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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その56

プロ野球、4月16日のジャイアンツ対横浜戦で、巨人の悩める大砲・村田選手にようやく1発が出ました。

プロ13年目で最も遅い、開幕から17試合、65打席目でのアーチだったとか。

村田選手は今年、打撃不振のため2軍調整となり、オープン戦最終戦で1軍再昇格を果たし、シーズンに入ってからは先発出場をしていますが、打率は2割ちょいで低迷していて、この日の打順は8番でした。

興味深いのは、村田選手がようやく放った一発が原監督がインフルエンザで離脱中に出たというところです。

昨年、村田選手は夕刊紙に次のように答えていました。

「打順固定されれば…」 原采配の”被害者”巨人村田が苦悩吐露
www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/153443/1

・・・村田は4番が44試合、5番が35試合、6番が29試合、7番が20試合、8番も1試合あった。

――開幕は4番だったのに、一時は打順が8番にまで降格しました。昨年は9番もありましたが、今年ほど打順がコロコロ変わることはなかった。毎日打順が変わるやりにくさは感じましたか?

「そりゃ、4番と8番じゃ役割が全然違いますから。やりにくさはありました」

――ある程度は打順を固定してやらせてもらいたかったと。

「そうですね。せめてクリーンアップくらいは固定されれば、全体的にもっと落ち着いてできたかなとは思います」


――それも打順が固定されなかったことが原因だという声もあります。

「ボクもそう思います。でも、それは監督が決めることなんで……」

マスコミはこうした主砲の頻繁な打順変更を「非情の原采配」と書いているようですが、選手が相手チームではなく、監督の顔色を見ながら勝負をすると、どうしても最後の最後で負けてしまう可能性が高まると個人的には思います。

厳しさは当然ながら必要だけれど、上司の顔色をうかがいながらの打席では余計なことを選手に考えさせるようになるのではないか。

これは企業にもそのまま当てはまることだと思います。

コーポレート・レピュテーション その56

このコーナーではこれまで

ディアマイアー著『評判はマネジメントせよ』
オルソップ著『レピュテーションマネジメント』
ハニングトン著『コーポレート・レピュテーション』
畑中鐵丸法律事務所著『企業のネットトラブル対策バイブル』
櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』
を紹介してきました。

詳細はメルマガバックナンバーをご覧ください。
www.soluna.co.jp/melmaga/

多くの方がニュースでご覧になったと思いますが、ファストフード店などで働く人の賃金アップを求める世界的な取り組み「ファストフード世界同時アクション」に合わせ、東京・渋谷など24都道府県30都市でアルバイトの若者らが時給1500円の実現を訴えるアピール行動をしたそうです。

この「ファストフード世界同時アクション」とは、毎日新聞によれば、

ファストフード世界同時 賃上げ1500円アピール
毎日新聞 4月15日

米国のファストフード労働者らが2012年にストライキを実施したのがきっかけ。労組やNGOなどが支援し、最低賃金として15ドルを求めるキャンペーンになった。

14年に本格的に世界同時アクションを呼びかけ、36カ国96都市に広がった。

実行委によると、ファストフード店の時給は東京都心部でも950円から1000円前後で、フルタイムで働いても年収は200万円に満たない。

事務局の河添誠さんは「時給1500円はまともな暮らしのための世界的要求だ」と話している。【東海林智】

としています。

このアピール行動のすぐ後に、ファストフードの代表格、日本マクドナルドホールディングス(HD)は16日、未発表だった今期(12月期)の業績が上場後最大の380億円の最終赤字になると発表しました。

対策として、

・本社100人規模(全体の15%)の早期退職募集
・今年中に成長が見込めない131店舗を閉鎖
・4年間で2000店を改装、うち500店舗を年内実施
・幅広い選択肢から選べるセットメニュー制導入

などを実施するとか。

いつの時代でも飲食業界は激戦で、永続的に発展し続けるのが難しい業種です。

かつての王者が時を経て敗者に、また復活して・・・と永遠にこのサイクルをまわっていく。流行り廃りの激しい、実に厳しい業界といえます。

早速、SCOL編集長の中嶋よしふみさんは、

もしファストフード店の時給が1500円以上になればマックもロッテリアもモスもすべてのお店がつぶれる。

として「ファストフード世界同時アクション」に関する記事をあっぷされています。
 
マクドナルドの「時給1500円」で日本は滅ぶ。
シェアーズカフェ・オンライン 4月16日(木)
zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150416-00010000-scafe-bus_all

日本の現在の最低賃金は都道府県によって異なりますが、平均すると平成25年度が764円、平成26年度が780円となっています。

平成26年度地域別最低賃金改定状況 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

世界経済のネタ帳のデータによれば、

世界経済のネタ帳
日本の最低賃金を欧米諸国と比べてみる
ecodb.net/article/column/192.html

OECDの資料では、アメリカの2013年の最低賃金は7米ドル(約683円)とされ、カナダは10加ドル(約947円)、イギリスは6英ポンド(約916円)、フランスは9ユーロ(約1,167円)、オーストラリアは16豪ドル(約1,510円)となっている。

物価水準を考慮せずにみると、日本の最低賃金は2013年度において764円であるため、他の先進国より低いと言える。

と指摘し、最低賃金を国際比較する方法として、OECDは「フルタイム労働者の平均賃金に対する最低賃金の比率」と「購買力平価で換算した実質最低賃金」の2通りで比較すると、

日本の最低賃金は、平均賃金に対する比率で21位となり、先進国のなかで低い水準だ。一方で、実質最低賃金では11位となり、中程度に位置している。

としています。

賃金などの国際比較をするときは、このように単純に「最低賃金がいくら」という単価の比較だけでなく、その国における「フルタイム労働者の平均賃金に対する最低賃金の比率」や為替や物価なども考慮した「購買力平価」換算したりする比較をしないと実態とかけ離れて議論になってしまいがちです。

また、賃金は賃金だけで考えられるものではなく、賃金の上昇は雇用に影響を与えます。

日本の最低賃金、国際的には高い?低い?
THE PAGE 2013年12月2日(月)
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131202-00000002-wordleaf-bus_all

日本の賃金がこれほどまでに低いのは、賃金よりも雇用を優先してきたからです。

国税庁の調査によれば、2012年の給与所得者数は4556万人と、ここ10年で2%近く増加しました。

一方、給与総額は逆に7.2%減少しています。日本は20年間不況が続き経済は横ばいですから、給与の原資を増やすことができません。

雇用を維持するためには給料を下げるしかなく、結果としてどんどん賃金は下がっていきました。

同じ期間、欧州や米国のGDPは1.6倍に拡大していますから、日本の最低賃金が先進各国よりも遙かに低いのは致し方ないことなのかもしれません。

その代わり、日本の失業率は4.3%と、欧州の11%よりも低い水準に抑えられています(ただ日本の失業率の実態はこれよりもはるかに悪いという意見もあります)。

こうして賃金や雇用、経済状況や社会福祉制度の充実ぶりなど、さまざまな要因が絡まり合って現在の最低賃金は決まっているわけですね。

15年以上続いたデフレによって、モノの値段は一貫して下がり続けてきました。

ファストフードに代表されるお店はこれに応じてコストを極限にまで減らし、提供するモノの値段を下げ続けて競争してたわけです。

それが賃金上昇を抑え、店舗のオペレーションを最低人数にまで効率化させました。「すき家」はアルバイト店員の不足が原因で閉店しているともいわれています。

キャリコネニュース 2014年05月17日
すき家「3K発言」否定も冷たい反応 人材不足は「現代のストライキ」の声
blogos.com/article/86604/

日本経済新聞がまとめた「流通・外食企業の採用計画調査」によると、2015年春に外食分野が新卒社員の採用計画にあげている人数は2393人で、前年度比41.8%増と大幅なプラスを示している。

中でも、最も人数が多いのは「すき家」を運営するゼンショーグループだ。その数は約400人で、前年度比で28.6%増やす計画だ。

「人材不足は現代のストライキ」というのは、冒頭に紹介した「ファストフード世界同時アクション」のきっかけとなった

米国のファストフード労働者らが2012年にストライキを実施

とダブります。

こうした現象を私は日本国内におけるデフレの終焉による変化と考えています。

デフレの主要因の1つにグローバル化が挙げられます。

グルーバル化は一言でいえば「一物一価」のことで「ある時点における同一の財・サービスの価格は一つしか成立しえないという法則」です。

世界がグルーバル化することで、どの国でも同じモノ、サービスは同じ価格に収斂していく。

近畿大学の卒業式で、堀江貴文氏が卒業生に贈ったメッセージが話題になっていますが、ここで堀江氏が指摘しているのがまさにグルーバル化、「一物一価」のことでした。

「平成26年度近畿大学卒業式」 堀江貴文氏メッセージ

堀江氏はマッサージの料金についてタイと札幌で比較していましたが、その差は「今の時点で約2倍」であると言っていました。

これが何年か後にはもっと縮まっていくということです。

しばらく前にアマゾンによる無人飛行機による宅配サービス「Amazon Prime Air」の着陸シーンが話題になりましたよね。

Amazonの無人飛行機を使った配達サービス

これは未来に向けての実験的な試みの段階でしょうが、これらが実現すれば、宅配便や配達業者の仕事は激減することにつながります。

実際にすでにアマゾンの倉庫では機械化が進んでおり、自在に動くロボットが話題になりました。

amazonの倉庫内では、自在に動くロボットが活躍!
www.niocle.com/magazine/2014/12/05/amazon/

こうした進化がさらにより世界を「一物一価」に近づけていくことになります。

先進国の最低賃金が抑えられる一方で、発展途上国の賃金はぐんぐん上昇しています。

ベトナムの賃金上昇続く 今年は外資、地場大手とも10%超
www.sankeibiz.jp/macro/news/141022/mcb1410220500024-n1.htm

ベトナムの給与相場は、
www.yappango.com/faq/quick-vietnam-01.html

【ベトナム人の場合】
■工場勤務のワーカー:月給100USD?150USD(各地域によって最低賃金が定められています)

■大卒初任給:月給250USD? ※日本語堪能、英語堪能:月給300USD?

■中途採用:
日本語能力ビジネスレベルで社会人経験2年以上:月給500USD?

例1)総務・秘書:(日本語検定N1、日本留学経験、日系勤務5年、30歳) 月給800USD?
例2)生産管理マネージャー(英語ビジネス、日本語日常会話。ISO知識、経験7年、32歳) 月給1,500USD?

それでも、

日系企業の賃金、ベトナムは中国やタイのわずか2分の1
Record China 2月17日(火)
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150217-00000024-rcdc-cn&pos=3

日本貿易振興協会(JETRO)が発表したベトナムでの日系企業活動に関するレポートによると、14年、ベトナムの日系企業で働く一般労働者の年平均賃金は2989ドル(約35万円)。

エンジニアの平均賃金は一般労働者の約2倍だったが、どちらも製造業では中国、タイ、マレーシアの平均賃金の2分の1の水準だった。

まだこの水準です。

多くの企業が中国からベトナムへ拠点を移しているというニュースもお聞きになったことがあるでしょう。

賃金が上昇した地域からは企業が流出し、安い地域に移動する。賃金が安い地域の人気が高まれば、ベトナムなどのように賃金がどんどん上昇していくことになります。

それはすなわち「先進国の賃金下落(または維持)=発展途上国の賃金上昇」ということです。

みずほ総合研究所の2014年1月のアジア調査部主任研究員・酒向浩二氏のレポートでは、
www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as140127.pdf

◆近年、日本企業の進出・投資が増加しているASEANの中で、タイ、インドネシア、ベトナムの3カ国では、労働コストの上昇が日本企業の経営課題としての重みを増してきている

◆その背景には、選挙戦における低所得者票の取り込みや労働組合による政治的圧力の強まりなどの動きの中で、各国政府が最低賃金の大幅な引き上げに踏み切っていることがあると考えられる

◆日本企業は労働コスト上昇への対応策として、1、製造ラインの機械化、2、タイでは周辺国への展開、3、ベトナム・インドネシアでは地方への展開といった対策を講じていくと見込まれる

日本人が日本国内だけの事情だけで賃金をすでに決められない事態になっているということですよね。

加えて先進国では女性の社会進出がものすごい勢いで進んでいます。この女性にさらに加えて世界各国の労働者が参入してきているわけです。

ものすごい労働力の供給が世界に投入されれば、全体の賃金は需要と供給の関係からも下がっていき、「一物一価」に収斂していく流れはより加速されます。

もはや日本の労働者は、これまでの男性を主体する労働力が女性や世界各国の人々と同じ土俵で戦うことになる。

先に紹介した堀江貴文氏の大学卒業生へのメッセージで「あなたたちは取っても厳しい世界に今から行くことになる」の真の理由ですね。

アルバイトの若者らが時給1500円の実現を訴えるアピール行動の気持ちは十分よくわかりますが、その時給1500円は日本国内で豊かに暮らしていくために必要なものという観点だけでは企業は差し出してくれない時代です。

ベトナムの人たちがやっても日本人がやっても、同じ財やサービスなら同一価格の時代なのです。また賃金と雇用はすでに触れたように密接に関係しています。これに組織内の機械化、ロボット化が加われば、雇用は減るでしょう。雇用が減れば需給の関係から賃金は下がる。

あとは私達自身がどういう付加価値を組織に与えうるかにかかってくるのかもしれません。

最後にここまでの話と真逆になることを書いて締めたいと思います。

おそらくこの番組だったかと思うんですが、アフリカの地で「援助で自立はできない。必要なのは収入を得る糧だ」と、「アフリカ人の自立」のため、ビジネスを立ち上げて日本人を紹介した番組です。

ケニア・ナッツ・カンパニー創業者 佐藤芳之氏
www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20110519.html

この佐藤さんのアフリカの会社はナッツの生産販売の事業を行っているのですが、佐藤さんは、「多くの雇用を生むため」に機械かはあえてせずに、全部手作業でやっていると言われていました。

とにかくなんでも手作業なのです。人海戦術でこなしていく。

一見無駄なように見えるこの機械化をしない手作業、それによって生み出される多くの人の雇用、ここに佐藤さんの「援助で自立はできない。必要なのは収入を得る糧だ」の信念が見えたところでした。

こうしたやり方もあるのだなあと関心を引きました。

ただ世界はもうこうした非合理的ともいえるやり方を採用していません。そこがなんとも狂おしいところですが、私たちは自分たちでレールを作っているのではなく、市場という名の神の手のうちで踊っているだけですから。

しかし、その市場という名の神の手は私たち自身の欲望が作り出したものといえます。つまり自分が自分の踊らされているのでしょう。

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