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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その54

ファストフード業界の業績低迷が紙面をにぎわす機会が増えていますね。

日本マクドナルドホールディングスの2014年12月期連結決算は11年ぶりの最終(当期)赤字に転落し、2015年1月の既存店売上高も減少率が2001年の上場以来過去最大を記録したとか。

牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスの2014年4~12月期連結決算は、最終(当期)損益が25億円の赤字(前年同期は7億円の黒字)だったとか。

こうしたファストフード業界個々の企業の低迷ぶりはよく伝えられますが、日本フードサービス協会の会員会社で構成される外食産業の2015年2月度の市場動向調査における最新値では、

同月の総合売り上げは前年同月比でプラス0.9%を計上・・・大きな売り上げ減を示した洋風ファストフードが引き続き大軟調状態を継続しているものの、ファミリーレストラン部門が大よそ堅調に推移し、全体の底上げを果たす形となった

と業界全体ではわずかながらのアップとなっています。

ここ最近での業績低迷が目立つのは、過去10数年のデフレ時代にマッチさせてトップ企業たる地位を確立した企業ばかりです。

だからデフレ時代に合致させた究極の低価格路線を実施するオペレーションを見事に体現した企業が時代の潮目に際してのモデルチェンジに苦しんでいる、と見ることもできるのではないでしょうか。

過去の成功体験は新しい時代の足かせになるというのは日露戦争に勝利した日本が40年後には数百万人の貴重な命と人材を失い焼土と化して占領された事例を見ても明らかでしょう。

ある時代にもっともマッチした組織となった企業は次の時代ではその「もっともマッチした組織」自身や「もっとも利益を生んだその考え方」が足かせになる。

デフレによって下がり続けてきた原材料費、人件費等が上昇に転じ、極限までの効率化をした究極のオペレーションは人権無視と批判される。

これまで利益を生んできた材料がすべて逆目に出始めているわけですよね。

まだ予断は許しませんが、デフレが「終わった」とみられる兆候がある中で、もし本格的にデフレ時代の終焉を迎えるなら、過去の成功体験を持った組織こそが一番に変わらなければならない。

しかし、デフレ時代に最も成功した組織が変わるのが最も難しいというこのジレンマを最近のファストフード業界の業績低迷の報道は示しているのではないか。

そういう意味ではそうした企業は低迷しているのではなく、転換しようとしている時期ともいえます。その転換がうまくいけば業績は上向き、うまくいかなければ「終わった」といわれてしまうでしょう。

牛丼チェーン最大手のすき家では4月中旬から牛丼の値上げを決定し、牛丼並盛を291円から350円に値上げすると発表しました。

この並盛350円という価格は、すき家創業時の1982年当時の価格と同じです。1990年代はほぼ400円で推移していたようですから、今回の値上げは、実は、「な~んだ、元に戻ったのか!」なのです。

数年以内には並盛は400円台となっていくであろうというのが私の見立てです。

値上げといえば重苦しいですが、400円台になったとしても「な~んだ、元に戻ったのか!」なのです。

価格が元に戻って値上げとなれば、マイナス面もでるでしょうが、プラスの面だってあります。

御社の業界でも20年前に常識だったことを価格やオペレーションも含めてもう1回見直してみたらいいですね。

本屋さんはダメになったけれど、アマゾンは絶好調です。

売るものに大きな変化はないけれど、売り方が変化しただけ。

業績低迷は転換するチャンスと捉えるとこれからの10数年を自分たちの時代にできる可能性があります。

とはいっても、その転換が難しいのですが・・・

コーポレート・レピュテーション その54

このコーナーではこれまで

ディアマイアー著『評判はマネジメントせよ』
オルソップ著『レピュテーションマネジメント』
ハニングトン著『コーポレート・レピュテーション』
畑中鐵丸法律事務所著『企業のネットトラブル対策バイブル』
櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』
を紹介してきました。

詳細はメルマガバックナンバーをご覧ください。
www.soluna.co.jp/melmaga/

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」いわゆる「リベンジポルノ被害防止法」が昨年2014年11月に成立しました。

「リベンジポルノ被害防止法」はプライベート写真や動画のインターネットなどへの流出を防ぐ目的で成立したもので、写された人が特定できる方法で不特定多数もしくは特定の少数者に提供した場合は懲役または罰金が科されるというものです。

名前は聞いていても、実際にその該当する法律を読んだことがないという方が圧倒的に多いので、ここで少しだけ読みにくいですが、成立した法律に触れてみます。

短い法律なのでお付き合いください。

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26HO126.html

この法律、いわゆる「リベンジポルノ被害防止法」は

第一条 ・・・個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止することを目的とする

とあります。

では、この法律で定める「私事性的画像記録」とはいかなるものなのか?

(定義)第二条


一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態

二 他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

もちろん、「・・・撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたもの」は除かれます。

その上で、先に触れたようにこうした「私事性的画像記録」を写された人が特定できる方法で不特定多数に提供すると3年以下の懲役または50万円以下の罰金、無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで拡散目的に特定の少数者に提供した場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(第三条)。

これらに加えて、第五条では私事性的画像記録の提供等による被害者に対する「支援体制の整備等」についてが記され、第六条では「被害の発生を未然に防止するための教育及び啓発」が示されています。

第五条の「支援体制の整備等」では、

国及び地方公共団体は、・・・被害者の適切かつ迅速な保護及びその負担の軽減に資するよう、・・・必要な捜査機関における体制の充実、私事性的画像侵害情報送信防止措置の申出を行う場合の申出先、申出方法等についての周知を図るための広報活動等の充実、被害者に関する各般の問題について一元的にその相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。

とあります。

たとえばストーカー行為について、これまで主に警察ですが、その対応に不十分と思われる事例も見受けられ、残念ながら事件を防止するに至らなかったと推察されるものが多数報告されています。

何人もの方が命を落としていることを皆さんご存知でしょう。

2013年10月、東京・三鷹市で女子高校生が殺害された事件を受けて、ようやく警視庁は、ストーカーやドメスティックバイオレンスへの初動対応を強化するための特別チーム「ストーカー・DV事態対処チーム」を新設しました。

警視庁によれば、この「対処チーム」設置後の昨年2014年1月から3月末までのストーカー事件の検挙は78件で、前の年の同じ時期より63件多く、およそ5倍になったということです。

これは最近になってストーカー等の事案が増えたというよりは、そもそもあったものが顕在化したというべきでしょう。

何にもの尊い命が犠牲にならないとこうした対応が取られないのは本当に残念ですが、ようやくこれらの事件について専任で動くチームができたわけです。

埼玉県でも、埼玉県警によれば、ストーカーやドメスティックバイオレンスをめぐる2013年中の埼玉県内の相談・認知件数は過去最多を記録(付きまといや待ち伏せ、無言電話などのストーカー行為で1132件の相談を受理、近親者による暴力や脅迫などのDVでは4450件を認知)し、埼玉県警でも初動対応を強化するなどしているとしています。

埼玉県警の発表によれば、

認知したストーカーのうち、事件として立件したケースは73件
71件で加害者を逮捕

事件化された案件のうちストーカー規制法違反が21件
住居侵入の15件
脅迫の11件
銃刀法違反の7件
暴行・傷害の6件

相談者1132人のうち約9割は女性で、加害者側は、元交際相手が637人で過半数

人口10万人当たりのドメスティックバイオレンス(DV)とストーカーの認知件数がともに2013年全国トップで、DVは統計を取り始めた2011年から3年連続1位という不名誉な記録を持つ宮城県(人口10万人当たりでDV被害約90件、ストーカー41件)でも、2015年度からストーカーや虐待などの被害相談に迅速に対応するため、宮城県警「県民安全対策課」を新設しました。

宮城県警の対策チーム「県民安全対策課」は前年新設した「ストーカー・DV総合対策室」を格上げし29人体制で発足、「リベンジポルノ被害防止法」を念頭に相談内容を一元的に管理し、宮城県内全24署から24時間体制で情報を吸い上げて適切な対応を助言するとしています。

宮城県警の発表によれば、

2013年の認知件数は
DV被害が2092件
ストーカーは951件

全国で見ると、時事通信の発表している統計によれば、
www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikendv

2014年に全国の警察が把握したストーカー被害は2万2823件で、前年より1734件(8.2%)増えて過去最多


ドメスティックバイオレンス(DV)も9539件(19.3%)増の5万9072件に上り、最多を更新


ストーカーの被害者は女性が89%を占め、20代36%、30代27%、40代18%、10代9%の順に多かった。加害者は、特定されていない人を除いた89%が男性。20~40代が65%に上ったが、60歳以上も1割近くいた。

となっています。

警察庁によれば、昨年2014年11月に成立した「リベンジポルノ被害防止法」施行後のおよそ1か月間で110件の相談があったとしており、相談を寄せた被害者と相手との関係では、「交際相手・元交際相手」が61.8%と最も多く、「ネットのみの関係」も12.7%となっているということです。

ここで見逃されてはならないのが加害者側が「交際相手・元交際相手」ではない、「ネットのみの関係」12.7%ですね。

先に触れた埼玉県警の発表でも、2013年中の埼玉県内の「ストーカーに関する相談者1132人のうち約9割は女性で、加害者側は、元交際相手が637人で過半数」とありましたが、それは約半数は「ネットのみの関係」とも推認されるわけです。

こうしたことも受けて、「リベンジポルノ被害防止法」の最後第六条では「被害の発生を未然に防止するための教育及び啓発」として、

国及び地方公共団体は、私事性的画像記録等が拡散した場合においてはその被害の回復を図ることが著しく困難となることに鑑み、学校をはじめ、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、

自己に係る私事性的画像記録等に係る姿態の撮影をさせないこと、
自ら記録した自己に係る私事性的画像記録等を他人に提供しないこと、
これらの撮影、提供等の要求をしないこと等

私事性的画像記録の提供等による被害の発生を未然に防止するために必要な事項に関する国民の十分な理解と関心を深めるために必要な教育活動及び啓発活動の充実を図るものとする。

と記されています。

全国の各県警が特別チームを編成して率先してこうした事案に取り組むとともに、こうした問題が起きないように「教育活動及び啓発活動の充実」を謳っているわけです。

注意してもらいたい点は法律においても「拡散した場合においてはその被害の回復を図ることが著しく困難となる」としている点ですね。

この課題は「忘れられる権利」の問題ともリンクするわけですが、ネット上に掲載されたものに対してさまざまな対策は存在するわけですが、「0」にする、なかったことにするのはなかなか難しいということです。

ここまで紹介してきた「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」いわゆる「リベンジポルノ被害防止法」では、附則があって「施行期日」以外に、この法律の施行後3年をめどとして、この法律の施行状況等を鑑み、検討が加えられることとともに、

附則

第二条(被害回復及び処罰の確保に資する国際協力の在り方等に関する検討)

政府は、インターネットを利用した私事性的画像記録の提供等に係る被害回復及び処罰の確保に資するため、この法律の施行後二年以内に、外国のサーバーを経由するなどした私事性的画像記録の提供に関する行為者の把握及び証拠の保全等を迅速に行うための国際協力の在り方について検討するとともに、関係事業者における通信履歴等の保存の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

とあって、これから2年をめどに、「外国のサーバーを経由するなどした私事性的画像記録の提供に関する行為者の把握及び証拠の保全等」に対する対策を行うとしています。

これらの問題に対して、国や地方自治体が主体となった対策がようやく緒に就きました。

なにゆえ、組織や企業にとってさほど関連のない「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」をここで詳しく取り上げたのか。

もうおわかりでしょうが、組織に属する者に対しての教育、啓発活動に資するためです。

学校等における体罰の問題も大きな話題となった後も、後を絶たずに指摘、摘発されているわけですが、以前体罰が止む方向にはまだなっていません。

国や地方自治体の認知、法律の施行、警察等の取り締まり、世論の方向性の一致があって、なお数十年かけてようやく体罰は稀有な事例になっていくことでしょう。

ストーカーやドメスティックバイオレンスも、法律が施行になっても、なかなか認知度は上がらず、相も変わらず事件が起こり、多くの方の尊い命を失ってはじめて減少傾向に進むのです。

人は愚かです。法律の施行では人の愚かな行為はなかなか止められない。尊い命を犠牲にして初めて学ぶのが人間です。

その愚かな私たちが1つ賢くなって、尊い命を犠牲にせずとも、この法律の意義を知り、私たちの周りの人を一人でも教育・啓発できるなら、ささやかでも人類に貢献したとは言えないでしょうか。

その行為が私たちの組織や企業の評判を守ることにもつながります。

法律が作られ、施行されるには意味があります。なかなか読みにくい官僚言葉ではありますが、こうした機会に一度お読みいただき、あなたの隣にいる方と話し合うならば、それが教育・啓発になる。

愚かからの第一歩。その第一歩を私たちがまずは踏み出そうではありませんか。

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