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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その46

1月23日付の日本経済新聞に

欧州も未踏の領域、通貨安で景気刺激 量的緩和決定
www.nikkei.com/article/DGXLZO82280240T20C15A1EA2000/

このままだとデフレが域内全域に広がり、1990年代半ば以降の日本のようなデフレ不況に陥りかねない。

と出ていましたが、ヨーロッパはもうデフレになっているんじゃないでしょうか。

日本が苦しんだデフレがヨーロッパで始まり、日本はようやく脱出できる、そんな雰囲気になってきました。

同じく2月6日付の日経新聞では

上場企業の収益が拡大している。2015年3月期の経常利益は前期より3%程度増え、金融危機前で過去最高だった08年3月期を7年ぶりに上回りそうだ。

と出ていましたね。

皆さんの会社はいかがでしょうか?

この流れに乗って是非過去10年分を取り戻していきたいものです。

コーポレート・レピュテーション その46

今回は櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』

第6章「内部統制とコーポレート・レピュテーション」を紹介します。

著者の櫻井氏は第6章の冒頭でこう書いています。

企業がコーポレート・レピュテーションを高める(または毀損しない)ためには、企業の好感度(好ましい印象)、透明性(適切な情報開示)、および信頼性を高める必要がある。

そのなかでも、信頼性がコーポレート・レピュテーション向上のための核である。加えて、CSRやレピュテーションリスク・マネジメントを実施することによって評判をあげる努力も必要とされる。・・しかし、いかに企業の好感度、透明性、信頼性が高くても、レピュテーションの指標を上げ、企業の社会的責任を尽くし、レピュテーションリスク対策に万全を尽くしても、企業の評判が高くなるという保証はない。

営利企業にとって最も大切なことは、

革新的な新製品の開発製造技術の革新による生産性の向上積極的な販売活動

などの企業活動を通じて財務業績を向上させることにあるからである。

とても本質的なことを述べていると思います。

「営利企業にとって財務業績を向上させることが最も大切である」これは評判を考える際にも常に念頭に置いておくべきことでしょう。

財務業績が向上するとは組織が提供する商品やサービスが顧客から支持されているということであり、この支持の延長線上に評判がある。

もっといえば、財務業績を向上、かつ成長もしくは維持していくために、継続して存続していくために評判について考えなくてはならないでしょう。

長らく組織を維持成長させていくうえで評判が大事になってくる。

さて、その組織の評判をガタ落ちにさせたの原因をもとに本書第6章伝取り上げられている内部統制という考え方は生まれたともいえるでしょう。

昔から内部統制に関する概念は存在していました。

しかし、

1980年代になると、アメリカでは相次ぐ金融機関の破綻に導かれたセンセーショナルな虚偽報告と倒産が相次いだ。

そこで、1985年に5つのスポンサーからなる「虚偽の財務報告に関する全米委員会」(通称、トレッドウェイ委員会)が設立され、1987年には全米における虚偽の財務諸表の問題の深刻さを示す報告書が発表された。

それを受けて、1992年には、通称COSOと呼ばれるトレッドウェイ委員会支援組織委員会が内部統制についての新しい概念を発表するに至った。

その結果、1990年代になると、内部統制の概念は伝統的な概念を経営トップによる不正防止を含める方向で大きく拡張させていくことになったのである。

通称COSO「トレッドウェイ委員会組織委員会」が作成した「内部統制」のガイドラインでは、3つの目的と5つの構成要素によって、内部統制を定義しています。

内部統制の目的は、

◆業務の有効性・効率性を高めること
◆財務報告の信頼性を確保すること
◆関連法規の遵守

この3つです。

次に、内部統制を構成する要素として、

◆統制環境
◆リスクの評価
◆統制活動
◆情報と伝達
◆監視活動

この5つが挙げられます。

これらの流れに加えて

2001年11月、アメリカのエネルギー会社エンロン社が連邦破産法チャプターイレブンを申請した。

エンロンの破綻を端にして、世界5大会計事務所の1つ、アーサーアンダーセンの不正会計処理が発覚するとともに、ワールドコム、タイコなどの名だたる企業の不正が発覚し破綻していった。

アメリカ政府の対応は素早く、2002年7月に、ブッシュ大統領の署名の下、SOX法が成立した。そして、SOX法にもとづくアメリカの公開大企業への内部統制の監査は、2004年11月15日以降に終了する事業年度から開始されることになったのである。

SOX法では、年次報告書および四半期報告書には内部統制の有効性についての経営者の宣誓書を含めることを要求(302条)し、 また年次報告書には経営者による財務報告に係る内部統制についての評価報告書を含め、当該評価についての外部監査法人による証明を要する404条(財務報告に係わる内部統制の評価)などの改革が行われた。

これらを受けて日本でも2006年6月に金融商品取引法が成立し、新たな内部統制のルールとして「J-SOX(日本版SOX法)」 が実施され、すべての上場企業に適用、2008年4月以降に開始されることになります。

これら内部統制の考え方は

◆業務の効率化
◆不祥事の土壌の排除
◆不明瞭な財務データの排除

が大きな目的です。

皆さんすでによくご存じでしょうから法律個々の説明は避けますが、この法律の施行により、経営者は自己点検を実施、公認会計士が監査、加えて内部統制システムの監査に備えて業務の流れや社内手続きを文書化し記録させなければなりません。

島津製作所 内部統制報告書
www.shimadzu.co.jp/ir/yuho.html

イオン 内部統制報告書
www.aeon.info/ir/library/control.html

もともと内部統制をする概念はあったものの、世間を揺るがす事件をもとに必要不可欠なものとして新たな考えが加わった内部統制に関する法律ですが、統制して監視するというその活動に結構なコストがかかります。

2013年版 上場企業 監査人・監査報酬 実態調査報告書
www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/files/0-51-0-2a-20130307.pdf

内部統制の活動はコストとの闘いと言ってもいいくらいじゃないでしょうか。

内部統制がもたらした五つの深刻な問題加護野忠男
bizgate.nikkei.co.jp/article/72674312.html

会社統治制度改革のなかでも、その改革の狙いの理解が最も難しいのは、内部統制制度の強制導入である。

なぜ理解が難しいのか。

コストを正当化するだけの効果が期待できないからである。その導入・運営のためのコストが膨大であるが、それに見合った効果が期待できないのである。・・米国のSOX法は、エンロンやワールドコムなどで相次いだ粉飾決算を防ぐためにつくられたもので、この法を施行するために、企業が従うべき内部統制の手順が微にいり細にわたり規定された。

米国では細か過ぎるのではないかという批判が出て、見直しが進められた。このような制度を導入するとよい経営ができないという理由で米国の証券市場を避けてロンドンの証券市場で公開するベンチャーすら出てきたほどである。

と書いておられます。

また、加護野氏は内部統制システムの問題として、5つの問題点を挙げています。

1、導入に大変大きなコストがかかる
2、日本の場合、このような制度は不要である
3、企業の内部に官僚主義を蔓延させる
4、日本企業の独自の強みが失われてしまう
5、内部統制システムが組織の風土を劣化させてしまう

「営利企業にとって財務業績を向上させることが最も大切である」とのバランスの問題、一方で企業の信頼性や透明性は高め評判は上げなければならない。

しかし、その方法が日本の企業の本来の強みを消してしまいかねないというジレンマ。

櫻井氏も本書で監査の役割と限界に触れていますがこのあたりの議論が粛々とされているのが現状です。

企業は法律が施行されればそれに従わなければなりませんが、日本の土壌にあった法律に改正されていくのが望まれるでしょう。

これからしばらくはこの内部統制について触れていくことになります。

皆さんからの率直なご意見をお待ちしております。

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