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お知らせ

イメージはマネジメントできない/コーポレート・レピュテーション その38

カネボウが美白化粧品などのブランドをリニューアルすると発表したそうです。

カネボウについてはこのメルマガでも何度か取り上げました。

TBS系(JNN) 11月26日

肌がまだらに白くなる白斑被害が問題になったカネボウ化粧品は、来年3月に美白化粧品を含むブランドをリニューアルすると発表しました。

カネボウが来年3月にリニューアルするのは、美白化粧品などの「フレッシェル」というブランドで、肌がまだらに白くなる原因とみられる物質=「ロドデノール」を含まないため、問題が発覚した後も販売が続いていました。

カネボウの白斑被害については現在も、およそ1万人に症状が残っていて、厚生労働省などによる原因の究明が続いています。

カネボウは今回のリニューアルについて、4月に導入した安全基準に沿って商品試験を行ったため「安全性に問題はない」と説明していますが、「被害者への対応を優先すべき」との指摘も上がっています。

難しい問題ですよね。

「被害者への対応を優先すべき」ではあるが、対応するためには資金も必要で、組織としても生き残っていかなければならない。

被害にあわれた方にとってはなんとも歯がゆいニュースだと思いますが、組織としても「被害者への対応」だけしているわけにもいかないということでしょう。

2014.11.10 カネボウ化粧品
白斑様症状を発症された方の状況に関するデータを更新しました。(10月31日時点)
www.kanebo-cosmetics.jp/information/correspondence/index.html#symptom_data

白斑様症状確認数および回復、和解状況(10月31日時点)

白斑様症状を確認した方 19,370人
完治(※)・ほぼ回復された方 9,243人
和解合意された方 7,522人

※ 医師の診断・あるいはご本人の申告に基づく

定期的にデータを公開するなど被害者には真摯に対応しようとしているのはよくわかります。
ただ評判という視点からは、しばらく厳しい状況が続きそうです。

Wikipediaの「カネボウ」の項では、冒頭から「カネボウ株式会社(旧東京綿商社、旧鐘淵紡績、旧鐘紡)は、かつて存在した日本の企業。2004年以降の会社再建に伴い、事業譲渡などが行われ・・・」と悲しい記述から始まる。

コマ切れにされたカネボウ株式会社から化粧品部門が分離・独立し、株式会社カネボウ化粧品が設立されたのが2004年。
旧カネボウ本体より「カネボウ」の商標権が譲渡され、花王株式会社の100%完全子会社に移行したのが2006年。

そして2013年にロドデノールを用いた美白化粧品群が、使用者に深刻な白斑症状を引き起こすことが発覚、大規模自主回収という事態になりました。

「安全性に問題はない」とされ、肌がまだらに白くなる原因とみられる物質は含まれていない美白化粧品で勝負をかけるカネボウ化粧品。

評判の回復には歩み出したばかりですが、今回の美白化粧品が「カネボウ化粧品=深刻な白斑症状」を払しょくすることになるのか。

この事例を他人事と思わずに自分のこととして考えられるか、ですね。

コーポレート・レピュテーション その38

櫻井通晴著『レピュテーション・マネジメント内部統制・管理会計・監査による評判管理』を紹介しています。

今回は第4章「レピュテーション・マネジメントによる企業価値の増大」から。

著者の櫻井氏は言います。

評判を個々人の立場からではなく、企業の立場からとらえたものが、著者がいうコーポレート・レピュテーションである。

ステークホルダーを構成する個人は認知によって企業に対するイメージを抱いたりロコミで企業の評判を聞いたりするが、企業はそれによってレピュテーション資産(reputation assts)を蓄積していく。

図表4-2をご参照ください。

図4-2

個人企業

認知 → イメージ → コーポレート・レピュテーション


・体験
・疑似体験


|評判の蓄積

レピュテーション資産

ステークホルダーとしての個人は、体験や疑似体験(口コミ、メディアなど)を通じて事象を認知し、イメージを形成する。

認知された事象がイメージとして個々人の人の心に蓄積される。蓄積されたイメージが口コミとして多くの人々に伝えられることもあれば、認知された内容がメディアを通じて人々に伝達されることもある。

ただ、会社はイメージをマネジメントすることはできない。メディアを通じて、人為的に企業の好感のもてるイメージを伝達することで企業の評価を高めることはできる。

企業からみると、それらがレピュテーション資産として蓄積されていく。

レピュテーション資産は、期間の経過につれて、図表4-1のようにブランドとして蓄積されていく。

図4-1

認知 ⇒ イメージ ⇒ レピュテーション ⇒ 企業ブランド

コーポレート・レピュテーションの長期にわたる蓄積がブランド資産を形成する。

コーポレート・レピュテーションを短期間に高めるのは比較的容易である。このことは、経営者が管理会計や内部統制などでコーポレート・レピュテーションをマネジメントすることが比較的容易であることを意味する。

以上から、本書では管理会計の立場からコーポレート・レピュテーションのマネジメントを考察対象としているのである。

この「認知」から「イメージ」、「レピュテーション」そして「企業ブランド」へと至る櫻井氏の考察の応じて今週のテーマでは事例を考えていきましょう。

★ 今週のテーマ 「イメージはマネジメントできない」

ステークホルダーとしての個人は、体験や疑似体験(口コミ、メディアなど)を通じて事象を認知し、イメージを形成、認知された事象がイメージとして個々人の人の心に蓄積される。

蓄積されたイメージが口コミやメディアを通じて多くの人々に伝えられ、人為的に企業の好感のもてるイメージを伝達することで企業の評価を高めることはできる。

それらがレピュテーション資産として蓄積され企業ブランドとなる。

ただし、会社は「イメージをマネジメントすることはできない」と櫻井氏は主張していました。

少し前のニュースですが、大人の3人に1人、子供も5人に1人が肥満とされる米国では、その元凶の1つに挙げられる炭酸飲料に風当たりが強くなっており、

2025年までに飲料によるカロリー摂取を20%減

コカ・コーラ、ペプシコ、ドクターペッパー・スナップル・グループという米飲料メーカー大手3社と業界団体が、2025年までに糖分を含む清涼飲料水からのカロリー摂取を20%減らすという自主目標を発表した。

コーラを始めとする炭酸飲料が主なターゲットとなる。国連総会の時期に合わせてクリントン財団がニューヨークで開く年次会議で明らかにした。

というのがありました。

コーラは肥満の元凶なのか? 米国の炭酸飲料業界は”自主規制”へ
細田孝宏 2014年9月30日
business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140926/271738/?rt=nocnt

具体的には、小さな容量の飲料を増やす、低カロリーやカロリーオフの商品群を拡大する、消費者を啓蒙する、といった方策を取ることになる。

小売店では、レジ前やエンドと呼ばれる、陳列スペースの目立つ場所には低カロリーやカロリーオフの飲料を並べるようにしたり、クーポンなどでこうした商品を販促したりして、消費者を誘導するという。

売り場の「一等地」から主力の炭酸飲料を立ち退かせるという決断まで下したことに、会議を主催したビル・クリントン元大統領も拍手を送っている。

こうした動きは、肥満の原因と「イメージ」される清涼飲料水を製造する飲料メーカーが世の中の批判に対して対応を余儀なくされたものといえるでしょう。

訴訟国家のアメリカでは当たり前の考え方なのかもしれませんが、私たち日本人にはあまりなじみがない考え方ですよね。

だってデブが自分で甘い清涼飲料水を飲み過ぎただけなのですから。

同じように肥満の原因としてアメリカではよく訴訟を起こされるマクドナルド社。

かつてハンバーガーの食べ過ぎが原因で肥満や高血圧、糖尿病になったとしてマクドナルド社が訴えられたことがありました。

なんでも原告は13歳で体重が126キロに達した少年や子供たちの親などだそうで、マクドナルドで週に数回、ハンバーガーを食べ続けた結果、健康被害を受けたとして集団訴訟を起こした。

最終的にはニューヨークの米連邦地裁が「食べ過ぎた本人の責任に過ぎない」として原告の損害賠償請求を棄却しましたが。

マックのせいで肥満 All About(オールアバウト)
allabout.co.jp/gm/gc/300571/

清涼飲料水もマクドナルドも「本人の責任に過ぎない」と日本人の多くは思うわけですが、メーカ―が対応を迫られてきているのも時代なのかもしれません。

先の飲料メーカーは「もう私共の製品は売りません」とは決して言わず、

・小さな容量の飲料を増やす
・低カロリーやカロリーオフの商品群を拡大する
・消費者を啓蒙する
・レジ前やエンドと呼ばれる、陳列スペースの目立つ場所には低カロリーやカロリーオフの飲料を並べるようにする
・売り場の「一等地」から主力の炭酸飲料を立ち退かせる

などいかにもなにかやっているというポーズをとることに必死なように見えます。

しかし、櫻井氏の「認知された事象がイメージとして個々人の人の心に蓄積される」という観点から言えば、生き残っていくためにはそうせざるを得ないということなのかもしれませんね。

現在、アメリカを中心に相次ぐ死傷事故と大規模なリコールを引き起こしているタカタの欠陥エアバッグ問題が騒がれていますが、以下の記事によれば、自動車業界で頻繁に起こっている大量リコールには3つの原因があると言います。

トヨタの相次ぐ大量リコールは「悪」なのか
山田 雄大 東洋経済編集局記者
toyokeizai.net/articles/-/35160

なぜ大量リコールが続くのか。多くの自動車関係者は3つの理由を挙げる。

1つは、自動車の電子化が進みソフトウエア開発が複雑化したことで、不具合自体が増えているという見方。プリウスのリコールは、まさにこれに当る。

2つ目として、部品の共通化が進んだことで1つの不具合が多くの車種に影響するため、リコールとなった場合の規模が拡大する、という解説も多い。

もう1つ、2004年の三菱自動車のリコール隠しや2010年のトヨタの品質問題などを教訓に、日本メーカーが従来ならリコールをしなかった問題でもリコールで対処するようになったことで件数が増加している、という側面もある。

最後の3つ目の過去の事件を教訓に「日本メーカーが従来ならリコールをしなかった問題でもリコールで対処するようになったこと」でリコールの件数が増加しているというのは、まさに飲料メーカーの対処と同じ種類のものと言えないでしょうか。

「私たちに責任はない」という気持ちはあるにせよ、のちに大きな問題となるくらいなら、早め早めに対処しておこうということでしょう。

以下のような記事の問題では当事者である企業自身が気づかないうちに大きなイメージダウンをしている事例です。

有名企業の広告料、違法サイトに流入 警察庁、対策強化
八木拓郎 2014年7月5日
www.asahi.com/articles/ASG754STQG75UTIL00K.html?ref=nmail

ポルノ画像や規制薬物の取引情報を載せたインターネットの違法サイトに有名企業の広告費が流れ込んでいる。そんな構図が警察庁の調べでわかった。

有名企業から広告配信を請け負った会社が、配信先サイトの内容を十分に把握していないためだ。年数億円の広告収入を得た違法サイトもあり、警察庁は資金流入を断つ取り組みを始めた。

男女の裸を写した無修整のポルノ画像の下に出てくるのは、証券会社と航空会社の広告だ。

サイトを見るたびに現れる広告は変わるが、半数は日用品大手や大手共済といった国内の有名企業や団体のものだ。

警察庁によると、こうした企業・団体は広告会社、配信会社を通じて広告を載せている。広告料は定額制のほか、アクセス数やPR商品の販売実績に対応する場合もある。

広告掲載サイトは企業が決めるのが原則だが、配信会社が数百のサイトを一つにまとめたパッケージ型の契約も多い。

配信会社の大半は、サイト管理者と配信契約を結ぶときにサイトの内容を審査している。

だが、契約後、配信会社や広告主が気づかないうちに、ポルノ画像や禁制品の取引情報を載せ、違法サイトに内容を一変させる管理者が後を絶たない。一定のアクセス数が見込め、相応する広告料収入が得られるからだという。

こうした無知な企業が自分たちのお金を使って知らないうちにイメージダウンを自らやっているのは論外ですが、いつ御社がその餌食になるかわからない。

とにかく問題が実際に起きて教訓を得た場合は当然としても、アンテナを張って世間の動向や消費者の意見には常に耳を傾けておかなければなりません。

飲料メーカーの施策を

・小さな容量の飲料を増やす
・低カロリーやカロリーオフの商品群を拡大する
・消費者を啓蒙する
・レジ前やエンドと呼ばれる、陳列スペースの目立つ場所には低カロリーやカロリーオフの飲料を並べるようにする
・売り場の「一等地」から主力の炭酸飲料を立ち退かせる

私たちは決して他人事として扱ってはならないということです。

早め早めの対処ということではこういう事例もありました。

病院見舞い 生花持ち込み禁止が波紋
日本農業新聞 9月26日(金)
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140926-00010002-agrinews-soci

感染症の予防などを理由に、見舞い用の生花持ち込みを禁じる病院が各地で相次ぎ、感染症対策を踏まえた花の需要回復が求められていることが、日本花き卸売市場協会のアンケートで分かった。

院内で店を開いていた生花店が撤退を余儀なくされたケースもある。花には人の心を癒やす効果もあるといわれているだけに、事態を重く見た花き卸側は、生花店での実態把握や改善策の検討を始めた。

病院への生花持ち込みに関するアンケートは、全国の124市場を対象に今春実施した。これまでに札幌や東京、阪神、九州などの中核的な市場を含む25市場の仲卸や小売店から558件の回答があった。

「病院に生花の持ち込みを拒否された。もしくは購入者からそのような話を聞いたことがあるか」との質問に対しては、回答の6割に上る343件が「ある」と回答。

「病院内で花店の経営ができなくなった話を聞いたことがある」との答えは108件に上った。

花の持ち込みについては地域性も見られた。病院名が確認できるだけでも九州では98病院のうち74病院は持ち込みが可能。一方、関西は112病院のうち、4割に当たる47病院が生花の持ち込みや院内での販売を禁じていた。

そうした動きに対し、課題解決の取り組みを先導する大阪鶴見花き地方卸売市場の花き卸・なにわ花いちばの大西進社長は「地域ごとに濃淡はあるが、この実態は関西だけの問題ではない」と指摘。

打開策として「花の扱いや対応の改善に向けて、話し合える余地がある病院はあるのではないか」と述べ、衛生管理を踏まえた上で「失われた需要の回復」への道を探る。

各病院で生花持ち込みを禁じる背景には、花や花瓶の水に、感染の原因となる緑膿菌が存在する恐れがあるとされているためだ。

需要回復にはこうした衛生面をクリアしながら、生花が持つ患者の心を癒やす効果を訴える新たな手立てや提案が必要となる。

そこで、同社は協会を通じて各病院の対応や今でも院内で店を開いている生花店の現状などを詳しく調べ、改善策提案のヒントを探りたい考え。具体的な対策が見つかれば「花店にもその気になってもらえる」(大西社長)と需要回復を期待する。

JA全厚連によると、厚生連病院では生花の持ち込みについて統一したルールはなく、対応は病院によって異なるという。

「花による癒やしの効果は確かにあるが、手術直後など体の弱っている人は感染症にかかりやすい。アレルギーを持っている人もいる。病院のルールにのっとってもらえるとありがたい」(経営企画部)と理解を求める。(加藤峻司)

病院側からすれば「感染症の予防」が最優先であり、花屋側からすれば「確実に花が売れる場所を確保したい」。

立場は病院側のほうが強く、「花による癒やしの効果」では売り場を確保する見通しは暗く、「衛生管理を踏まえた上で失われた需要の回復への道」はすでに間に合わないと思われます。

都市部ですでに4割に当たる病院が生花の持ち込みや院内での販売を禁じ、九州ではまだ75%は持ち込み可能だそうですが、都市部並みの数値になっていくのは時間の問題でしょう。

もはや生花店は病院内では「感染の原因となる緑膿菌が存在する恐れ」がない、たとえば水が必要ない花の開発を考えていかなければならないと思われます。

肥満が飲料メーカーやマクドナルドに影響を与え、自動車メーカーはリコールにあたらなくてもリコールをし、病院内では生花は売れない。

いずれもレピュテーションが資産として蓄積され、企業ブランドとなることによる結果と言えないでしょうか。

会社は「イメージをマネジメントすることはできない」が、体験や疑似体験(口コミ、メディアなど)を通じて事象を認知し、イメージを形成、認知された事象がイメージとして個々人の人の心に蓄積され、蓄積されたイメージが口コミやメディアを通じて多くの人々に伝えられ、人為的に企業の好感のもてるイメージを伝達することで企業の評価を高めることはできる。

レピュテーションは資産として蓄積され企業ブランドとなる。

もうあなたの業界にもその影響が忍び寄ってきていると思われます。

それがなにか、もう考え始めておくべきだというのが私の考えです。

皆さんの考えはいかがでしょうか?

皆さんからの率直なご意見をお待ちしております。

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