランド

人々は事象を認知(awareness)することで、事象についてのイメージをつかむ。その事象は新製品の発売であったり、すぐれた戦略の発表であったり、経常幹部による不祥事の発生であったりする。

イメージは長期にわたって徐々に形成されることもあるが、その多くは瞬時に形成される。イメージが消え去るのも早い。

ある人と初対面で形成される第一印象は、その人のイメージとして心に残る。ある会社を訪問して立派な建物やすぐれた経営トップを認知することで、会社についてのよいイメージが形成される。

イメージの蓄積からレピュテーションが形成されていく。

認知によってイメージを得るがその多くが消え去り、残存したイメージの蓄積がレピュテーションを形成する。

認知から直接レピュテーションが形状されることもある。レピュテーションの蓄積が企業ブランドを高める。

著者が事例として挙げているのは

雪印乳業は反社会的な行為を行なったために財務業績低下の憂き目にあっている。

西武鉄道のケースでは経営幹部による不誠実な行為によってコーポレート・レピュテーションが大幅に低下した。

三菱自動車は製品の欠陥を隠したがゆえに世間から糾弾を受けた。

いずれのケースでも、経営者の行為についてのステークホルダーによる認知によってレピュテーションが低下したことに共通の特徴がある。

逆に、経営者および従業員によって行なわれた社会的な価値の高い行為は、コーポレート・レピュテーションを高める。

トヨタは誠実な経営と高い財務業績のゆえにレピュテーションを高めている。

島津製作所の田中耕一氏がノーベル賞を受賞したことで、同社のコーポレート・レピュテーションと業績に大きな貢献を果たした。

FF式石油温風機によって死者を含む惨事を起こしたにもかかわらず、その後の会社一丸となった取り組みと真剣さがコーポレート・レピュテーションを向上させ、企業価値を高めた松下電器産業のような事例もある。

としています。

この第4章の最初で著者はこう述べています。

個人であれ、会社、公的機関、大学であれ、どんな個人・組織も、世間から評価を受ける。

ステークホルダーの評価が評判となって、社会的ステータス(地位)が確立されていく。

個人の評判がパーソナル・レピュテーションであり、大学の評判がユニバーシティ・レピュテーションである。

同じ文脈で、会社の評判のことがコーポレート・レピュテーションといわれているのである。。

と。

評判を築くのには何年もの努力が必要であるが、評判は一瞬のうちに台無しになる。

アメリカではわが世の春を謳歌していたエンロン社が数多くの不正の発覚によって一瞬のうちに崩壊した。

会計に携わる者であれば誰にも知られていた世界的に最も高い評価を得ていたアーサー・アンダーセンが、エンロン社の不正に加担していたという理由で、あっという間に崩壊してしまった。

日本でもまた、老舗の企業と信じて疑われなかったカネボウが長年にわたる粉飾をしていたという理由で分割のやむなきに至り、カネボウの監査や日興コーディアル証券の粉飾に手を貸したという理由で、日本の監査法人のなかでも最も高い評価を得ていた中央青山監査法人が崩壊した。

このように企業の実態をみると、企業は普段から評判を「レピュテーション資産」の1つとして見立て、苦境に備えて評判を高める努力が必要になる背景が理解できるであろう。

コーポレート・レピュテーションとは、「経営者および従業員による過去の行為の結果、および現在と将来の予測情報をもとに、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーから導かれる持続可能な競争優位」である。

さらにコーポレート・レピュテーションは企業価値を高める非常に重要な無形資産である。

ブランドも企業にとって貴重な無形資産であるが、両者が異なるのは、前章で述べたとおり、

ブランドはすぐれた製品・サービスの提供によって顧客を通じて生み出されたものであるのに対して、

コーポレート・レピュテーションは主として企業の経営者および従業員による過去、現在および将来の行為の結果から導かれる。

しかも、コーポレート・レピュテーションというとき、購買者や顧客だけでなく、投資家、証券アナリスト、地域社会、市民活動家および従業員など多様なステークホルダーによって高められる(あるいは低下する)ことに特徴がある。

であるとすると、企業は普段からコーポレート・レピュテーションを高めるべく誠実な経営を行っていく必要がある。

いろいろと説明があるけれど、評判とは一言でいえば「誠実な経営」。

その「誠実な経営」の「誠実さ」は購買者や顧客だけでなく、投資家、証券アナリスト、地域社会、市民活動家および従業員など多数の各方面のステークホルダーに対して向けられなければならないので「誠実さ」についての説明が長くなる。

でも、一言でいえば「誠実な経営」かどうか。

規模のより小さい、関係するステークホルダーが少ない組織はさまざまな手法を使わなくても即断できる。

あなたが今やっているお仕事は相手に対して誠実かどうか、たったその1点から評判への意識は始まっていくのです。

★ 今週のテーマ 「評判とは一言でいえば誠実な経営」

私のほうで、櫻井氏の文章を「評判とは一言でいえば誠実な経営」と言い換えたわけですが、その「誠実かどうか」という観点でニュースを見ると世間の反応というのも理解できるのではないでしょうかね。

たとえばここでも取り上げたすき家は店舗の一時閉鎖だけでなく、その後の人手不足、採用がうまくいかない環境に陥っています。

すき家 深夜営業休止 6割の店舗、人手不足解消できず
毎日新聞 2014年09月30日

牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングス(HD)は30日、10月1日から、すき家の全店舗の約6割にあたる約1200店で、午前0時から午前5時までの深夜営業を当面休止すると発表した。

すき家は深夜、1人で接客や調理を担当する「ワンオペ」など、過酷な労働環境が表面化。外部有識者で作る第三者委員会が7月末、「ワンオペ解消」を提言していた。

すき家は現在、1981店舗を展開。フードコートなど24時間営業ではない店などを除くと、24時間営業をしているのは1843店に上る。

このうち、深夜に複数勤務体制にできたのは589店舗にとどまっている。1167店舗は当面深夜営業を一時休止し、87店舗では曜日によって24時間営業を行う。

すき家は今春、長時間労働などを敬遠して辞めるアルバイト店員らが相次ぎ、最大で約250店が一時閉鎖に追い込まれた。労働環境の改善を進めていたが、人手不足を解消できなかった。【神崎修一】

同じくここで取り上げたワタミは「設立30年で最も厳しい戦い」になった。

ワタミ、4~9月最終赤字41億円 値上げで客離れ
2014年11月11日 日本経済新聞

ワタミが11日発表した2014年4~9月期の連結決算は、最終損益が41億円の赤字(前年同期は5億5000万円の黒字)だった。国内店舗の9割を占める居酒屋「和民」「わたみん家」での1皿当たりの値上げが、客離れを招いた。

売上高は前年同期比4%減の777億円だった。国内の既存店売上高が特に6~7月に低迷し「設立30年で最も厳しい戦い」(桑原豊社長)という。

営業損益は10億円の赤字(前年同期は24億円の黒字)となった。部門別では国内外食が23億円の赤字(前年同期は2億4100万円の赤字)だった。介護は開設後10年以上たった施設の入居率が伸びず、15億円の黒字(同21億円の黒字)に減った。

円安による食材価格の上昇は「メニュー見直しで対応する」(桑原社長)。不採算店の減損損失など特別損失12億円も計上した。

すき家もワタミも「すぐれた製品・サービスの提供」によりブランドが生み出され、育ち、業績の向上に貢献した。

しかし、拡大その後「主として企業の経営者および従業員による過去、現在および将来の行為の結果から導かれる」コーポレート・レピュテーションの獲得には至らなかったといえるでしょう。

上記2社でいえば、コーポレート・レピュテーションを構成するステークホルダーの1つである「従業員」によってその評判は低下させられた。

そこに従業員に対する誠実さがあったかどうか。

同じくここで取り上げた「たかの友梨ビューティクリニック」の従業員による提訴も同じ構図のものでしょう。

「たかの友梨ビューティクリニック」では新たな訴えも出ているようです。

「たかの友梨」マタハラ・残業代未払いと提訴 従業員ら
2014年10月29日 朝日新聞
www.asahi.com/articles/ASGBY5JDHGBYULFA017.html

この日は「たかの友梨」の仙台店に勤める20代の女性と30代の元従業員の女性も、未払いの残業代計約1千万円の支払いを求めて仙台地裁に提訴した。

ただ「なにやってんだ!」という強く非難することは正直できない。高野友梨社長を擁護することはもちろんできないけれど、多くの中小企業から高野社長が言ったとされる

「あなた会社潰してもいいの?」

という従業員への発言を言いたいけれど胸にしまって我慢しているのを知っているから。言わない結果が企業の縮小、および解雇になっている。ただその解雇さえなかなか難しいのが日本の労働環境でもあります。

ここに労働時間と生産性の問題が必ず出てきます。

たとえばですが、経営者とすれば生産性が高ければ残業代は出せるけれど、生産性が悪い社員は労働時間で補ってほしいと言わないけれど思っている社長は多いです。

ただ従業員からすれば、働いた時間、差し出した時間にはその対価を払ってほしいと当然ながら思う。

社長は「あなた会社潰してもいいの?」というけれど、従業員は「残業代が払えない会社ならつぶれたらいい」と言い、社長が「じゃあ会社閉めます」といえば、従業員は「急に言われても困る」という。

どこの会社にでもある社長と従業員のそれぞれの不満ですよね。それがまだ問題になっていない会社には誠実さが残っているとも考えられるでしょう。

この手の問題はこれからますます大きな問題となり、定期的にマスコミでニュースとして報道されていくようになるでしょう。

逆に現代の風潮であるたとえば働く女性のセクハラ、パワハラ、マタハラなどの問題ではその権利の主張が行き過ぎて組織側が冤罪に落とし込められる事例もこれから増えてくるでしょう。

~~代理人からの権利侵害の申し立てにより、一部を削除させていただきました~~

新しいニュースでは服役までしていた人が釈放になったと報じられました。

強姦罪で服役の男性釈放 被害は虚偽、「無罪の可能性」
時事通信 2014年1月18日(火)

大阪地検は18日、強姦罪と強制わいせつ罪で懲役12年が確定し、服役していた男性について、無罪の可能性が高いとして釈放したと発表した。

男性からの再審請求を受けて再捜査したところ、被害者らの証言が虚偽だったと判明した。

受刑者が再審開始決定前に釈放されるのは極めて異例で、「足利事件」の2009年6月以来とみられる。

同地検によると、男性は04年11月から08年7月にかけ、同じ女性に対して乱暴したとする3件の強姦、強制わいせつ事件で逮捕された。捜査段階から一貫して無罪を主張したが、11年に懲役12年が確定した。

男性は今年9月、再審を請求。地検が改めて捜査した結果、被害女性と目撃者が虚偽の証言をしていたことを認めた。新たな証言を裏付ける客観証拠も判明、地検は被害自体がなかったと判断した。

結果は再審判決を待たなければなりませんが、こうした事例を経てセクハラ、パワハラ、マタハラなどの問題は議論され成熟した落としどころに向かっていくのでしょう。

ただすべてが白黒つけられない問題であることも確かです。

それゆえにその白と黒の間の境にある「誠実さ」、それがあるかどうか、それが残っているかどうかにかかってくる。

あいまいな決着になるけれど、最後は「誠実さ」に依存してしまう問題になっていきます。

その「誠実さ」は購買者や顧客だけでなく、投資家、証券アナリスト、地域社会、市民活動家および従業員など多数の各方面のステークホルダーに対して向けられなければならない。

どこかが破れれば評判は低下する。でも、低下した評判は盛り返すことも可能です、誠実さが残っていれば。ただたった1回破れたその「誠実さ」が会社をつぶすことだってある。

たった1回の問題で会社がつぶれるというのは「誠実さ」が足りなかったとも言えますが、ネット社会の到来によって、過剰に非難されたり、逆に必要以上に評判が上がるとそこにも問題が出てくる。

この曖昧模糊な「誠実さ」を真剣に考えることが「評判を考える」ことになる。

しかし、なかなか数値でも捉えられないこの「評判」を真剣に考えようとする人は少ない。

真剣に考えている人が一度その評判によって叩きのめされた人であるというのも興味深いところです。

あなたの組織はステークホルダーに誠実ですか? そしてあなたがやっている仕事、誠実にやっていますか?

答えを知っているのはあなた自身です。

皆さんの考えはいかがでしょうか? 皆さんからの率直なご意見をお待ちしております。

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