炎上を防ぐ5つの対策!トラブル発生後の対応と措置を怠るリスクも解説

近年、法令改正の影響もあり(2022年改正個人情報保護法や2023年発信者情報開示の簡素化など)企業や個人がネットトラブルから損害賠償請求に巻き込まれるケースが増えています。一度炎上が発生すると、ブランドイメージの失墜や業績悪化、採用の困難化など、長期にわたって企業へ深刻なダメージを与えることもあります。
そこで今回の記事では、炎上を防ぐ方法やトラブル発生後の対応を解説します。炎上が発生する要因も理解できる内容となっているので、企業が直面する炎上リスクへの実践的な対処法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

炎上が発生する5つの要因

SNSやオンラインメディアの普及により、企業や個人が発信する情報は瞬時に拡散される時代になりました。便利である一方で、影響力・拡散力の強さが「炎上」というリスクを生み出しています。この章では炎上が発生する代表的な5つの要因について解説するので、どのようにして問題を引き起こすのかを理解しておきましょう。

公式サイトや企業のSNSでの不適切発言

企業が情報発信を行う公式サイトや企業のSNSは、消費者からの注目度が高いコンテンツの1つです。公式サイトに詳しい企業情報が掲載されていることで信頼性が高まる一方で、内容が不適切だと受け取られると顧客からの信用を失いかねません。特に、差別的な内容や配慮に欠けるコメントは炎上を引き起こしやすいため注意が必要です。

個人情報・機密情報の取り扱いミス

共有ドキュメントの公開設定ミスや誤送信など、確認漏れによる情報漏洩はさまざまな業種で起こっています。情報管理の不備は、法的問題の発生や顧客からの信用失墜につながりかねません。また顧客や社員の個人情報が漏洩した場合、プライバシーを侵害したとして社会的非難を浴びるでしょう。企業の情報発信における個人情報や機密情報の取り扱いミスは、炎上の重大な原因となり得ます。

内部告発

社員が自社の顧客情報の漏洩やハラスメントの隠蔽など不適切な行為を公にすることで、企業の信頼性が大きく損なわれます。企業の不正行為や倫理的に問題のある行動はメディアやSNSなどを介して瞬く間に拡散され、消費者や社会から強い批判を浴びるでしょう。

また過去の軽微なトラブルについても、現在の不祥事と関連づけられて非難の対象となることがあります。最近では匿名で投稿できるプラットフォームの存在により、内部情報が瞬時に拡散されるため、隠蔽や対応の遅れがさらなる批判を招くケースも見られます

社員やアルバイトの不適切投稿

社員やアルバイトなど所属する個人が、SNSやインターネット上に不適切な発言や行動を投稿し、企業のブランドやイメージに深刻な影響を与える事象が増えています。悪ふざけで撮影した内容が「バイトテロ」として拡散される事例も多く、企業が想定していなかった形で炎上が起きることがあります。

一人ひとりの私的な行動や価値観から生じる炎上は、事前にマニュアルで完全にカバーするのが難しいため企業にとって予期しにくいリスクです。謝罪や再発防止策の公表など、さまざまな対応に追われるだけでなく、炎上の内容が社会的に大きな反発を招いた場合は顧客離れや売上への影響も避けられません。社員やアルバイトの不適切な投稿による炎上は、企業に甚大な被害を与えます。

不誠実な顧客対応

現代は誰でも気軽に情報を発信できる環境にあるため、商品やサービスさらには接客態度などまでさまざまな「顧客の声」が瞬時に拡散されます。サービスや商品に対する意見を軽視し、誠意を欠いた返答をすることは顧客の不満を増幅させる原因です。

顧客が社員の不誠実な対応をSNS上に投稿すれば、SNSや口コミを通じて瞬く間に多くの人に広まります。SNSやインターネットが発達した現代では、1件の不誠実な顧客対応から一気に炎上が発生する可能性があります。

炎上を防ぐための対策5選

炎上はブランドイメージの低下や顧客離れを引き起こすだけでなく、法的リスクや社員の士気低下にもつながりかねません。多くの炎上は適切な知識と仕組みによって防ぐことができるため、あらかじめ適切な対策を講じておくことが大切です。この章では、企業が実践可能な対策を紹介するので参考にしてみてください。

日常的なモニタリング

企業が炎上を避けるためには、SNSやインターネット上での発言や反応を常に監視することが重要です。ネガティブなコメントや批判を早期に発見でき、問題が大きくなる前に迅速な対応が可能です。例えば自社に関するSNSを日々チェックしていれば「商品に不具合があった」「店員の対応が悪かった」といった投稿を、メディアに広がる前に把握ができます。

小さな不満や誤解の段階で対応すれば、大きな炎上に発展するリスクを抑えられるでしょう。顧客やフォロワーの声を反映させることで信頼関係を築き、企業イメージを守ることにもつながります。定期的にモニタリングを行うことで炎上の兆候を早期に察知し、被害を最小限に抑えられます。

SNS運用マニュアルの作成

SNSでの発信は企業のイメージに大きな影響を与えるため、統一されたガイドラインを設けることが重要です。マニュアルには、以下のような項目を設けると良いでしょう。

  • 投稿内容
  • 言葉遣い
  • 問題発生時の対応方法

SNS運用における基本的なルールを明確にし、社員や担当者が一貫性を持って適切に運用することが大切です。危機管理のための対応フローも盛り込み、問題が発生した際に迅速かつ冷静に対応する体制を整えておきましょう。

炎上した場合の対応フローの策定

企業が炎上を避けるためには、事前に明確な対応フローを作成しておくことが重要です。炎上が発生した際に迅速かつ冷静に対処できるよう、具体的な対応手順を決めておきましょう。

「誰がどのタイミングで対応するか」「どのような内容で公表するか」をあらかじめ決めておくことで、迅速かつ適切な対応が可能です。対応フローが整備されていれば炎上を最小限にとどめ、企業の早期信頼回復につながります。

ネットリテラシーに関する社員教育の実施

現代ではSNSやインターネット上での発言や行動が企業のイメージに大きな影響を与えるため、社員一人ひとりがネットリテラシーを持つことが重要です。社員教育を通じてSNSでの適切な言葉遣いや情報発信の注意点など、炎上を引き起こさないための基本的なマナーを身につけてもらいましょう。

個人情報や機密情報を適切に扱う方法や、インターネット上でのリスクを認識させることも大切です。社員がインターネット上での行動に対して自覚を持つことで、企業全体での炎上リスクを減少させることができます

コンテンツのチェック体制の強化

企業がSNSやWebサイトで発信するコンテンツは、ブランドイメージや信頼に直結するため慎重に管理する必要があります。コンテンツが公開される前に複数の担当者によるチェックを行うことで、不適切な表現や誤解を招く内容を事前に発見して修正できます。

コンテンツの内容が「最新のガイドラインに沿っているか」を定期的に確認し、コンプライアンスや社会的な配慮がなされているかをチェックしましょう。チェック体制を強化することで炎上を未然に防ぎ、企業の評判を守ることにつながります

炎上発生後の3つの対策

情報の拡散スピードが速い現代では小さなミスや誤解が一気に広がり、企業の信頼を揺るがす事態へと発展することがあります。この章では、炎上が発生した際の基本的な対応を紹介します。

事実確認と被害者の有無の把握

炎上が起きた際、まずは事実を正確に確認する必要があります。「どのような問題が発生したのか」「誰がどのような状況でどういった発言や行動を行ったのか」などを正しく把握することが必要です。

事実の把握に時間を要するのであれば、まずはホームページ等で、「現在、情報を確認中です。お騒がせして申し訳ありません。」という主旨のお詫びを掲載しましょう。そうして時間を稼いでいる間に、事実を正しく確認してください。

【確認のポイント】

  ●自身(自社)は被害者なのか、加害者なのか?

  ●被害者、被害対象は誰か?

  ●被害者の他に被害感情を持ち得るのは誰か?

  ●問題と認識すべき点は何か?

  ●今後発展の可能性はあるか?

特に、被害感情を持ちえる対象が誰か、という点と、問題と認識すべき点は何か、の2点については、誤った取り方をすると、お詫びがお詫びにならず、さらに大きなトラブルとして発展します。

2025年、某美容整形外科の医師が炎上しましたが(解剖献体を前に記念写真を撮影)、オーナーの謝罪ポイントが少々的外れであったことから、更に世間を騒がせる問題に発展してしまったという事件がありました。

最初の確認でつまずくと、それ以降の対応は全て問題を収めるどころか大きくする「火種」とされてしまいます。

そのため、初動確認においては、必ず「チームで」行うようにしてください。

その中にWebリスクの専門家や、弁護士が入っていると更に安心です。

事実確認と論調を把握することで批判のポイントや感情的な反応を理解でき、企業の対応を決定する指針を得るためには、チームでの対応が不可欠。炎上による悪影響を最小限に抑えるために必須のことと理解をしていただければと思います。

運用マニュアルに沿った対応

炎上発生後は、迅速かつ適切な対応が求められます。企業が事前に策定した運用マニュアルには、以下のような内容が記載しておくことでスムーズに対応できます。

  • マニュアルの目的と適用範囲
  • 炎上発覚からの対応手順(誰が・いつ・何をするか)
  • 報告・連絡体制
  • 担当者の役割分担
  • 社員への指示
  • 関係者へのヒアリング方法と手順
  • 証拠の収集方法
  • 社内記録の保存ルール
  • 社外への説明と謝罪(メディアや顧客など関係者への対応要領)
  • 原因分析と再発防止策の策定手順
  • 経営層と関係者への報告手順

炎上が発生した際はマニュアルに従って行動することで社内での混乱を避け、統一感のある対応が可能です。運用マニュアルに沿って対応することで問題の拡大を防ぎ、早期に企業の信頼回復につながります。

謝罪と説明

炎上が発生した場合は誠実な謝罪と再発防止策を公表し、企業として責任を果たす姿勢を示すことが大切です。その後、信頼を回復するために透明性を持って改善の進捗を報告し、実際に実行していることを証明します。

ポジティブなコンテンツや社会貢献活動を通じて企業の価値や使命を伝え続け、消費者や社会に良い印象を与えることが必要です。評判の回復には時間がかかることもありますが、誠意を持って継続的に対応を行うことで信頼を取り戻し、ブランドイメージを再構築できます。

炎上対策を怠った場合のリスク

SNSやデジタルメディアが日常的に活用される現代において、炎上リスクは一部の企業や特定業界だけの問題ではありません。炎上が発生した際に適切な備えや対応ができていないと、離職者の増加や売り上げの減少など、重大なリスクを招く可能性があります。この章では、炎上対策を怠った場合に企業が直面する主なリスクについて解説します。

離職者の増加

炎上した際に企業が適切な対応をしないと、社員のモチベーション低下や企業の信用失墜を招く可能性があります。炎上により社員が働く場所に誇りを持てなくなれば、仕事への意欲を失ってしまいかねません。

さらに企業の対応に不満を抱けば、社員が転職を考えるきっかけになってしまいます。炎上が続くことで、企業のイメージが悪化し経営状況にも影響が出るため、安定した職場環境を求める社員が離職する可能性が高まります。炎上を放置することは社員の離職を引き起こし、企業にとってさらに大きな問題を招くため、適切な対応が欠かせません。

売り上げ減少

炎上が発生すると、企業の信頼性やブランドイメージが大きく傷つきます。炎上によってネガティブな情報が広まってSNSや口コミで悪い評判が拡散されると、新規顧客獲得が困難になる可能性が高いです。一度失われた信頼を回復するのは難しく、キャンペーンや割引といった一時的な施策では挽回しきれないケースがあります。

新規顧客を獲得できないだけでなく、リピーター減少につながるため中長期的な売上低迷を引き起こしかねません。炎上が発生した際に適切な対処をしないと、経済的な損失を引き起こす大きな要因となります。

採用の停滞

企業が炎上して信頼を失うと求職者が企業で働きたくなくなり、採用活動に支障をきたす場合があります。特に企業のイメージや社会的責任への配慮が問われる時代において、炎上した企業は「働きたくない場所」として認識されやすいです。

炎上の影響で企業の評判が悪化すると、優秀な人材が応募を避けるため採用候補者が減少する可能性が高まります。必要な人材を確保できなくなり、企業の成長や業績に悪影響を及ぼすことになります。

まとめ

炎上対策は、企業の信頼性やブランドイメージを守るために欠かせません。炎上が発生すると企業は消費者の信頼を失い、売り上げの減少や採用の停滞など、深刻な影響を受ける可能性が高まります。炎上を未然に防ぐための十分な予防策と、万が一発生したときに適切な対処ができるよう対応方法を策定しておくことが大切です。

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