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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その65

サッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会での日本代表「なでしこジャパン」は1次リーグを1位通過で、いよいよ日本時間24日にオランダとの決勝トーナメント1回戦。

決定力不足は男女とも共通の悩みですが、男子よりも「なでしこジャパン」は安定感があって、安心して見ていられるのは私だけ?

連覇はなかなか難しいのでしょうが、1次リーグ3戦で全メンバー起用するなど4年前と比べても戦力の底上げがある「なでしこジャパン」には頑張ってほしいですね。

コーポレート・レピュテーション その65

5月の終わりのこのメルマガで妊娠や出産を理由にした女性への差別は「マタニティーハラスメント」を取り上げました。

コーポレート・レピュテーション その61

コーポレート・レピュテーション その61

ここで、女性への不利益な扱いが男女雇用機会均等法に違反するかが争われた件について、最高裁判所が初めて判断を示した事例を取り挙げました。

覚えていらっしゃいますか?

少し復習すると、女性への不利益な扱い「マタハラ」の事例について、厚生労働省は、

◆1年契約で更新されてきたが、妊娠を伝えたところ、次の契約更新はしないと言われた。

◆妊娠を伝えたところ、遠隔地への異動を命じられた。

◆上司から、産休・育休は取れないと言われた。

などを具体的な事例として挙げていました。

これらは、原則として男女雇用機会均等法違反になるわけですが、ただし、女性への不利益な扱いについても例外はありますよと。

たとえば「経営悪化」や「本人の能力不足」「不利益取扱いによる影響について事業主から適切な説明があり、労働者が十分理解した上で応じるかどうかを決められた」場合などでは、例外として女性への不利益な扱いが認められると法律上はされてきたわけです。

しかし、2014年10月の最高裁の初めての判断では、「例外が認められるケース」は少ない、もしくはほとんどないということが示され、最高裁の裁定を受け、厚生労働省は2015年2月に

妊娠・出産などを契機として不利益取り扱いをした場合を違法な事例として明確化、妊娠・出産と時間的に近接して解雇・降格などの不利益な取り扱いがあれば、因果関係があるとして原則、違法とみなす。

という新たな通達を出した。

これはものすごく大きな判断で、すなわち

妊娠・出産・産休・育休などを理由とする、解雇、不利益な異動、減給、降格などは原則として認められない

となったわけです。

5月のメルマガでも、「これからはこれが基本ラインになる、だから、組織における働く従業員に対する早急なルール作りや体制が求められるとともに、経営トップに対するマタハラに関する啓発も必要になってくるでしょう」と書きました。

おそらくまだ働く従業員に対する早急なルール作りも体制作りも手つかずで、経営トップに対するマタハラに関する啓発もあまり行われていないのではないでしょうか。

しかし、早速と言ってはなんですが、最高裁の判断(2014年10月)と厚生労働省の新たな通達(2015年2月)に基づいて、新しい訴訟が起こされました。

日本航空:妊娠で休職命令…客室乗務員が無効訴え提訴
mainichi.jp/select/news/20150617k0000m040032000c.html

妊娠による地上職への勤務を認めず休職を命じたのは、男女雇用機会均等法などに違反するとして、日本航空の客室乗務員が16日、同社を相手取り、休職命令の無効と未払い賃金など338万円の支払いを求め東京地裁に提訴した。

女性は「妊娠による不利益な取り扱い。マタニティーハラスメントだ」と訴えている。

訴状などによると、同社は規定で客室乗務員が妊娠した場合、母体保護から乗務資格を停止している。そのため産前地上勤務制度を設けており、産前休暇まで地上勤務を選択できる。

希望者がこの制度を利用してきたが、2008年に「会社が認める場合」とただし書きが付き、利用に制限がついた。

女性は2014年8月に妊娠が分かり、会社に産前地上勤務を申請。しかし会社から「ポストがない」と拒否され、翌9月5日に休職を命じられた。休職中は無給となるため、アルバイトを許可するよう求めたがこれも認められなかった。

女性側は、妊娠・出産を理由にした不利益な取り扱いを禁じた男女雇用機会均等法などに違反すると主張している。

提訴後に記者会見した女性は「妊娠当時は世帯主として母を扶養しており、無給とされ生活に困窮した。後輩に安心して妊娠・出産してもらえる制度にしたい」と話した。

日本航空広報部は「訴状が届いていないのでコメントできない」と話している。【東海林智】

日本航空が今後どのような対応をしてくるのかは定かではありませんが、最高裁の判断と厚生労働省の新たな通達では、すでに書いたように

妊娠・出産などを契機として不利益取り扱いをした場合を違法な事例として明確化、妊娠・出産と時間的に近接して解雇・降格などの不利益な取り扱いがあれば、因果関係があるとして原則、違法とみなす。

としていますし、それを踏まえて私が基本ラインですよと提示した

妊娠・出産・産休・育休などを理由とする、解雇、不利益な異動、減給、降格などは原則として認められない

がこの訴訟に適用されるなら、日本航空はこの訴訟に負けるでしょう。

もちろん裁判所がこの案件を精査して新しい判断が示される可能性はありますが、

妊娠・出産と時間的に近接して解雇・降格などの不利益な取り扱いがあれば、因果関係があるとして原則、違法とみなす

という厚生労働省の新しい通達からいえば、日本航空の敗訴は確定的に思われます。

NHKではこの東京地方裁判所に裁判を起こしましたニュースを以下のように報じています。

JAL客室乗務員「マタハラ」で会社提訴
www3.nhk.or.jp/news/html/20150616/k10010116631000.html

・・・・日本航空の社内規定では客室乗務員が妊娠した場合でも会社が認めなければ地上勤務への変更はできないということです。

訴えでは、この社内規定そのものがいわゆる「マタハラ」に当たり、妊娠、出産による不利益な扱いを禁じた男女雇用機会均等法などに違反しているとして、休職扱いとなった間の給料と慰謝料合わせておよそ340万円の支払いを求めています。

女性はは休職中、ストレスから早産しそうになったということで、「妊娠して幸せなはずの時期にどうしてこんなに不安を抱えなければならないのかと思いました。妊娠した多くの同僚が休職せざるをえない姿を見て、誰かが変えなければと思い提訴を決心した」と話していました。

日本航空は「訴状を見ていないので内容についてはコメントできない」としたうえで「客室乗務員として採用しているので妊娠した場合は休職するのが原則だと考えているが、地上勤務を希望する全員の希望がかなえられていないのは事実で、できるだけ多く就労機会を設けるよう努力していきたい」としています。

毎日新聞が報じているように、日本航空の規定では、客室乗務員が妊娠した場合、母体保護から乗務資格を停止、そのため産前地上勤務制度を設けており、産前休暇まで地上勤務を選択でき、希望者はこの制度を利用してきた。

実際、2007年度までは希望者全員が地上勤務に就くことができたが、業績悪化により、2008年度から「会社が認めた場合」という条件が加わり、利用に制限がついた。

女性側は、この社内規定そのものがいわゆる「マタハラ」で、妊娠・出産を理由にした不利益な取り扱いを禁じた男女雇用機会均等法などに違反すると主張しています。

やっぱりどう考えても、日本航空の敗訴は確定的に思われます。

日本航空がダメだとか悪いと言いたいわけではありません。

日本航空は日本航空のルールや規定で、男女雇用機会均等法を遵守して運用してきたはずです。きっとそうでしょう。

ご存じのように日本航空は、2010年業績悪化により会社更生法の適用を申請、倒産しています。その負債総額は2兆3200億円超に上り、戦後4番目の大型経営破綻でした。

その後、日本航空は、「経営の神様」稲盛和夫氏を迎え、不採算路線からの撤退(国内外45路線)、社員のリストラは2012年度までの3年間でグループ人員の約3割にあたる15,600人とも言われました。

産前地上勤務制度が2008年度から「会社が認めた場合」となったのは業績に悪化が主な理由でしょう。

男女雇用機会均等法では、すでに触れたように、「女性への不利益な扱い」について例外があり、その1つに「経営悪化」もきちんと想定されています。

業績悪化、経営悪化によって、日本航空では社内規定を変更した。ごく自然な流れと言ってもいいでしょう。

しかし、なのです。

今回もうこれで3回目になりますが、再び繰り返します。

最高裁の判断(2014年10月)と厚生労働省の新たな通達(2015年2月)では、

妊娠・出産などを契機として不利益取り扱いをした場合を違法な事例として明確化、妊娠・出産と時間的に近接して解雇・降格などの不利益な取り扱いがあれば、因果関係があるとして原則、違法とみなす。

これがもう基本ラインに、今年になってからの新ルールになったのです。

だから、裁判で争っても日本航空は敗訴する。

最高裁まで闘っても、さまざまな議論がなされ、意見も出るでしょうが、やっぱり日本航空は負けるでしょう。

日本航空が悪いとは言えない。時代です。そういう時代になったとしか言いようがない。

時代の流れには逆らえない。ゆえに働く従業員に対する早急なルール作りや体制作り、経営トップに対するマタハラに関する啓発もすぐに行ってください。

これからこの種の裁判はおそらく頻発するでしょう。

あるときは、「経営悪化」しようが「業績が悪化」しようが、違法だという判断に異論が出ることもたぶんあるでしょう。裁判所によっては、そういう判断を下す場合も出てくるかもしれない。

でも、もう時代の針は巻き戻せない。

企業はそうした時代の流れの対抗措置として、客室乗務員は社員とせずに全員「派遣社員」としての雇用なんてこともあるかもしれません。

時代の針が進む中で、勝訴したり、敗訴したりする判例を積み重ねて、市場もしくは需要と供給という「神の手」によって、程よい判断が下されるようになるまで、少しだけ時間がかるだけです。

「マタハラ」にどう対処するかという話ではないんです。

自分たちの組織が、働く従業員をどう遇することがモチベーションを高めて働くことになるのかを考えるということなのです。

特に女性の従業員が数多く占める企業や組織では、今考えないでいつ考えるの?ということになるでしょう。

企業にとっても、従業員にとっても、良い方策はないか。ウィンウィンの関係で共に繁栄する方法はないかを考えることが貴社の評判を高め、維持していくことになるでしょう。

正解も答えもありません。今よりより良くなること。お互いが良くなっていくためにどうしたらいいのかを考えること。

その転機がやってきたと捉えることがこの一連の「マタハラ訴訟」の意味ではないのか。そんなふうに考えています。

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