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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その51

ネットにおける誹謗中傷について考えさせるニュースが伝えられています。

川崎の中1殺害事件において無関係であった女子中生がネット上で「犯人視」されていると。

産経新聞 3月14日(土)
www.sankei.com/affairs/news/150314/afr1503140003-n1.html
■次々と届く脅し「外に出るの怖い」

川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年の男子生徒が遺体で見つかった事件は13日で発生から3週間を迎えた。

発生直後からインターネット上では「犯人捜し」が行われ、事件と無関係の人物が「犯人」と名指しされる事態も起きた。

その一人となった女子中学生は、名前や写真などが知らぬ間にネット上にさらされた。見知らぬ人から誹謗(ひぼう)中傷を受けた女子生徒は、産経新聞の取材に「外に出るのも怖い」と、ネット社会の恐怖を語った。(岩崎雅子)

「人殺し」。

女子生徒の簡易投稿サイト「ツイッター」に脅迫まがいの言葉が届くようになったのは、男子生徒の遺体発見から2日後の2月22日夜だった。

ネット上では、既に複数の人物が「犯人」と疑われ、女子生徒はその知人と誤解されたのだった。

また、男子生徒殺害の前日、横浜市西区の公園にある公衆トイレで中学2年の男子生徒が暴行されて重傷を負う事件が発生。

ネット上では、これらの事件が「同一犯」視されており、女子生徒は両事件に無関係だったにもかかわらず、犯人グループの仲間と勘違いされていた。

突然のメールに混乱する女子生徒に追い打ちをかけるように、次々と脅しのメールが届いた。女子生徒は自身のツイッターで「私じゃない」という趣旨の説明をしても、「しらばっくれんな、死ね」などと暴言は止まらなかった。

女子生徒は23日夜、恐怖心などから反論を書き込んだが、直後からさらに、女子生徒のツイッターには「死ね」「住所も学校も特定してるから」「殺す」といった脅しが届くようになった。

すぐにツイッターのアカウントを消去したものの、顔写真や制服姿の写真が既に流出してしまっていた。

「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」

今月上旬、自宅で父親とともに取材に応じた女子生徒は、ツイッターに書き込んだ反論を後悔していた。「あの時はとにかく怖くて、なんとかしなきゃと…」

女子生徒の異変に気付いた中学校の教諭から連絡を受けた父親は今月6日、警察に相談した。

父親によると、警察はネット上の画像についてネット接続業者に消去を依頼するなど善処を約束したが、完全消去は困難で、脅迫文が届くといった物理的なものがなければ、捜査は難しいと言われたという。

「たくさんの人が、私の写真を『こいつが犯人だ』って見たんだと思うと、ショックで」

女子生徒は恐怖で多くの人が集まる場所に出かけられなくなり、最近は友人からの誘いも断っている。娘を気遣う父親は「せめて画像が消えてくれたら」とため息をついた。

2010年の大津市の中学生いじめ自殺事件の際にも、加害者の親族と間違われてネット上で顔写真がまき散らされたことがありました。

毎日のようになにか事件が起こり、それらについいての情報は拡散し、凶悪で残忍な事件では市民一人一人がマスメディアになり、情報を発信、拡散する。

もはやこの流れを止めることはできませんが、1つ1つデマを流した人はその責任が問われ、処罰が下され、そうしたもののが一定量蓄積されなければ、現在の熱狂は収まらないということなのでしょう。

それにはもう少し時間がかかると思われます。

時間の経過でしかこの熱狂は収まらない。

自己抑制された良識ある行動は始まらないのは残念なことですが。

コーポレート・レピュテーション その51

前回、ここで企業内の「データ持ち出し」が深刻度を増しているというニュースを紹介しました。

ただし「データ持ち出し」における「内部犯罪や不正持ち出しの率は低く、大半は内部の人間による判断ミス、不注意、操作ミス、これに加えて規則違反や管理不備が重なった結果起きているのが今の日本での情報流出の現状だと書きました。

「データ持ち出し」が深刻度を増しているという発表と同じ時期になりますが、「知的財産の侵害」の件数も過去最多となったと警察庁が発表しています。

時事通信 2月26日(木)

偽ブランド品の販売や顧客情報の持ち出しといった「知的財産権の侵害」事件が2014年に全国で574事件摘発されたことが26日、警察庁のまとめで分かった。

前年より50事件増え、統計が残る1986年以降の最多を更新した。

このうち企業が秘匿している技術や顧客の情報、販売戦略を他社に持ち出す「営業秘密の侵害」は11事件あり、前年の5事件から倍増。

東芝の研究情報を転職先の韓国企業に渡した男が逮捕された事件や、ベネッセコーポレーションの顧客情報をコピーして名簿業者に売った男が逮捕された事件などがあった。

としています。

知的財産権は、特許権や著作権などの創作意欲の促進を目的とした「知的創造物についての権利」と、商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」に大別されます。

このうち特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権については、排他的に支配できる「絶対的独占権」が、著作権、回路配置利用権、商号及び不正競争法上の利益については、「相対的独占権」が認められています。

こうした話で皆さんがすぐ思いつくものでは「ヤフオク!」なんかがピンとくるかもしれませんね。

「ヤフオク!」はご存じのように欲しいものを競り落としたり、いらないものを出品したりできるシステムで多くの方が出品はいざ知らず落札をしたことがある方も多くなっています。

この「ヤフオク!」ではブランド品の偽物などを意図してオークションに出品する悪質な業者もいるようです。

かつてはこうした悪質な業者は競り落とした顧客の声などに非難が書かれ、ショップの評価を低く付けることである程度淘汰もされましたが、最初からそんな評価なんか関係ないと考えている業者には顧客の声や評価など何の影響も与えなかった。

そうした中で生まれてきたのが2003年にYahoo! JAPANが設けた「Yahoo! JAPAN知的財産権保護プログラム」です。

「Yahoo! JAPAN知的財産権保護プログラム」
business.ec.yahoo.co.jp/ppip/

このプログラムでは、大きく2種類に分かれており、ヤフオク!及びYahoo!ショッピングで権利が侵害された出品物を発見した場合に、

プログラムA
その都度、証明できる資料を用意して、Yahoo! JAPANへ郵送で削除依頼の申告を行う方法

プログラムB
ウェブフォームで削除依頼の申告を行う方法で、プログラムAより、削除依頼の手続きを簡略化できる。

これは「知的財産権を侵害」する出品物について、Yahoo! JAPANが該当する出品物を削除するなどの措置を行うものです。

仲介者とはいえ仲介手数料を取っているYahoo! JAPANも、オークション利用者や権利者とともに、知的財産権の保護に取り組んでいることをアピールしなければなりません。

Yahoo! JAPANは、オークション利用者、権利者とともに、知的財産権の保護に取り組んでいます。
special.auctions.yahoo.co.jp/html/auc/jp/propertyprotection/guide/program/index.html

そうしないとYahoo! JAPANや「ヤフオク!」の評判を毀損してしまいますから。

昨年になりますが、ハロウィーンのためのお菓子を探そうとアマゾンジャパンの通販サイトで「キャンディ」を検索したところ、ほとんど服を着ていない思春期前の小さな女の子の画像が現れたというニュースがありました。

母親が「キャンディ」検索で驚愕-通販サイトに女児性的画像
www.bloomberg.co.jp/news/123-NETV1X6K50Y701.html

児童ポルノの所持を禁じる法律が改正され、アマゾン、楽天、ヤフーはグレーな商品を掲載することについて、どこまでが表現の自由で、どこからが子どもの権利侵害なのかも議論されています。

児童ポルノについては、アマゾンも自らの評判を毀損しないため、対応しないと大きなダメージになる問題ですよね。

ヤフーもアマゾンも企業そのものはそのような行為を認めているわけでは決してないのですが、そうした取引業者を放置しているということは自らの評判を失いかねないということでしょう。

また、知的財産権に含まれる著作権については、香月啓佑氏がこんな指摘をしています。

皆さんも著作権の侵害をしていないでしょうか?

「バイラルメディアざまぁwww」と笑っている場合ではない ~TPP交渉と著作権
blogos.com/article/106833/

香月:著作権侵害行為が問題になっているバイラルメディアもコピペブログも、現状では権利者が見逃しをしてくれているだけなんですよ。

もちろん、気がついていないだけとか、どう対応したらいいかわからない、対応コストを考えるといちいち付き合ってらんねえ、とか、理由はさまざまでしょうが。

いわゆる著作権侵害という行為は、僕らのかなり身近にあります。

例えば会社で参考になる新聞記事のスクラップをシェアしたり、秘書にコピーさせたりなんてことは著作権侵害なんです、実は。会社内でのコピーは著作権法の例外である「私的複製」の範囲外ですからね。

仕事に関するコピーは全部著作者のOKをもらわないと原則的にダメです。そして僕たちの生活の中でのコピーも、場合によっては著作権侵害かどうか、かなり瀬戸際なことがあるんです。

私的複製は「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」とならOKと法律に書いてあるんですけど、この限られた範囲ってどこまでなのか、専門家の中でも議論中なんですよ。

つまり日常生活の中で僕らが小さな著作権侵害をしていることって結構あるんです。

それでもなぜ警察が捕まえに来ないかというと、簡単に言えば警察だけでは捕まえることができないからです。

警察もサイバー犯罪捜査の一環として、ネット上での著作権侵害のウオッチをしています。

ただ、彼らがやっていることは、権利者に対して「あなたの著作物がこんな風に違法にやりとりされていますよ」と伝えることだけです。見つけた時点では警察は何も動けません。

と。

香月氏の指摘は、先に触れた川崎の中1殺害事件において無関係であった女子中生がネット上で「犯人視」されている問題と同種のもので、私たちは日常生活において「小さな著作権侵害」を日々犯しており、「それでもなぜ警察が捕まえに来ないかというと、簡単に言えば警察だけでは捕まえることができないから」です。

たまたま捕まった車のスピード違反者が「オレだけやないやろ!」といってしまうあの感覚に似ているのかもしれませんね。

評判を守る際にはなによりも守備を固めねばなりません。

自分の守備だけでなく、取引業者を含むステークホルダーについてもその守備範囲に含まれます。

「オレはちゃんとしてるだろ」というのは同情されてもがなかなか理解は共有されません。

というのも、違反者は違反はしているのだから。そこがこれらの問題を難しくしているのかもしれませんね。

酒見賢一さんの本に「墨攻」という本があります。

中国において、後世の中国思想で課題とされるようなことはほとんど俎上に上ったと言われる諸子百家が活躍した春秋戦国時代を舞台に墨子の教えを守る墨家集団の一人を主人公にしたおもしろい小説です。

墨子という人はこの本によれば、

墨子は自ら侵略することは絶対にしなかった。ただ、守る、のである。

と記しています。

「墨守」という言葉は、「自己の習慣や主張などを、かたく守って変えないこと」という意味で使われますが、この言葉は墨子が宋の城を楚の攻撃から九度にわたって守ったというところから生まれたとか。

その墨子の教えをかたくなに守る小説の主人公に戦いの論功行賞における場面でこう言わせています。

以下( )内は名前ではわかりにくいので私が補足しました。

革離(主人公)はこの戦闘の論功行賞で五十六名に賞を与えて、表彰した。処罰者も多かった。

「とくに女と会っていた者を姦を犯したとして、二組処刑した。女が斬られるのを見て、梁適(次期2代目社長)はこれは革離が先日のことを俺にあてつけているのだ、と感じた。

革離(主人公)の賞罰はじつに公平であった。不満を言う者はいなかった。梁渓(現オーナー社長)のみは自分の財産が一戦ごとに減っていくのが不満で、そのあまり病を発して寝込んでしまった。

また、梁適(次期2代目社長)も革離(主人公)への不満を募らせている。革離(主人公)は賞罰に細心の注意を払っている。少しでも誤りがあることは許されない。正直者を選んで軍監とし、兵の状況を見張らせている。

結局、守禦術の極意は民心の統御なのである。

民に不満を起こさせたり、疑惑を抱かせたりすることが敵よりも恐ろしい。そのためには信賞必罰を旨とし、決して不満を起こさせないようにする。

つねに民の和合を計るように気を配る。民心の和合こそがいかなる守城設備よりも重要なものであった。

これさえあれば土塁も堅城となり、城は不落の要塞と化す。

城に籠城して堅い守りを敷き、難攻不落の城となるためにはさまざまな知恵や工夫が施されます。

しかし、いかなる技術や規律よりもさらに重要なのは「民心の統御」、つまり働く社員の人心掌握ということですね。

そのためには信賞必罰、それと公平な人事だと酒見賢一さんは主人公に言わせています。

評判を守るためのさまざまな管理や対策は「二の矢」であって、最初の「一の矢」は公平な人事と信賞必罰だということでしょう。

まさに評判は社内からというわけです。

一言で公平な人事というんは簡単ですが、公平というのがこれまた一番難題であるということは認めますが。

ただ「つねに民の和合を計るように気を配る。民心の和合こそがいかなる守城設備よりも重要」は民を社員に置き換えればよく実感できることであり、組織を「不落の要塞」とするためにはなにより社員の和合を計ること、言ってみれば聖徳太子が制定した十七条憲法の第一条「和を以て貴しとなす」に通じる話になっていきます。

私たちが範とすべきものは欧米の最新の経営学ではなく、古代の時代にすでに明らかにされているのかもしれませんね。

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