SNSの危険性と対策法について紹介

多くの企業でマーケティング手法のひとつとなっているSNSは、多くのメリットがある一方で、さまざまなリスクが潜んでいます。SNSの危険性を理解しないまま活用すると企業の大きな損失につながる可能性があるため注意が必要です。

リスクを回避するためには、SNSの特徴をしっかり把握することが重要です。特徴を把握したうえで活用するメリットや裏に潜む危険性について十分理解し、トラブルに巻き込まれてしまうことのないよう対策法を講じておく必要があります。

SNSの特徴

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、情報共有が容易であることから拡散性が高い点が特徴です。ユーザー同士がコミュニケーションや情報共有などに利用し、投稿された情報は瞬時に多くのユーザーへ広がります。

このような拡散性の高さを利用し、効果的なマーケティング手法のひとつとして活用する企業も急増しました。しかし、悪い口コミや評判が投稿されてしまうと企業の信頼は失われ、大きな損失につながってしまうことから、SNS運用についての知識を社内全体で高める必要があります。

企業でSNSを運用するメリット

企業でSNSを運用するメリットは次のとおりです。

  • 広告宣伝やプロモーションに有効である
  • コストがおさえられる
  • ニーズやトレンドの把握ができる

広告宣伝やプロモーションに有効である

SNSの特徴である拡散性の高さは、企業のマーケティング活動にとって大きなメリットです。企業が広告宣伝やプロモーションをおこなう際に、短期間で広範囲のユーザーへ情報を届けることができます。

拡散性を活かし、ブランド認知度の向上を狙った新たなビジネスの展開にも有効です。また、幅広い層のユーザーへ発信することが可能であることから、ターゲット層の拡大も期待できます。

コストがおさえられる

SNSを活用することで、従来のマーケティング活動よりもコストをおさえることができる点も大きなメリットです。マーケティング活動をSNS上でおこなうことによって、広告費用やユーザーとのコミュニケーションにかかる人件費、時間の削減が期待できます。

ただし、SNS運用は従来よりも低コストで効果が期待できる一方で、無計画な運用は逆にコストがかかってしまう可能性もあるため、適切なマーケティング戦略が不可欠です。

ニーズやトレンドの把握ができる

SNS上でユーザーのリアルタイムな情報を確認できるため、ユーザーからのフィードバックが迅速に得られます。フィードバックを参考に商品の修正や改良も迅速化できるため、ニーズの高い商品を他社よりも早く市場に投入することが可能です。また、ユーザーどうしの情報のやり取りからトレンドを把握し、自社商品にマッチさせたり、新商品開発の参考にしたりすることもできます。

SNSの危険性 

SNS運用にともなう危険性として、次の例が挙げられます。

  • 炎上
  • 情報漏洩
  • 誹謗中傷
  • コンテンツの悪用
  • フィッシング詐欺
  • 誤爆

炎上

炎上とはSNS上に公開された特定の投稿について批判が殺到し、拡散されてしまう状態を意味します。炎上の恐ろしさは、一度発生してしまうと拡散が止まらず、投稿者でさえコントロールできなくなってしまう点です。社員の個人アカウントでの炎上が企業への炎上に発展するケースもあるため、公式アカウントだけではなく個人アカウントにも注意を払う必要があります。

誹謗中傷

誹謗中傷とは悪口やデマを発信し、人を傷付ける行為であり、大きな社会問題になっています。このような行為は名誉毀損罪や侮辱罪などの法的措置にも該当する場合があり、なかなか無くならないのが現状です。誹謗中傷はSNSの特徴でもある匿名性を悪用したもので、企業や有名人が標的とされた事例も数多くあります。

情報漏洩

2025年にあるIT企業が行ったアンケートでは、「社員がSNSを通して情報漏えいを引き起こした事例が発生したことはありますか?」という問いに、過半数の52.2%の人が「はい」と回答したそうです。

さらに、「実際にどのような事例が発生したか」については、「投稿した画像に機密情報が載っていた」35.0%が最多、「機密情報が入ったデバイスを紛失してしまった」31.2%、「機密情報を誤って投稿してしまった」29.7%、という結果となりました。

いずれも無知だけでは済まされず、仮に「(やってはいけないことを)知っていた」としても、ほんの少しの気のゆるみで起きてしまうのが画像への映り込みや誤投稿。デバイスの紛失についても、ゼロにはできませんが、端末に情報を保存しない運用ルールとし、クラウド上で管理できるようにするのが有効です。

情報漏洩とは企業が保有している重要な情報が外部に漏れてしまうことを意味し、SNS運用の際に十分注意が必要なリスクのひとつです。社員の個人アカウントから情報が流出する可能性も高く、このような事態は企業の管理体制やSNS対策が不十分であると指摘されやすく、信頼性の低下につながります。顧客情報や企業の機密情報の漏洩は、社会的信頼を失うとともに炎上や誹謗中傷の的になりやすいため、重要な情報を扱う際は細心の注意が必要です。

コンテンツの悪用

インターネット上に画像や動画を投稿したものを悪用されるリスクもあります。GPS機能のついたスマートフォンでのカメラ撮影には、撮影日時や場所などの位置情報が含まれているケースがあるため、撮影したものを公開する際は必ず設定の確認が必要です。画像に写り込んだものを手がかりに住所や職場を特定され、迷惑行為や犯罪などのトラブルに巻き込まれてしまうという事例も多くあります。

フィッシング詐欺

フィッシング詐欺とは、SNSやメールに偽物のサイトへ誘導するためのURLを貼り付け、他のユーザーにクリックさせて個人情報を盗み出す行為です。SNSでの文字数制限を考慮してURLを短縮表示されたサービスがありますが、見ただけではリンク先が分かりづらいため、フィッシング詐欺やワンクリック詐欺に悪用されるケースもあります。短縮URLを元のURLに戻して確認できるサービスもあるため、不信感を抱いた際はサービスの利用が有効です。

参考 : 安心してインターネットを使うために国民のための情報セキュリティサイト(総務省)

誤爆

2025年4月、ある有名アイドルグループの女性が、裏アカウント(匿名アカウント)で、メンバーの悪口を投稿していたことが発覚。内容も「〇〇、早く辞めてくんねえかな」、「今日も挨拶しない〇〇先輩」、「〇〇ツインテールで電車乗ってきた怖」、「(ディズニーランドに自分以外の)2人で行けよ」など、表の顔とは全く違う言葉遣いに、先輩メンバーへの愚痴や不満だらけだったことから、衝撃が広がりました。

どのような経緯でそれが表沙汰になったかは分かっていませんが、問題は、「裏(匿名)アカウントだからと言って完全匿名はあり得ない」のがネットの世界。

「王様の耳はロバの耳」という童話に代表されるように、「誰も聞いていないから」、と愚痴や不満をネット上に上げるのは、一時のストレス発散になるかもしれませんが、不幸な結果を招くこともあるのです。自社の社員には、そういった事実をしっかりと理解させ、「いつ誰が見てもおかしくない」投稿を心がけてもらうことが、不祥事防止につながります。

SNSにおけるトラブルの対策法

SNSにおけるトラブルの対策法は次のとおりです。

  • 社用端末の管理を強化する(攻撃や不正を発見できる仕組みの導入)
  • セキュリティを強化する(アカウントの乗っ取りに注意)
  • 社員教育を徹底する(SNSに匿名なし!)
  • 専門家に依頼する

社用端末の管理を強化する

SNSには、「乗っ取り」というリスクも存在します。サイバー攻撃においては、PCのadmin権限を取られてしまう、つまり、PCに入っている情報の全てを自由自在に使われてしまうというリスクもあります。社用でSNSを運用している方は十分注意をされているとは思いますが、サイバー攻撃は様々な角度や切り口からくるため、完全に防ぎきることは難しいです。さらに、同じネットワークを使っている場合、誰か一人が感染経路となれば、繋がっている多くの人のPCが乗っ取られるという危険性まで存在します。

セキュリティ社員の個人アカウントまで管理することはプライバシーの観点からも困難ですが、社用端末の管理は可能な限りおこなう必要があります。余談ですが、当社ではEDRという監視に代行サービスを活用し、常に第三者的目線でのセキュリティ評価が行えるようにしています。SNSは有効なマーケティング手法のひとつであるため積極的に業務での活用が有効です。ただし、業務外の利用を防止するための対策はしっかりおこなう必要があり、監視を目的としたソフトの導入も検討することも忘れてはならないポイントです。

セキュリティを強化する

企業でSNSを運用する際は、外部からの攻撃や内部の不正アクセスなどを防止するためにセキュリティ強化も必要です。また、定期的にアカウントパスワードを変更することもセキュリティ強化につながるため、社員の個人アカウントでも定期的なパスワード変更をおこなうよう指導することも重要です。

社員教育を徹底する

SNSを適切に運用するためには、担当者だけではなく、全社員に対して徹底した教育が必要です。SNSに関する勉強会やセミナーでは、企業を守るためだけではなく、社員や家族を守るためでもあることから、個々人がみずからの力で被害を防げるような教育をおこない知識を高める必要もあります。このように定期的に勉強会やセミナーをおこなうことで企業の一員であることを強く意識してもらい、そのうえでSNSを利用してもらうことが重要です。

専門家に依頼する

自社のリソースだけでは対策がむずかしい場合は、専門家に依頼する手段もあります。風評被害対策会社であれば、自社の営業時間外の対応もおこなってくれるため、万全な運用体制を維持することが期待できます。ただし、費用がかかるため、費用対効果を考慮したうえで依頼することも大切です。

まとめ

SNSは企業にとって多くのメリットがある一方で、さまざまなリスクが潜んでいます。企業のアカウントだけでなく、個人のアカウントの利用にも十分注意しなければなりません。

炎上や誹謗中傷、詐欺への悪用など、企業ブランドを大きく傷付けるリスクはともないますが、近年ではSNSを活用していないデメリットの方が大きくなっている傾向があります。そのため、SNSを安全に運用して有効活用するには、SNSの特徴や危険性を十分理解し、トラブルに備えた対策を講じたうえで活用することが重要です。

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