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お知らせ

コーポレート・レピュテーション その67

記者会見から「どすこい市議」などと命名された地方議員については、もう皆さんニュースなどでご存知でしょう。

「どすこい市議」と愛人の「痴話相撲」
www.j-cast.com/2015/06/17238019.html

こうした全国の地方議員の不祥事から、地方議員の質の低下が最近よく話題になります。

しかし、最近になって急に地方議員の質が低下したとうことではないですよね。

市民公認の愛人がいる議員のことも、政務調査費をごまかすなんてことも、視察と銘打って豪華な海外旅行に税金で行って小学生並みの視察レポートを出すなんていうのも、何十年も前から言われていることです。

つまり、最近になって地方議員の質が低下したわけではなく、最近ではそれが地元で噂になるだけでなく、全国ニュースで報道されるようになったということですね。

○○町では公然の秘密で「しようがない人ねえ」なんて言われて済んでいた事例が全国ニュースになって多くの人の目に触れるようになると、「なにやっているんだ」という声は当然地元だけの話よりも多く上がり、記者会見をしなければならなくなったり、結果として非難をされることになる。

地方議員の記者会見を見たら、よくわかると思いますが、多くの地方議員は不祥事の記者会見において、たいてい「なにか問題でも?」という雰囲気を身にまとって登場してきます。

記者会見においても「説明をしてほしいならするけれども、それがなにか?」みたいな感じで話し出すから、糾弾しようとするものからすると、とてもニュースにしやすくなる。

逆の面から、今風の言い方を使うと「地方議員はキャラが立っている」ともいえるでしょう。そして、つつけばつつくほど、おもしろい材料が出てくる。

地方議員に今や小さな町での不祥事も全国規模で報道されるんだという認識が行き渡るのに20年くらいはかかると思いますので、それまではこうした事例は出続けるでしょう。

これは企業にもそのまま当てはまることで、セクハラや労働基準法違反は大きく報道されて、それは業績にも採用にも影響を及ぼすんだという認識が全国津々浦々まで届くには、まだ20年はかかるのではないでしょうか。

地方議員でも企業でも、こうした不祥事の報道で同種のものがいくつも出た後で遅れて出ると、「またか」「いいかげんに学習しろ」というように、どんどんイメージが悪くなってゆきます。

最初は「しようがないなあ」だったものがすぐに「なにやっているんだ」となっていく。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。自分以外で起こった事例を他山の石にできるかどうか。そこが勝負ではないでしょうか。

コーポレート・レピュテーション その67

先週の各種ニュース番組では何度も何度も繰り返し流されたニュースはなんだったでしょうか?

そう、全国に展開する靴の販売店ABCマートの労働基準法違反のニュースですね。

このABCマートの労基法違反は別に意味でも取り上げられました。

というのも、今年4月1日に厚生労働省は、いわゆるブラック企業対策のため、「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)を東京、大阪の労働局に専従で設置。

「かとく」設置に際しては、塩崎恭久厚生労働大臣が東京で開かれた「過重労働撲滅特別対策班」発足式でコメントを発表した様子を見た方も多いでしょう。

「過重労働による健康障害の防止と長時間労働対策は喫緊の課題」と政府として「ブラック企業」対策に取り組む姿勢を見せていた。

この専従「かとく」による初めての送検が今回のABCマートでした。いわば「かとく」による「初摘発」も加わって、実に大きな報道につながったわけですね。

ここではすでに、厚生労働省が5月、労働環境が劣悪な「ブラック企業」のうち、違法残業が複数の事業所で行われている大企業について、書類送検される前でも企業名を公表するとした話を取り上げました。

2015年5月19日 コーポレート・レピュテーション その60

コーポレート・レピュテーション その60

厚生労働省は、違法に月100時間を超える残業が行われるなどして複数の支店や営業所が是正勧告を受け、その回数が一定以上に達した大企業について企業名を公表する方針

で、公表対象は、1年程度の間に3カ所以上の支店や営業所で労働時間や割増賃金に関する労働基準法違反があり、時間外労働が月100時間超となる労働者が多数に上るといった悪質な企業となっていました。

ABCマートは国内に807店舗、韓国、台湾、米国に計193店舗を展開。2015年2月期の連結売上高は約2135億円で、従業員7,566人(うちアルバイト4,235人)。

毎日新聞の報道を見てみましょう。

<ABCマート>労基法違反容疑で法人と店長ら書類送検
毎日新聞 7月2日(木)
mainichi.jp/select/news/20150703k0000m040074000c.html

東京労働局は2日、靴販売大手「ABCマート」の東京都内の2店舗で従業員に違法な長時間労働をさせたとして、運営会社のエービーシー・マート(本社・東京都渋谷区、野口実社長)と、人事総務担当役員、店長2人の計3人を労働基準法違反容疑で書類送検した。

同社の長時間労働を巡って労働局は、2013年に本社に3回、11~13年に16店舗に改善を指導したが、本社と14店舗は改善しておらず、悪質と判断した。

送検容疑は、「Grand Stage池袋店」は残業に関して会社と労働組合、または従業員代表とが結ぶ協定書を労働基準監督署に出さず、昨年4月13日~5月10日、従業員2人にそれぞれ97時間、112時間の残業をさせたとしている。

また「原宿店」は、協定で定めた残業限度時間(月79時間)を超えて2人に98時間、109時間の残業をさせたとしている。

労基法は違法な長時間労働について6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金と定めている。・・・・・【東海林智】

別の報道では、ABCマートでは、就業規則に定められた社員の「シフト制」が、形骸化していたと報じられています。

そう聞いて、耳が痛い担当者の方もいらっしゃるかもしれません。

フジテレビ系(FNN) 7月3日(金)

関係者によると、エービーシー・マートの就業規則では、社員が早番と遅番のシフト制で勤務することが盛り込まれていたが、実際には、複数の店舗で、2014年夏ごろまで、社員の多くが朝から夜まで働いていたことが新たにわかった。

就業規則で定められたシフト制が形骸化していた実態が明らかになった形で、書類送検を受けて、エービーシー・マートは、「コンプライアンス順守について、万全を期すべく、全力で取り組んで参ります」とコメントしている。

今回のABCマートに関する労基法違反のニュースを見て、「大変だなあ」と思われた方もいらっしゃると思います。

すでに紹介した2つの記事について、もう少し細部、日付の部分を見てみますと、毎日新聞では

2013年に本社に3回、11~13年に16店舗に改善を指導したが、本社と14店舗は改善しておらず、悪質と判断

フジテレビ系(FNN)では、

実際には、複数の店舗で、2014年夏ごろまで、社員の多くが朝から夜まで働いていたことが新たにわかった。

とあります。

そう、しばらく前の問題だったわけですね。

ABCマートでは、2015年7月2日、代表取締役社長の野口実氏の名前で、以下のようなコメントを発表しています。

本日の報道について
www.abc-mart.co.jp/ir/pdf/houdou150702.pdf

当社及び当社人事担当役員1名及び従業員2名は、本日付で、平成26年4月から5月にかけて、当社2店舗において、労働基準法の定める上限を超える長時間残業の事実があったとして、東京労働局から、東京地方検察庁に書類送検されました。

このような事態に至ったことにつきましては、当社として誠に遺憾であり、お客様や株主をはじめとする関係者の皆様に多大なご心配をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げます。

当社は、平成26年8月に上記被疑事実について東京労働局からご指導を頂いた直後から、当社内において外部専門家である弁護士の協力も得て、上記原因の調査を行い、早急に残業時間の削減及び抜本的対策の構築に取り組みました。

その結果、既に労使協定の上限を超える長時間残業を解消させ、また、再発防止のための労務管理システム構築を含めた万全の措置を講じており、当社全店舗でこのような問題が生じない体制を確立しております。

一部報道において、現状も改善されていないとも受け止められかねない表現がございますが、上記のとおり、東京労働局のご指導の下、万全の措置を講じてきており、平成26年8月以降は、長時間残業の問題は解消されております。

当社においては、今回の事態を重く受け止め、お客様や株主の皆様をはじめとする関係者のご信頼ご期待に沿うよう、今後ともコンプライアンス遵守について万全を期すべく全力で取り組んで参るとともに、より一層業務に邁進していく所存です。

ABCマートによれば、

平成26年8月以降は、長時間残業の問題は解消されております

と発表しています。

しかし、先週、ABCマートによる労基法違反の送検は延々と流され続けたわけです。

それは、今年4月に発足したばかりの「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)の初手柄でもあったのでしょうし、政府として「ブラック企業対策」にしっかり取り組んでいるというアピールもあったでしょう。

ただし、ABCマートによれば、昨年2014年8月以降は「長時間残業の問題は解消」されていると。それはあまり報道されないんですよね。

私が見た限りでは、ABCマートのコメントはたいてい「今後ともコンプライアンス遵守について万全を期すべく全力で取り組んで参る」でしたから。

ABCマートに労基法の問題はあった。指摘された。そして改善された。だが、大々的に報道された。長時間労働が解消されたことは報じられない。

この意味をよく考えていただきたいですね。

ABCマートにとっては大きな痛手でしょう。今回の報道が売上高へ影響を与えるかもしれませんし、社員やアルバイトの採用に悪影響を与える可能性もある。

ABCマートの長時間労働が解消されてから、もう1年ほど経つわけですが、そうとは知らずにABCマートのサイトの「人材育成戦略」をあなたが見たとしたら、どうでしょうか。

ABCマート 人材育成戦略
www.abc-mart.co.jp/ir/tsuyomi.html#BlockD

現場の重視
お客様との対面販売経験、現場での実践を重ねる事が人材育成の基本ですが、ABCマートでは日常の接客活動や店舗運営を通じて気付きや学びを促す環境を作り、社員の能動的な取り組みを重視しています。現場での経験を活かすことでビジネスへの意識や感性を高め、高度な情報システムも有効に活かす事ができます。

強力な販売力
販売の現場にしかない雰囲気や熱意、目に見えないパワーやチャレンジ精神がABCマートの現場力の源です。目標に向かって前進する姿勢、真面目で明るく元気にというのが全従業員の共通の価値観であり、こうしたDNAを継承した豊富な人材が、業界No.1の強い販売力を支えています。

強いリーダーシップとチームワーク
各店舗では意欲ある店長が先頭に立って店舗運営に取り組み、きめ細かく社員を指導して人材開発に努めています。こうしたリーダーシップがABCマートの出店加速を支える人材育成の基盤であり、また強いリーダーのもとで強化されたチームワークが利益率アップに不可欠な要素となっています。

いいことばかり書いてあるけれど、実態と違うのでは?なんて思ってしまうかもしれません。

しかし、繰り返しますが、ABCマートの長時間労働が解消されていたことは誰も言ってくれない。
そして「あそこはブラックだぞ!」なんて言葉だけが独り歩きし始める。

ここを私たちは考える意味があるのではないでしょうか。

自分たちは改善したとしても、時代の流れや政府の政策などによって、体のいい生贄とされることだってあるわけです。

こうなってしまっては時間はかかりますが、ABCマートの長時間労働が真に解消されたならば、ABCマートの今後のあらたな成長が期待できるのではないでしょうか。

企業も人も間違うこともありますし、間違ったら直す。
そのうえで、現在の状態も大いにアピールしていかなくてはなりません。評判を守ってゆくのは、他でもない自分達なのですから・・・。

私立探偵フィリップ・マーロウの言葉、「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」がふと頭をよぎります。

組織は「改善しただけでは生きていけない。実直なだけでは生きていく資格がない」なんていかがでしょうか。

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