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お知らせ

2014年の主な企業不祥事/コーポレート・レピュテーションその41

忘年会の合間に今年1年を振り返ってみている方も多いと思いますが、今年2014年のワースト会見という少し意地悪なランキングが発表されていました。

14年のワースト会見は小保方氏 ネットユーザーが選ぶ
2014/12/4 日本経済新聞

広報対応の専門誌「広報会議」を発行する出版社の宣伝会議は4日、ネットユーザーが選ぶ2014年の「ワースト謝罪会見」のランキングを発表、1位は理化学研究所の小保方晴子氏のSTAP細胞問題だった。

宣伝会議は11月、インターネット上で20?80代の男女計500人を対象にアンケートを実施。14年にあった企業と個人の不祥事や謝罪会見15件の中から印象に残った3件を選んでもらった。

結果によると、STAP細胞問題は67.4%の人が挙げた。回答者からは「科学研究の世界がこんなにもお粗末なシステムで動いているとは思わなかった」との声も寄せられた。

2位は政務活動費問題の釈明会見で号泣した元兵庫県議の野々村竜太郎氏で、47.6%が選択した。3位は耳が聞こえない作曲家として活動していた佐村河内守氏のゴーストライター問題で36.6%。

広報会議の森下郁恵編集長は「順位はテレビなどの映像を何度も繰り返して見ることによる影響が大きい。今年は劇場型の会見が目立った」と分析している。〔共同〕

上位の3つともこのメルマガでは取り上げたので「意地悪なランキング」なんて他人事のように言ってはいけませんね。

しかし、この3つともずいぶん過去の出来事であったような記憶で、改めて「今年だったのかあ・・・」と別の感慨が浮かびます。

「劇場型の会見」というのは強烈な印象だけを残してあっという間に忘れ去る、そんなふうなものなのかもしれませんね。

その第1位にランクインした理化学研究所の小保方氏は、STAP細胞の有無を調べている理化学研究所の検証実験で、小保方氏自身の実験でもSTAP細胞細胞はできなかったと。

自らの手でも証明できなかった小保方氏について、代理人弁護士は「現在もSTAP細胞があると考えていると思う」と述べているとか。

「ある」と考えても再現実験で作れなければなかったことになるのが科学の世界ということになりますでしょうか。

それでも「ある」とする人を人は信念の人というのか、いい加減にしろというのか、皆さんはどっちでしょうか。

コーポレート・レピュテーション その41

櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』を紹介しています。

今回は第4章「レピュテーション・マネジメントによる企業価値の増大」から「コーポレート・レピュテーションによる企業価値の測定」について。

著者の櫻井氏は言います。

企業が売上高や利益などの財務業績を向上させると、コーポレート・レピュテーションが高まる。

コーポレート・レピュテーションが高まると、企業は日々の企業活動に尊敬と賛美を受ける。

そのことから、企業に有能な人材を引きつけ、士気が高まり、高い商品でもブランド価値がついて販売できる結果、さらに売上高が増加し、給料が上がり、従業員の満足度と生産性が上昇して顧客へのサービスがよくなる。

そのため、顧客価値が増大して株価が上昇し、財務業績を含む企業価値を向上させる。

もう皆さんが十分ご承知のサイクルですよね。

好循環を生み出せば、

財務業績の向上⇒コーポレート・レピュテーションの向上⇒財務業績の向上へ

悪循環を生み出せば、

財務業績の低下⇒コーポレート・レピュテーションの毀損⇒財務業績の低下へ

つまり、評判について逆の効果が出れば、その評判の負債は加速度的に雪だるま式に膨らんでいく。

それについて著者の櫻井氏はこう指摘しています。

コーポレート・レピュテーションの向上が続けば、無形資産が蓄積される。

逆に、コーポレート・レピュテーションの毀損が続けば、負のレピュテーションが認識されることになる。・・資産が収益獲得に役立つような将来の経済的便益であるのに対し、無形負債は将来の経済的便益を負担させるような経済的負担を表している。

したがって、伝統的な意味での負債(法律上の債務、引当金)などとは異なり、貨幣額をもって合理的に測定することのできないオフバランスの負債である。・・・・高いコーポレート・ブランドをもつ企業でも、経営者の反社会的行為を行なうことによって、負のコーポレート・レピュテーションが形成される。

反社会的な行為のインパクトが大きすぎたり反社会的な行為を繰り返すことによって、無形負債が蓄積されていく。無形負債が一定以上になると、蓄積された無形負債は量から質に転換し、企業は倒産に至る。

本書では「コーポレート・レピュテーション毀損のケース・スタデイ」として不誠実な経営姿勢が多きな杜会問題となった事例が3つ挙げられています。

1、中毒事件と牛肉偽装事件で社会から糾弾された雪印乳業

高いブランドをもった雪印乳業が、一握りの経営者の不誠実な経営行動(2000年6月の中毒事件と2002年の雪印食品の牛肉偽装事件)によって、2000年3月期の連結売L高1兆3千億円が、2004年3月期には約1/4の3千億円に激減するといった事態に陥ったのである。

不誠実な経営行動は人間によって起こされたものであるから、2000年以降の利益の減少の累積額が、レピュテーション負債になる。もちろん、この現象は企業価値の減少として捉えることも可能である。

2、総会屋への利益供与と有価証券報告書の誤記載で社会から糾弾された西武鉄道

日本にもアメリカと同じようにJ-SOX法を適用するキッカケになった西武鉄通の虚偽記載は、2004年12月17日には株過小記載を理由として、東京証券取引所での上場場廃止になった。

2004年6月30日の資産価値(連結、簿価)は1兆1千億円である。コクドの保有株式は2004年9月末時点で2億1千万株であった。1989年に8千円の上場出来高値をつけたときには、時価総額で見た資産価値は約1兆7千億円に達していた。

有価証券報告書の虚偽記載など一連の事件の余波を受けて西武鉄道株は急落し、11月には1千億円を割り込んだ。

上場廃止前の2004年11月6日現在の時価総額を1千億円と仮定すると、一連の事件によるレピュテーション資産の減少分は、次の計算のように、約1兆6千億円になる。

ただし、本事例では、会計学の理論からみると粗雑であるが、外国の多くの経営学者が支持しているような、株式の時価総額から純資産価値を差し引いた金額が企業価値の減少分である。

企業価値の減少= 1千億円-1兆7千億円= △1兆6千億円

以上のコーポレート・レピュテーションの低下によって、西武鉄道の企業価値は約1兆6千億円減少したといえる。この減少分はレピュテーション負債というよりはレピュテーション資産の減少と定義づけることができよう。

リコール隠しによって社会から糾弾された三菱自動車

リコール隠しという三菱自動車の経営幹部の行なった過去の行為によるコーポレート・レピュテーションの低下が財務業績にいかなる影響を及ぼしたか。

2003年3月期に経常利益543億円(売上高38,849億円)であったものが2004年3月期には△1,103億円(売上高25,194億円)に低下した。経常利益が1年間に1,646億円減少(営業利益は828億円から△969億円に1,797億円の低下)した。

以上から、他の条件を一定と仮定して、三菱自動車のリコール隠しによって生じた2003年度のコーポレート・レピュテーション低下による損失を概略1,646億円と算定することができる。

レピュテーション損失= △1,103億円-543億円 = △1,646億円

三菱自動車が被ったのは、もちろん2003年度の利益が減少しただけにはとどまらない。その後の利益(経済価値)の減少や社会価値・組織価値の毀損も測定されなければならない。

人間の記憶は日々薄れてゆくので、仮に、2004年以降、毎年300億円の利益が減少していくとすると、リコール隠しによるレピュテーション負債の増加は慨略5,000億円になる。

※2003年の利益減少分1,600億円と合算すると、(1,600+1300+1,000+700+400+100)で約5.100億円となる

これは人間によって惹き起こされたレピュテーション負債であるといえる。さらに、株価総額から見た企業価値のの減少、三菱グループヘの社会価値(例;三菱への畏敬の気持ちやステータス)、組織価値(例;グループ構成員の誇りや同結心)への悪影響も勘案し

なければならない。・・・雪印乳業、西武鉄道、三菱自動車の事例はコーポレート・レピュテーションが企業価値に負のインパクトを及ぼした事例である。

これらの事例からわれわれは、企業がレピュテーション・マネジメントの実施によってコーポレート・レピュテーションを高めることの必要性を痛感する。

同時に、ここで試みたコーポレート・レピュテーションの測定は極めて粗いものでしかないので、将来はコーポレート・レピュテーション測定の精度を上げていき、レピュテーション・マネジメントの効果を可視化していく必要がある。

コーポレート・レピュテーションはその測定方法がまだ確立はされていませんが、その破壊力は凄まじい。

この暴れ馬をどう乗りこなせるか、まずはレピュテーションを御社がどう捉えるかにかかっているようにお思います。

★ 今週のテーマ 「2014年の主な企業不祥事」

コーポレート・レピュテーションが悪循環のサイクルに入ると

財務業績の低下⇒コーポレート・レピュテーションの毀損⇒財務業績の低下へ

となることはすでに触れました。

櫻井氏は負のコーポレート・レピュテーションと無形負債として以下のような流れを示しています。

高いコーポレート・ブランドを持つ企業⇒負のコーポレート・レピュテーション⇒無形負債⇒倒産↑経営者の反社会的行為

倒産までありうるぞというわけです。

2014年の終わりにここでも取り上げた項目を中心に少し振り返ってみると、

1月

静岡県の小学校で児童らが下痢や嘔吐の症状を訴え学校閉鎖が相次いだ問題は、業者の給食で出されたパンを原因とするノロウイルスによる集団食中毒と判明

マルハニチロホールディングスは、農薬混入事件の影響で大幅な減産

2月

高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん問題、東京地検特捜部が捜査

3月

トヨタ自動車は、2009年?10年のアメリカでの大規模なリコール問題でアメリカ司法省に制裁金12億ドル支払い合意

「STAP細胞」の論文について著者の1人、若山照彦山梨大教授が論文撤回を共著者に提案

4月

カネボウ化粧品が製造販売した美白化粧品で肌がまだらに白くなる白斑症状が出た問題で集団訴訟

理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーが記者会見

5月

和菓子メーカー赤福でお家騒動騒

岐阜県の県立高校の遠足バスの手配を忘れ、生徒を装う手紙を学校に届けた問題ではJTB中部社員を逮捕

6月

製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの問題で同社元社員を逮捕

7月

マクドナルドホールディングス、使用期限切れの鶏肉を混入問題発覚

ベネッセコーポレーションから顧客情報が大量に流出は顧客情報を不正にコピーして転売したとして下請け業者の派遣社員を刑事告訴

8月

フェイスブックに匿名で店を中傷する書き込みをされた飲食店経営者が、米フェイスブック社側に発信者の情報開示を求めた仮処分申し立てが認められる

9月

朝日新聞社が東京電力福島第1原発事故で「所員が吉田氏の命令に違反し撤退した」との報道は誤報と発表

10月

しゃぶしゃぶ店を運営する「木曽路」が、安価の和牛を松阪牛などと偽って提供

タカタのエアバッグ大量リコール問題で社長がお詫び会見

11月

秋田魁新報社は、従業員の残業代などに未払いがあったとして、労働基準監督署が出した是正勧告を受け約7500万円を支払うと発表

12月

カップ麺の「ペヤングソースやきそば」に虫の混入が指摘された問題

いかがでしょうか。

カップ麺「ペヤングソースやきそば」については記憶も新しいですが、いずれも聞いたことはあるが、もうずいぶん昔のことというような感覚はありませんか?

ここ10年で起こった問題のほとんどは過去に起こった問題と同種か類似の問題ばかりです。

唯一、フェイスブックの発信者の情報開示などが新種の問題で、加えて「忘れられる権利」などの問題が新しい問題と言えるほどであとはほとんどが同種もしくは類似の問題ばかりです。

ベネッセの情報流出では「情報を悪意を持って流す」という組織防衛の意識がなかったとコメントされていました。産地偽装はもう毎度のことで、社員の悪質な嘘や下請け会社の管理不足発覚…etc

なぜこれほど同種の、もくしは類似の問題が発覚しながらみんな他人事で見ていられるのだろうか。

逆にそちらの方がビックリさせられます。

自分のところに起こっていなくても、我が身のこととして考える。

たったそれだけの簡単なことが実行するのは難しい。

なにもたいそうなマニュアルが必要なわけではない。

他社で情報流出が起きたら我が社は大丈夫かを確認すればよい。他社で衛生問題が起きたら我が社の衛生問題は大丈夫かと確認すればよい。他社で残業代の未払いが発覚したら、我が社はちゃんと払っているのかを確認すればよい。

毎日どこかで、それも決して秘密ではなく新聞やニュースで大々的に報道される事件や事故を見て、我が身に当てはめて考えてみる。確認する。

たったそれだけでも大きく違ってきます。

ニュースや新聞で報道されるというくらいの問題は、重要な問題か、世間が気にしている問題とも言えます。

それを問題としてとらえる人が社内にいるかどうか。

まだ遅くありません。1年を振り返って考えてみてください。

過去の不祥事の一覧はこちらのサイトのまとめが漏れがなくすばらしいのでぜひご活用を!

最新の企業事件・不祥事リスト エフシージー総合研究所
www.fcg-r.co.jp/research/incident/

皆さんからの率直なご意見をお待ちしております。

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