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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その53

ずいぶん暖かくなりましたね。もう寒い日は来ないのでしょうか?

新生サッカー日本代表の初戦が行われ、プロ野球も開幕、さくらは満開、黄砂と花粉も満開と春がやってきたと実感します。

安倍首相は3月27日の参院予算委員会で、自らも花粉症に悩まされていることを告白した上で

来年度から発生源のスギの伐採と同時に、花粉の少ない苗木への植え替えを支援する。花粉の少ない森林への転換を進めていきたい。

と述べ、花粉症撲滅に向け対策を進める考えを示したとか。

もう早くしてほしいですね。とはいえ、対策にはこれからあと何年もかかるから当分は花粉に悩まされるってことになりそうですが。

コーポレート・レピュテーション その53

しばらく前にここでIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)による内部不正防止のポイントを紹介しました。

コーポレート・レピュテーション その50

1適切な権限管理

2ログの記録と従業員への通知(内部監視)

3職場環境や処遇の見直し

その際、「誤操作」「紛失・置き忘れ等」「盗難」「管理ミス・設定ミス」はどの組織でも、いかに管理していようが起こりえます。ミスは1回であれば問題になりませんが、2回連続で起こればクレームになるといわれますと書きました。

内部不正の防止には権限管理や監視などの直接的な管理手法やソフトは注目されますが、それらを行った上で「職場環境や処遇の見直し」が不可欠であると。

それは権限管理や監視などが外面からは不正防止措置になるのに対し、内面からは「適正な労働環境」「良好なコミュニケーション」「公平な人事評価」による不正防止措置を行うということです。

完璧な外面監視を実施したとしても、内面、つまり組織内部における「職場環境や処遇の見直し」をしなければ、不正防止は止まらないというわけです。

こうした観点から考えてみるべきなのが、現在大きなニュースになっているドイツ格安航空会社ジャーマンウイングスの墜落事件です。

次々と戦慄すべきことが明らかになっています。

このドイツ格安航空会社ジャーマンウイングスの墜落事件、当初は何らかの事故かと思われていましたが、事故ではなく、副操縦士によって故意に墜落させた疑いが高くなっています。

ジャーマンウイングスはスペインのバルセロナを出発後、2015年3月24日にフランス南東部のアルプス山脈の標高2,000m付近に緊急事態宣言など一切の交信もなく、墜落しました。

報道されている戦慄すべき事項を少しだけ紹介すると、

時事通信 3月27日(金)

ボイスレコーダーの解析から、副操縦士に呼吸の乱れやパニックに陥った形跡はなく、無言で墜落を迎えたことが分かっている。


機長は「恐らくトイレに行くため」(仏マルセイユ検察のロバン検事)に操縦席を退席。その後、副操縦士に入室を拒否され、おので扉を壊そうとしたが果たせず、墜落に巻き込まれたもようだ。


操縦室から閉め出された機長が席に戻るため、操縦室の扉を非常用のおので破壊しようと試みた可能性のあることが分かった。

このほか、副操縦士はテロリストの経歴はなく、テロと見なす根拠はなく、家宅捜査によって副操縦士の自宅から病気のため「勤務不可」を指示する医師の診断書が発見されたということです。副操縦士は深刻なうつ病だった可能性も指摘されています。

ジャーマンウィングスの親会社ルフトハンザ航空の幹部は記者会見では、

朝日新聞デジタル 2015年3月27日
digital.asahi.com/articles/ASH3W2FT1H3WUHBI00C.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3W2FT1H3WUHBI00C

操縦士の選抜について「精神面の安定には、特に厳重に注意を払っている」と強調。ルビッツ氏の適性も「100%」で、テロの兆候は見られなかったと断言した。


独紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は26日、元同級生の母親の話として「その時は燃え尽き症候群のようで、かなり落ち込んでいた」と伝えた。しかし、最近は元気を取り戻し、普通に働いていたという。

毎日新聞 2015年03月27日
mainichi.jp/select/news/20150327k0000e030176000c.html

副操縦士は6年前に訓練を一度やめた時期があったが、その後再開し、適性検査等を全てクリアして操縦士として通常勤務に就いた。訓練を中断した理由は「個人的な事情」とされるが、独メディアによると、精神的な疲れだった可能性があるという。

操縦士として採用されてからも、同社は年に1度、定期的な健康診断を実施し、操縦に耐えられる健康状態かどうかを検査するが、「精神的・心理的」に正常かどうかに特化した定期検査は特になかったという。

これらに加えて副操縦士の元交際相手が

墜落の報を聞いたとき、ルビッツ副操縦士が昨年語った言葉を思い出したと述べている。

副操縦士は「いつか体制全体を変える何かをするつもりだ。皆が僕の名を知り、記憶するようになるだろう」

と語ったと報道されています。

この事件をここで取り上げるのは、先に挙げた組織の不正防止における外面と内面の防止措置いずれもが破られ突破された事例ではないかと考えるからです。

外面、すなわち権限管理や監視などについていえば、この点、

TOCANA 2015.03.28
tocana.jp/2015/03/post_6090_entry.html

事故の原因のひとつとして、01年の米同時多発テロ後、強化された操縦室へのセキュリティシステムが裏目に出たことが指摘されている。

機長がコックピットを出た後に副操縦士が、セキリュリティシステムを悪用し犯行に及んだとみられているためだ。もし、誰かが操縦室で監視を行っていれば、墜落を防げた可能性が高い。

機長は「恐らくトイレに行くため」(仏マルセイユ検察のロバン検事)に操縦席を退席したが、その後、副操縦士に入室を拒否され、おので扉を壊そうとしたが果たせなかった。

このコックピットへの出入りは、2001年の米同時多発テロを機に、世界的に厳しく制限されるようになり、日本の国土交通省によると、60席超の旅客機では2003年11月から、銃弾が貫通しない強化ドアの装備が義務づけられています。

以前は外からも開けられた操縦室のドアですが、9.11のテロ対策以後は、コックピットの外から施錠された場合、ドアを開ける手段がなかったということのようです。

テロ対策として厳しく対策されたことがこの事件では裏目に出たということです。完璧な対策もまた別の事象ではネックになるという典型的な事例ですね。

これらの報道を受けて、各国の航空会社は「操縦室の常時2人体制」を即座に発表する会社もあり、今後は「操縦室の常時2人体制」は各国で義務付けられていくでしょう。

もう1つ内面、すなわち組織内部における「職場環境や処遇の見直し」については、ルフトハンザ航空の記者会見では、

操縦士の選抜について「精神面の安定には、特に厳重に注意を払っている」と強調。ルビッツ氏の適性も「100%」で、テロの兆候は見られなかったと断言した。

とのことですが、実際は、家宅捜査によって副操縦士の自宅から病気のため「勤務不可」を指示する医師の診断書が発見された、つまり操縦を務められる状態でなかったにもかかわらず、管理や検査体制をすり抜けて副操縦士は勤務していたということになるでしょう。

墜落したドイツ・ジャーマンウイングスは、いわゆるLCC「格安航空会社」に分類される組織で

朝日新聞デジタル 2015年3月24日
digital.asahi.com/articles/ASH3S6TBWH3SUHBI03L.html

航空情報大手OAGのサイトによると、欧州では格安航空会社(LCC)は2013年までの10年間で乗客数が年率14%の伸びを示した。年率1%の従来型航空会社の伸び率をはるかに上回る急成長をみせた。

背景には、欧州連合(EU)の共通市場政策で90年代にかけて自由化が進み、航空業の許認可が各国からEUへ一本化され、EU内で新規路線への参入が容易になったことがある。

欧州のLCCに詳しい金沢大の小熊仁助教(交通政策)は「日本の国内線を米国の航空会社に開放するようなもの。世界で唯一の革新的な取り決めで、欧州でのLCC普及の大きな要因になった」と話す。

EUの航空シェアに占めるLCCの割合はこれまでに4割を超えた。

OAGによると、特にスペインでは、13年5月の段階で、LCCの市場シェアが国内線で51%、国際線で54%と、どちらも半数を超えた。

欧州通貨危機に見舞われたスペインなどでは、旅行客のコスト意識が高まり、LCCの成長に拍車をかけたとみられる。

格安航空会社(LCC)といえば、日本国内においても、先ごろ、国内航空3位の東証1部上場のスカイマークが自力での経営再建を断念し、民事再生法を申請しました。

スカイマークは昨年、世界最大の旅客機「A380」の購入契約をめぐり、製造元のエアバスから違約金を求めら、数百億円の違約金を請求されるなどしてごたつきましたが、結局民事再生法を申請。

民事再生手続き中のスカイマークの支援には、ANAホールディングスやマレーシアのエアアジア、米デルタ航空などが取りざたされていますが、当初目標とした「2月中」から大幅にずれ込み3月いっぱいまでかかると報道されています。

現在、世界ではこの格安航空会社(LCC)のシェア拡大が続いており、先にあったように「スペインでは、13年5月の段階で、LCCの市場シェアが国内線で51%、国際線で54%と、どちらも半数を超え」。

昨年、フランスのエールフランスであった大規模なストライキも、この格安航空会社(LCC)絡みでした。

エールフランス、ストによる損失は1日最大2000万ユーロ
2014年 09月 22日 ロイター
jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0RN3ZI20140922

仏蘭系航空大手エールフランス は22日、パイロット組合が実施しているストライキによる損失は、営業損益ベースで1日あたり最大2000万ユーロ(2570万ドル)(約28億円)に相当することを明らかにした。

この頃の運航率は41%、パイロットの6割以上がストライキに参加する大規模なもので欧州は空の交通網が大混乱を起こしました。

このストライキの火種となったのは、エールフランス傘下のオランダの格安航空会社トランサビア(Transavia)の事業拡大計画の案件で、エールフランスは先に、採算の取れない一部の貨物路線を縮小する一方、トランサビアの事業を拡大すると発表。

これに対し、エールフランス側のパイロットが雇用や給料の面で懸念を抱き、実力行使に至ったというのがストライキの主要因でした。

エールフランス側はいったんこの提案は凍結しましたが、パイロットと航空会社の駆け引きはなかなか落としどころが見つからないのが現状です。

企業としてはシェアが広がってニーズもある格安航空会社(LCC)を拡大し、採算の取れない一部の貨物路線を縮小するなどして経営の効率化を進めたいわけですが、そこで働く人は仕事を格安航空会社(LCC)に奪われると反対する。

エールフランスのストは「視界不良」 2014年09月23日
www.afpbb.com/articles/-/3026721

・・・パイロットらは、主に地中海の観光地へ運航する系列格安航空トランサビア・フランス(Transavia France)の事業拡大計画に反発し、今回のストライキに踏み切った。

パイロットらでつくる組合側は、最高年収25万ユーロ(約3500万円)とされる高賃金のエールフランスのパイロットを給与が大幅に低いトランサビアのパイロットで置き換えていこうとしているのではないかと懸念している。

エールフランス経営側は、競争の激しい航空業界で不可欠と捉えているトランサビアの事業拡大の凍結を提案。

しかしパイロットらの最大組合「全国航空パイロット組合(SNPL)」は声明で、この提案を「これまでの提案以上のことを保証するものではなく、何ら問題解決にならない煙幕にすぎない」とはねつけた。

しかし、エールフランスの親会社で、独ルフトハンザ航空に次ぐ欧州第2の航空会社グループであるエールフランスKLMのアレクサンドル・ドジュニアック最高経営責任者は先に、運航便の平均6割の欠航を招いている今回のスト終結を目指し、これが「最後の提案」だという見方を示していた。

具体的にドジュニアック氏は、パイロットらと「対話をより深める」ため、「欧州内にトランサビアの子会社を設立する計画を今年いっぱい凍結する」と提案。しかしその一方で、計画そのものは破棄せず維持していくと言明した。

ここまで読んでいただくとわかると思いますが、これはまさに「職場環境や処遇の見直し」の話ですよね。

競争が激化する市場における組織の防衛行動とその組織で働く社員による自己防衛行動が矛盾した形で噴き出しているわけです。

こうした不満を持って多数の乗客を乗せて旅客機は飛ぶわけです。

99.9%の操縦士はその操縦に不満をぶちまけることはないとしても、0.1%の操縦士はわからない。しかし、旅客機における0.1%は大惨事につながります。

航空機の自動運転が行わるようになり、1機に乗り込む操縦士の数も昔よりは少なくなっている今、この事態がさらに進んでいくとすると、パイロットの抱える将来や仕事への不安は今後さらに大きくなっていくことでしょう。

最新の機器を積み込んで多数の命を運ぶ旅客機に不満や不安を抱えて乗り込むパイロット。

最近続く飛行機の墜落事故を聞くにつけ、これらの

1適切な権限管理

2ログの記録と従業員への通知(内部監視)

3職場環境や処遇の見直し

を再調査する必要があるのかもしれません。

いずれにしても外面と内面は常にセットで実施されなければなりません。

海外の航空事故を他人事のように考えていると、その同種の問題はあなたの組織で必ず起きます。

もう一度真剣にこの問題を捉えなおして考えてみる必要があるのではないでしょうかね。

ドイツ格安航空会社ジャーマンウイングスの墜落によって大切な命を失われた方のご冥福を心よりお祈り申し上げる次第です。

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