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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その61

台風6号のあと、すぐに7号が接近中と思っていたんですが、天気予報を見たら「現在、台風は接近していません」との表示。

台風7号はどっかで温帯低気圧に変わっちゃんたんでしょうか?

世の中の情勢もそうですが、天気予報も追っていないと、すぐわからなくなる。

そうでないのは、自分たちの身に降りかかったときだけです。

でも、ちょっとだけまだ自分に降りかかっていないときに物事が考えられたら、良いアイデアも浮かぶんじゃないでしょうか。

考えるときに余裕と時間があるから。

しかし、余裕と時間がある時には、今降りかかっていることしか考えられない。

「できる人」というのは、そこらあたりが違うんじゃないか。そんなことを今日は考えています。

暑くなってきました。ビルの中でも熱中症は起こり得ます。お気をつけください。

コーポレート・レピュテーション その61

先日、ここでも取り上げたことがある大手エステチェーン「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する不二ビューティの創業者である高野友梨さんが社長職を退いたと発表されました。

巷間では、高野氏による「パワハラ」問題などで傷ついた企業イメージを一新するための引責辞任という見方も出ているようです。

高野氏の辞任をどういう見方をするかはともかく、現在、世間ではセクハラ、パワハラ、マタハラ…etc 無数のハラスメントが叫ばれるようになりました。

ハラスメントの種類は30種類ある!と紹介しているサイトもあるくらい・・・

全30種類の○○ハラスメント一覧
degitekunote.com/2015/01/26/harasumento/

ハラスメントとはいかなるものか?

大阪医科大学によるハラスメントの定義によれば、

大阪医科大学「ハラスメントの定義」
www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm

ハラスメント(Harassment)とはいろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を言います。

その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。

と指摘しています。

ハラスメントは、いわゆる「嫌がらせ、いじめ」なんですよね。その「いじめ」も「本人の意図には関係なく」というのが肝心なところと言えるでしょうか。

大阪医科大学「ハラスメントの定義」のサイトから代表的な2つを引用してみましょう。

大阪医科大学「ハラスメントの定義」
www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm

◆セクシュアル・ハラスメントとは

本人が意図する、しないにかかわらず、相手が不快に思い、相手が自身の尊厳を傷つけられたと感じるような性的発言・行動を指します。

◆パワー・ハラスメントとは

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

セクハラ、パワハラについて、十分把握していただきましたでしょうか?

ここでも加害者「本人の意図には関係なく」というポイントは押さえておいてください。

ここでも最近最高裁判決が出た「マタハラ」について、「いじめ」と「「本人の意図には関係なく」という観点から新聞報道を見ていきたいと思います。

マタハラ訴訟 妊娠降格「原則違法」 最高裁が初判断
毎日新聞 2014年10月24日
mainichi.jp/shimen/news/20141024ddm001040153000c.html

妊娠した女性が勤務先で受けた降格処分が、男女雇用機会均等法に違反するかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は23日、

「本人の承諾がないような降格は原則として均等法に違反する」との初判断を示した。

その上で女性側敗訴とした2審・広島高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻した。女性側が逆転勝訴する公算が大きい。

妊娠や出産を理由にした女性への差別は「マタニティーハラスメント」と呼ばれる。

均等法もこうした女性への不利益な扱いを禁じているが、具体的にどのような場合に違法となるかの判断枠組みを最高裁が示すのは初めてで、企業に問題解消への取り組みを促すことになりそうだ。裁判官5人全員一致の意見。


1、2審判決によると、病院に勤めていた理学療法士の女性は病院で約10年勤務、その後、勤務先のリハビリテーション科副主任となったが、4年後に第2子を妊娠したため、軽い業務への配置転換を希望。異動先で副主任の地位を外されたというものです。

これらの病院側の行為に対して、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、


妊娠中の軽い業務への転換を契機とする降格措置は、女性が自由意思に基づき承諾しているか、業務上の必要性など特段の事情がある場合以外は、原則として違法で無効

との初判断を示しました。

適法となるのは、毎日新聞によれば、
mainichi.jp/shimen/news/20141024ddm001040153000c.html

本人の自由な意思に基づいて承諾したと認められるか、降格させなければ適正配置の確保ができず業務上の支障が生じるような特段の事情がある場合に限られる

とおり、

今裁判においては

女性は管理職の地位と手当を喪失しており、降格を承諾したと認める理由はない

と判断し、降格の業務上の必要性を巡る審理が不十分として、2審の広島高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻したというのが裁判の流れです。

毎日新聞では、同日付の別の記事で、以下のような記事を掲載しています。

マタハラ訴訟:「次世代にバトン」 安定して働ける環境に
毎日新聞 2014年10月24日
mainichi.jp/shimen/news/20141024ddm041040118000c.html

・・・・「仕事と妊娠の両方を取るのは欲張り。君だけ特別扱いできない」。川崎市の小酒部さやかさん(37)は、中規模企業に勤めていた36歳の時に妊娠し、上司に勤務時間の短縮を要望した際に言われた言葉が忘れられない。

2度目の妊娠だった。1度目は仕事への責任感から会社に告げず、終電まで働いた。妊娠が分かった7週後に流産し、双子の命を失った。「子供を大事にしなかった天罰だった」。

後悔の念が頭にこびりつき、2度目は勇気を振り絞ったが、会社の返答は「ノー」。退職を勧められた。我慢して仕事を続け、再び流産。その後、会社を辞めた。

会社の対応が、男女雇用機会均等法に反することを後に知った。

「専業主婦をするのも、仕事を続けるのも自由のはず。価値観が多様化しているのに周りと違う生き方を排除する世の中はおかしい」。

今年7月、妊娠や育児と仕事を両立する女性の権利を守る「マタハラNet」を設立。同様の被害を受けた女性たちで集まり、苦しみをぶつけ合いつつ、法を学んでいる。

この日、小酒部さんは仲間と集まり、判決を拍手で歓迎した。「妊娠、出産で仕事を奪われる時代であってほしくない。(判決は次世代の女性に)より良いバトンを渡す大きな一歩になった」と喜んだ。【川名壮志、山本将克】

記事にある「会社の対応が、男女雇用機会均等法に反することを後に知った」は、厚生労働省のサイトが詳しい。

雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/

厚生労働省の啓発リーフレットには、
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000082584.pdf

◆1年契約で更新されてきたが、妊娠を伝えたところ、次の契約更新はしないと言われた。

◆妊娠を伝えたところ、遠隔地への異動を命じられた。

◆上司から、産休・育休は取れないと言われた。

などの具体的な相談を挙げ、妊娠・出産・産休・育休などを理由とする、解雇、不利益な異動、減給、降格などの不利益な取扱い(いわゆる「マタニティハラスメント」、「マタハラ」)を行うことは男女雇用機会均等法第9条第3項、育児・介護休業法第10条等で禁止されていると啓発したうえで、各都道府県労働局雇用均等室の相談窓口を掲載しています。

押さえておいてほしいポイントは、妊娠・出産、育児休業等の事由を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、例外に該当する場合を除き、原則として法違反になるということです。

例外に該当する場合とは・・・

厚生労働省によれば、「例外」に該当すると判断しうるケースを以下のように示しています。
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000082585.pdf

例外1(業務上の必要性が不利益取扱の影響を上回る特段の事情がある)

◆経営状況の悪化が理由である場合:不利益取扱いをしなければ業務運営に支障が生じる状況にあった上で、不利益取扱いを回避する合理的な努力がなされ、人員選定が妥当である等

◆本人の能力不足等が理由である場合:妊娠等の事由の発生前から能力不足等が問題とされており、不利益取扱いの内容・程度が能力不足等の状況と比較して妥当で、改善の機会を相当程度与えたが改善の見込みがない等

例外2(本人が同意し、一般的労働者が同意する合理的理由が客観的に存在)
契機となった事由や取扱いによる有利な影響(労働者の求めに応じて業務量が軽減されるなど)があって、それが不利な影響を上回り、不利益取扱いによる影響について事業主から適切な説明があり、労働者が十分理解した上で応じるかどうかを決められた等

つまり「経営悪化」や「本人の能力不足」の場合と「不利益取扱いによる影響について事業主から適切な説明があり、労働者が十分理解した上で応じるかどうかを決められた」場合は例外として認められるとしているわけです。

ただし、厚生労働省のリーフレットには最後に

実際にはより詳細な状況等を確認した上で違法性の判断を行います

とあり、状況によって判断は変わってくる場合もあることを示唆しています。

実際、今裁判で示された「例外に該当する」のは、

◆女性が自由な意思に基づいて承諾したと認められる場合
◆円滑な業務運営や人員の適正確保の面から支障が出るなど「特段の事情」がある場合

この2点に制限されるとして、毎日新聞では、

例外が認められるケースは少ないとみられる

と指摘しています。

また、厚生労働省は上記最高裁の判断を受け、2015年2月に「妊娠や出産」と「企業が解雇や降格などを行った時期」が近ければ原則マタハラに当たると判断し、新たな通達を出しました。

時期近ければ「マタハラ」 妊娠・出産と解雇・降格で厚労省
2015/2/17 日本経済新聞
www.nikkei.com/article/DGXLZO83281840X10C15A2CR8000/

新たな通達は「妊娠・出産などを契機として不利益取り扱いをした場合」を違法な事例として明確化。その上で、妊娠・出産と時間的に近接して解雇・降格などの不利益な取り扱いがあれば、「因果関係がある」として原則、違法とみなす。

今回の裁判では、裁判官5人が全員一致で「承諾なければ原則違法」という判断を下しており、これに加えて厚生労働省の新たな通達を見ると、事実上、妊娠・出産・産休・育休などを理由とする、解雇、不利益な異動、減給、降格などは認められないと考えておいて間違いないでしょう。

「経営悪化」や「本人の能力不足」「労働者の合意」があったとしても、

妊娠・出産・産休・育休などを理由とする、解雇、不利益な異動、減給、降格などは認められない

これが基本ラインにこれからなります。

組織においては、働く従業員に対する早急なルール作りや体制が求められるとともに、経営トップに対するマタハラに関する啓発も必要になってくるでしょう。

それは「自社の評判を守る」という業務の一環と考えなければなりませんし、多様な生き方が尊重されねばならない時代の流れとも言えます。

御社では「妊娠・出産・産休・育休」に関するルール作りと啓発はもう十分でしょうか?

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